増えるレジオネラ菌

増えるレジオネラ菌

衛生管理の不十分な入浴施設などで感染するレジオネラ症。
その患者数は年々増えている。
国立感染症研究所によると、2017年は1,722人と、現在の調査方法となった1999年以降で最多に。
この10年では2.5倍以上増えた。
 
原因となるレジオネラ菌は、自然の水や土の中にいる。
給湯設備や空調の冷却塔、加湿器などに侵入して増加。
水滴とともに吸い込むと感染し、発熱や倦怠感、肺炎を引き起こす。
 
患者の増加理由ははっきりしないが、高齢者や持病がある人がかかりやすいため、高齢化も一つの要因とされる。
湿度の高い時期は、特に注意が必要だ。
国内では温泉施設が原因となることが多く、ときに集団感染が起きる。
菌は60度以上で死滅し塩素消毒が効く。
だが掃除が不十分だと菌が増える。
 
菌は細胞の中で増えるので、治療には細胞に浸透するタイプの抗菌薬が有効だ。
入浴施設を利用した後に症状が出た場合は、そのことを医師に伝えたい。
そのことによって早期に適切な治療が出来る。      

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2018.5.9


<関連サイト>
消えないレジオネラ レジオネラ属菌の現状と管理手法
http://www.nikku.co.jp/profile/pdf/pamhlet_7.pdf


大学病院の浴槽でレジオネラ感染
名古屋大医学部付属病院で、入院中の70歳代の女性患者がレジオネラ菌による肺炎を発症し、呼吸不全で死亡した。
病院内の展望風呂で検出された同菌が、DNAの簡易鑑定の結果、 女性が感染した菌とほぼ同一で、同病院ではその後、この浴室を閉鎖している。
病院によると、女性患者は呼吸器疾患で入院し、肺炎症状を併発、約1週 間後に死亡した。
病理解剖の結果、レジオネラ菌が検出され、病院内を検査したところ、病棟14階の展望ぶろで同菌が見つかり、簡易鑑定で、女性のものとほぼ同一であることが判明した。
http://www.aquas.co.jp/archives/6526
読売新聞/中部朝刊 2000.07.19
私的コメント
「展望風呂」は、この病院が新築された時の目玉でした。
当時、この大学の細菌学教授は院内感染の権威で、他の病院でこういった事故が起こった際にはTVでコメントをされていました。
病院設計の際には教授会も関与する筈ですが、反対意見は述べられなかったのでしょうか。