若い女性のバセドウ病

若い女性の大量発汗・体重の異変・・・バセドウ病かも

疲れやすい、集中できない、食べる量は同じなのにやせてきた、あるいは太ってきた・・・。
こうした不調が続いているようなら、甲状腺の病気かもしれない。
女性に多く、更年期障害産後うつなどと間違われることもあるが、きちんと治療すれば元気を取り戻せるという。

バセドウ病は、甲状腺ホルモンの量が増えすぎる病気の代表だ。
20~30代の女性に多いが、それより上の年代でも起こる。

全身の新陳代謝が活発になりすぎて、常にジョギングしているような状態になるため、動悸や発汗、微熱、手の震え、疲れやすさ、食欲増進、イライラ感などの症状が現れる。
不整脈などの病気や更年期ののぼせと間違えられることもある。
更年期ののぼせはじっとしていても突然カーッと熱くなるが、バセドウ病の場合は動くと汗が多量に出て熱くなるなど両者は違う。
また目つきがきつくなったり、眼球が出たりする目の症状も3割程度の人に見られる。
喫煙者でそのリスクが高い。

甲状腺ホルモンの量は本来、脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されているが、バセドウ病では「抗TSH受容体抗体」という自己抗体ができて、常に甲状腺を刺激。
その結果、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう。
そこで血液検査でこの自己抗体の有無や甲状腺ホルモンの量などを調べた上で診断する。
 
治療は、甲状腺ホルモンが過剰に作られないようにする抗甲状腺薬の服用が基本。
2カ月ほどで甲状腺ホルモンが正常値になり、症状が消える。
その後は徐々に薬を減らし、抗TSH受容体抗体が低値になれば、薬をやめられる。
ただし、「薬で改善しなかったり、副作用が強かったりする場合は、手術やアイソトープ(放射性ヨウ素)治療を検討する)ことになる。

バセドウ病は妊娠適齢期に発病しやすく、不妊や流産、早産の原因になることもあるが、しっかり管理すれば妊娠出産も大丈夫となる。

出産後に起きやすい甲状腺のトラブル
「育児って、こんなに疲れるの!?」──。
出産後に動悸や疲れ、体重減少がひどく、産後うつと思っていたら、実は甲状腺の異常だったという例も少なくないという。
女性は出産することで体質が変わることが多い。
体調が悪い人は一度、甲状腺の検査を受けてみたほうがよい。
 
出産後に起こりやすいのが「無痛性甲状腺炎」だ。
甲状腺ホルモンの産生量は正常だが、甲状腺に蓄えられていたホルモンが血液中に漏れ出ることで、ホルモン値が一時的に上がる。
バセドウ病と間違えられやすい。
 
蓄えられていたホルモンが数カ月かけて放出されたら、ホルモン値は自然と元に戻る。
ところが、バセドウ病と間違って早々に投薬を始めると、ホルモン値が下がりすぎたり、回復しなかったりすることがある。
甲状腺ホルモンの数値だけでは診断が難しいので、抗TSH受容体抗体も調べてもらい正しい診断を仰ぎたい。

参考・引用一部改変
日経ヘルス 2018.6