動脈硬化、早めにチェック

動脈硬化、早めにチェック エコーで血管の広がり測定

血管の壁が厚くなったり、硬くなったりして働きが悪くなる「動脈硬化」。
加齢や高血圧、肥満、喫煙、糖尿病などさまざまな原因で悪化し、心筋梗塞脳梗塞を引き起こす。
検査法の進歩で、症状の進み具合を詳しく知ることができるようになってきた。

血管の老化、運動と食事で予防を
動脈硬化の検査の一つにFMD検査がある。
 
検査室のベッドに横になり、右腕を横に伸ばして固定。
エコー(超音波)で血管の太さを測定する。
そのままの状態で5分間、血圧を測るように腕に圧力をかけ、動脈の血流を制限した。
手先がしびれるような感覚だ。
続いて一気に圧を開放する。
血流が指先に向かって広がる感じがした。
 
その際、動脈の血管の内径がどれくらい太くなったかを測る。
血流が短時間で増えると、「血管内皮細胞」という血管の一番内側の層の細胞から一酸化窒素などが出て血管内の筋肉に働き、動脈が広がる。
動脈硬化が進んでいると、広がり具合が鈍くなる。
 
今回の検査では、もとは3.49ミリだった血管の内径が4.13ミリになった。
拡張率は18.3%。
この値が6%以上だと良好で、5%未満は機能低下、その間は境界だという。
 運動増で改善’’’
ある医療機関がFMD検査をした628人のデータでは、30代男性の平均値は6.7%、女性は8.7%だが、70代男性は4.8%、女性は5.6%で年齢とともに下がる傾向があった。

ほかの検査も
動脈硬化は、
①血管の内皮細胞の働きが悪くなる
②内膜や中膜が厚くなったり硬くなったりする
③内膜に悪玉コレステロールなどが固まった「プラーク」ができる④プラークが破裂し、血管が詰まる、
という経緯をたどる。

FMD検査は①の初期変化をとらえる。
 
動脈硬化の進み具合の検査は他にもある。
主に②をみる「CAVI検査」は、血液の拍動が心臓から足首に伝わる速さで動脈の硬さを調べる。
③は首の血管エコーで動脈壁の厚さをみる「IMT検査」
④は腕と足の血圧比から血管の詰まり具合をみる「ABI検査」
や頭部や足の血管を撮影する「MRA検査」だ。

複数の検査を組み合わせることで、動脈硬化がどこまで進んでいるか知ることができる。

禁煙外来「治療の意欲に」
FMD検査は2012年に保険適応となり、現在は高血圧や糖尿病などの患者が対象だ。
血管機能の評価方法をまとめたガイドライン(13年)は「動脈硬化の初期段階の病態を比較的鋭敏に反映する」と位置づけている。
 
繊細な検査でエビデンスを積み上げていく必要があるが、FMD検査は糖尿病や慢性腎臓病などの人が今後、心臓や血管の病気を発症するかの指標としても使える可能性がある。
 
FMD検査用の機器を販売する「ユネクス」(名古屋市)によると、人間ドックでFMD検査が受けられる施設は全国に約100カ所。
約2年前から5倍ほどに増えた。
保険適用でない検査費は2千~5千円程度という。 

FMD検査を禁煙外来で導入する医療機関もある。 

ある医療機関で、禁煙治療薬を使ってたばこをやめた男性11人に、FMD検査を受けてもらったデータがある。
検査の数値は、禁煙前の平均3.36%から禁煙3ヵ月後に5.25%に改善。
患者さんに数値を示せることによって、治療の意欲につながる。  

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.12.27