健康食品広告 再点検を

健康食品広告 再点検を 微妙な表現 規制強める 全体の印象で判断

健康食品の広告で使う表現を中心に、食品表示の摘発や行政指導が強化されている。
消費者庁だけでなく保健所も加わり、複数の法律を積極的に運用。健康食品市場が拡大し、企業も消費者への商品の訴求に頭を悩ませているが、法令順守の再点検が必要だ。
 
消費者庁は3月、長野県の健康食品販売会社が扱う抗酸化物質「アスタキサンチン」を使った製品の新聞広告について、目の「ボンヤリ・にごった感じ」の症状が改善するかのような表示は合理的な根拠がないとして、再発防止を求める措置命令を出した。
 
広告に効果をうたう直接的な表現はなかったが、ある弁護士は「効果・効能を避けた微妙な表現にもメスが入るようになってきた。暗示も含めて規制する当局の姿勢が見て取れる」と話す。
 
2016年以降、消費者庁は健康食品を対象に景品表示法に基づく措置命令を立て続けに出している。
認知症予防をうたったココナツオイルや痩身効果を表示した「水素水」などを、実際より著しく優れていると誤解させる「優良誤認」表示と判断した。
 
地方自治体の保健所も新たな規制当局として浮上する。
16年4月に健康増進法に基づく勧告や命令の権限が自治体に移されたためだ。健康の保持増進効果について誤認される「誇大表示」を監視する。
 
規制強化の契機の一つが、15年4月に始まった「機能性表示食品」制度だ。
企業が自らの責任で成分の機能を裏付ける科学論文などの書類を提出すると、消費者庁が届け出を受理した60日後には販売が可能になる。
特定保健用食品(トクホ)に比べコスト負担なども少なく、これまでに約千件が受理されている。
 
ただ現状では、トクホなどでないのに誤解を招くような表示をする健康食品も多い。
消費者庁は昨年、健康食品の表示に関するガイドラインを公表したが、ガイドラインを読めばすぐにアウトとわかる広告も氾濫している。
 
表示が不当かは特定の文言ではなく全体の印象で判断される。
例えば、太っていた人が痩せたという写真とともに「飲むだけでドンドン落ちる!」などの表記があると、直接的に「痩せる」と書いていなくても痩身効果があるような印象を消費者に与える。
「効果には個人差があります」などと書いても、実際にそのような効果がなければ「虚偽誇大表示等」に当たる。
 
日本通信販売協会は5月、規制の基礎や最新情勢を学ぶ「サプリ塾」を始めた。
14年12月の景表法改正で表示担当者の設置などが義務付けられたが、この『表示管理体制』が整備できていない企業も多い。

参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.7.10