深夜残業・不規則な生活による「体内時計の乱れ」

深夜残業・不規則な生活、睡眠障害や糖尿病のリスク

「体内時計の乱れ」調査し改善策探る
深夜残業や、夜勤と日勤を繰り返すなどの不規則な生活で起きる、体内時計の乱れによる不調の実態調査に厚生労働省が乗り出す。
体内時計の乱れは、睡眠障害や糖尿病など生活習慣病のリスクを高めるとされる。
人工知能(AI)で集めたデータを解析し、改善のための初となる指針を作り、健康寿命を延ばすことにつなげたいという。
 
人間は「概日(がいじつ)リズム」と言われる約24時間サイクルの体内時計を持ち、食事、睡眠、排泄などに伴う体温や血圧、ホルモン分泌、脳の活動などを変化させ、調節している。
生活が不規則だと、体内時計が乱れやすい。
日中に脳が十分に働かなくなるほか、食事の時間がずれるとホルモン分泌が乱れ、高血圧につながるとされる。
認知症やがんとの関連も指摘されている。
 
概日リズム研究は、2017年にノーベル医学生理学賞を受賞するなど近年、注目が集まり、実生活での応用が期待されている。
 
厚労省などによると、不規則な働き方の人は増加傾向で、夜勤をする人は12年時点で推計約1200万人。
17年の調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満と答えた人は、男女とも40代が最も多く、男性48.5%、女性52.4%。
40代では、「休養が十分に取れていない」という人が約3割に上った。
体内時計が乱れている人も多いとみられるが、国としての実態調査はなかった。
 
国立健康・栄養研究所が子どもからお年寄りまで数千人を対象に食事や睡眠などを調べる。
対象者を絞り血液中の物質の追跡調査も検討している。
AIで集めたデータを解析し、「概日リズム障害」の評価方法を確立し、改善方法を探る。
問題がある人に食事や睡眠を改めてもらい検証した結果をもとに、5年かけて適正化指針をつくる方針。
 
同研究では「昼夜問わずに働く現代社会において、体内時計の乱れは大きな問題だ。日常生活での改善法を示し、病気の予防を図りたい」と話す。    


参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2018.10.28