ぽっこりお腹へこませ運動

ぽっこりお腹へこませ運動 歩きながら手軽に実践 ドローイン 電車内や職場でも

中年になると、ポッコリと出たおなか周りが気になる。とはいえ、「忙しくてスポーツジムに通うのが難しい」「食事療法などでダイエットするのは面倒だし続かない」という声もよく聞く。
日常生活を送りながら、腹囲だけは細くしたい――。
そんな場合に取り組みやすいのが、歩きながらでも実践できる「ドローイン」という動作だ。

ドローインは英語で「内側に引く」との意味。もともと腰痛の改善や予防、胴体部分にあたる体幹を鍛えることを目的に理学療法で取り入れられた。
「腹がへこむ」という効果にも注目が集まるようになったのはここ数年で、誰でもできる運動として中高年を対象にした健康教室などで紹介されるケースも増えている。

ヘソの位置を意識
やり方は極めて簡単。背筋を伸ばして肩の力を抜き、ヘソを背中に近づけるイメージで腹を大きくへこます。
壁に背中をあてて立つと最適な姿勢を見つけやすい。
腹をへこました後は肩が上がっていないかを確認する。
限界まで腹をへこませると効果も大きいが、腰痛の持病がある人は悪化する恐れがあるので注意する。
自分の体の状態にあう力の加減を探ろう。

きちんと腹がへこんだかどうかは、鏡を見てチェックする。
何もしない普段の状態から1割へこます程度が目安となる。
腹囲が90センチなら81センチだ。
太っていてへこますのが難しい人でも根気よく続ければ筋肉が動くようになる。
 
腹をへこます際は息を吐きながらやると容易にできる。
腹がへこんだ後は普段通りに呼吸する。最初は慣れないが、続けているとこの状態が自然に感じられるようになるという。
まずはドローインの状態を1回あたり30秒ほど保ち、これを1日5セットほど実践する。
 
電車内やオフィスなど、どこでもできるので気付いた時にやってみるとよい。
寝る前や起床時はうつぶせになり、ひじを直角にし上体を起こしてドローインをすると効果的だという。

眠った筋肉起こす
これだけで腹だけ部分的にやせられるのか。
カギは筋肉の再教育にある。
人間は体幹を鍛えると動作が安定してケガなどを防げる。
たくさん体を動かす生活を送っていれば、筋肉の緊張が持続され体幹が強くなる。
一方、現代人の多くは体を動かす機会が減り、筋肉がゆるみがち。
ドローインで筋肉を鍛え、あるべき緊張を取り戻すのが重要だ.
 
腹部周辺にはコルセットのように取り囲む腹横筋や正面の腹直筋などがあり、連動して動く。
腹をへこませると上半身が上下に引っ張られるような力が加わり、コルセットの腹横筋がぎゅっと締まる。腹横筋は普段はあまり意識して力を入れることがない。
ドローインにより脇腹や背中に張りを感じれば、効果を実感できるという。
 
腹横筋は通常の腹筋運動では鍛えるのが難しい。
腹筋運動では腹直筋が強くなるが、腹囲は絞りにくい。
多くの人が「腹筋運動を毎日しても、腹だけはひっこんでくれない」と悩むのはそのためだ。
ドローインを続けると筋肉が緊張状態を「自然なもの」と認識し、あまり意識しなくても引き締めた腹囲を保てるようになるという。
 
ドローインはあくまでも腹をへこませる運動でダイエットは主目的ではない。
「20代の男子学生が1回30秒を1日10セット実践したところ、1カ月半で腹囲が約7センチ減ったが、体重はほとんど変わらなかった」というデータがある。
ドローインは腹を引っ込めて筋肉や内臓を本来の位置に戻すための運動と考えよう。
 
脂肪燃焼を目指す場合、「歩きながらのドローインならエネルギー消費量が増える」という。
ただ、ドローインをすればすべて解決するわけではない。
あくまで一つのテクニックと考えたい。
メタボリックシンドロームなどで内臓脂肪が多すぎる人はドローインの効果にも限界がある。
まずは適量の食事や運動を心がけ、内臓脂肪を減らすことが大切だ。

 
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日本経済新聞・朝刊 2013.6.9