RSウイルス大流行

RSウイルス大流行、通年化か 呼吸苦しそうなら受診を

乳幼児や高齢者がかかると重い肺炎になることがある感染症「RSウイルス」が今年、大流行している。
秋から冬に流行するとされてきたが、今年は夏に患者数が急増した。
次第に減少してきたが、感染症がはやる季節はこれから。
専門家は予防策の徹底を、と注意を呼びかけている。
 
国立感染症研究所(感染研)によると、全国約3千カ所の定点医療機関からの週ごとの患者報告は7月ごろから急増。
8月28日~9月3日は1万人を超え、9月11~17日には1万500人と、2003年の調査開始から最多になった。
その後減少しているが、例年より多い状態が続いている。
 
患者数が増えた理由には、11年秋から乳児らへの検査に公的医療保険がきくようになり検査数が増えたことがある。
地球温暖化の影響や、交通状況がよくなったことで人の行き来が増えた影響を指摘する声もあるが、実際にはよくわかっていない。
 
RSウイルスは通年の感染症になってきている。
秋冬以外でもウイルスがずっとくすぶっている状況だ。
 
患者数は落ち着きつつあるが、この先どうなるかは分からない。
過去にはいったん減少に転じた後に、再び増えだした年もある。

RSウイルスはありふれたウイルスで、せきやくしゃみのしぶきを通して感染する。
最初に感染したときに重症化しやすく、乳幼児は気管支炎や肺炎になりやすい。
2回目以降は軽くなり、大人は鼻風邪ぐらいで済むことが多い。
人口動態統計によると、08~12年の5年間で、年平均31入が亡くなっている。
 
注意が必要なのは、苦しそうな呼吸や表情をしているとき。
肩で息をしていたり胸がへこむような呼吸をしたりと「いつもと違う、おかしい」と感じたらかかりつけ医を受診したい。
母乳やミルクの飲みが悪いときも受診を検肘すべきだ。
 
治療は症状を軽くする対症療法が中心になる。
早産の場合や心臓や肺に病気のある乳幼児らは、シナジス(一般名・パリビズマブ)という筋肉注射の薬が使える。
RSウイルスの感染は、将来のぜんそく発症のリスクを高める恐れが指摘されているが、シナジスにはそれを抑える効果が期待されるという。
適用対象の乳幼児には、積極的に使うべきだ」。
 
感染研の調査は小児科を基本とするため、大人での広がりはわかっていない。
このため実際の患者数はもっと多い可能性がある。
抵抗力が落ちている高齢者は重い肺炎を引き起こすことがある。

感染予防の基本は手洗い
RSウイルスの感染を防ぐにはどうしたらいいか。
ワクチンは開発されていないため、予防の基本は手洗いになる。
 
1歳未満の赤ちゃんがいる家庭では、特に注意が必要だ。
親や幼いきょうだいが職場や保育園、幼稚園などでウイルスをもらってきても、目立った症状がないために、自覚がないまま周囲に感染させてしまうこともある。
 
手洗いをきちんとすることは、これから流行期を迎えるインフルエンザやノロウイルスの予防にもなる。
 
疾病対策センターは、感染症を防ぐ手洗いの仕方として、せっけんのついた手で指や爪の間なども含めて20秒以上こすって、水で洗い流すことを勧める

20 秒間の目安はハッピーバースデーを2回口ずさむくらいだ。
調理や食事の前や、くしゃみをした後などは、特に意識して手を洗う必要がある。
 
せきなどの症状がある人はマスクをして、周りに感染させないように注意することが大切だ。
赤ちゃんがよく触るおもちゃなどをアルコール綿でこまめに消毒することも、感染予防につながる。

<まとめ>
主な症状
・鼻水、せき、発熱
・呼吸やせきの際、ゼーゼーと音がする
・呼吸の回数が多い

主な予防法
・手洗い
・症状がある人はマスク着用
・おもちちゃなどをこまめに消毒
 
注意点
・爪は短く切る
・指先、爪・指の手首も忘れずに
・時計や指輪を外す

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.10.25


私的コメント
例年より早く流行が始まったRSウイルスですが、例年より早くピークが過ぎて収束傾向のようです。
(11月10日現在)