ストレス蓄積 早めに自覚

ストレス蓄積 早めに自覚

仕事・家事 滞るのは要注意
職場や家庭で感じる、様々なストレス。
よくあることだと放置すると、精神疾患や急病の引き金になることもある。
ストレスとの適切な向き合い方を知って、早めに対処し、気持ちを楽にして過ごそう。

過度なストレスを我慢するうちに、倦怠感や落ち込みといった不調が現れる。
ストレス蓄積の兆しはイライラや不安感などメンタル面にも出る。 

身体と行動に表れる、具体的な異変に注目したい。
 
例えば不眠や食欲減退といった、不快なストレス反応。
単なる疲れと侮って放置すると、病気を招く。
行動面では、仕事や家事を普段どおりにこなせなくなっていたら危険だ。

女性、多く感じがち•抵抗期の「元気」続かず
女性は特に、ストレスを抱えることが多い。
結婚や出産などライフステージの変化や、社会的性差によるストレスを男性よりも受けやすいためだ。
月経や更年期など、ホルモンが原因の場合もある。
 
不快なストレスの要因が重なると、一時的に心身の抵抗力が下がり、活動が滞りがちになる。
体がストレスに対抗するため、いったん元気になるものの、無理は続かず、疲れ果ててうつ病などを招く。
専門家は「まずい状態に近づいていることに早めに気付いて、歯止めをかけてほしい」
と口をそろえる。

人は強いストレスを受けることで現実を見るフィルター(認知)がゆがみ、マイナス
思考や自分を追い込む考え方に陥りがちだ。
悩みの原因ばかり追究するのではなく、どうすれば次に進めるのかをまず考えたい。
 
認知行動療法では、自分の行動や考え方を見つめ直す。
物事の受け取り方のゆがみを修正して、気持ちを楽にしたり、行動を変えたりする治療
法だ。
心の健康には、認知(コグニション)とコントロール感覚、コミュニケーションを表す英単語の頭文字を取った「3つのC」が重要だ。
 
健全な認知を支えるのが、睡眠と気分転換だ。
睡眠は1日6時間が目安。
眠れなくても、横になるだけで一定の効果が期待できる。
気分転換は好みの方法を選ぼう。
映画や読書、ストレッチのほか、家でグラブラするだけでもよい。
ただし、飲酒は要注意。
依存症につながるおそれかある。
 
仕事や家事などを自分の裁量で進めているという実感(コントロール感覚)を持つことも大切だ。
視野が広がって考え方や行動が柔軟になり、心の状態が変わる。
身近な人に悩みを話すだけでも、ストレスはかなり軽くなる。
家族や職場の同僚がストレスの元になっていることがある。
行き付けの美容師など聞き上手な接客のプロに話すのも一案だ。
  
一つ一つは難しくないが、実行に移さない人は多い。
体力がある人や責任感が強い人ほど「まだ大丈夫」と自分を過信しがちだ。
たまったストレスを放置すると、どんどん心身がむしばまれる。
  
自力で解決するのが難しいと感じたら、職場のカウンセリング室や医療機関で相談し
よう。
大切なのが、専門家との相性。
最初に相談した医師やカウンセラーとの相性が良くないときは、簡単に変えない方がよいが、他の人に相談する方法もある。
  
生きている限り、ストレスはつきまとう。
適度なストレスは集中力を増す効果もあり、ストレスそのものは決して悪者ではない。
 
自分1人で抱え込まずに、日常生活で工夫しながらストレスの状態を適切に保とう。

参考・引用
日経新聞・朝刊 2018.7.28


<私的コメント>
この記事を読まれて「なるほど」と思われた方もいれば、一方で「では具体的にどうすればいいのか」「これができれば苦労しない」という感想を持たれた方もみえるのではないでしょうか。
私自身は循環器内科が専門ですが、勝負の早い病気を日頃診ていると「精神科医」にならなくてよかったと思ってしまいます。


<関連サイト>
自分では自覚していない「隠れストレス」の見つけ方
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/17/013000009/100300016/?P=2

その疲れは「休め」のサイン 慢性疲労に陥るメカニズム
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO98757850T20C16A3000000?channel=DF130120166093