味覚障害、亜鉛不足も原因に

味を感じない味覚障害亜鉛不足も原因に 食事で予防を

味覚障害は、味を感じにくくなる状態をいう。
症状で多いのは、何を食べても味が薄く感じる味覚減退と味を感じない味覚消失で、二つで全体の8割以上を占める。
治療の対象になるのは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五つの基本味が感じにくくなったり、感じなくなったりする場合だ。

日本口腔・咽頭科学会の2003年の調査によると、年間約24万人が味覚障害耳鼻咽喉科を受診していた。
60~70代の高齢者の女性が多い。
中には歯科や内科を受診する患者もいるため、全体では推定で35万人に上るという。
 
味覚障害の原因で多いのは、亜鉛の不足だ。
血液中の亜鉛の量は普通に測定可能だ。
最近では薬の副作用による味覚障害も増えている。
味覚障害を訴える患者の約3割が薬の副作用によるもので、65歳以上の高齢者では半数近くを占めるという。
抗がん剤のように急に障害が起きる場合と、高血圧の薬のように長期間の服用で徐々に障害が起きる場合とがある。
 
治療は、亜鉛不足が原因の場合は薬で補う。
この治療で7割の患者に改善が見られるという。
亜鉛不足のほかにも、舌にある味を感じるセンサーの味蕾が乾燥したり、ビタミンB群が不足して味を脳に伝える神経の伝達を阻害したりして味覚障害になることもある。
その場合は併せて治療をする。
 
亜鉛不足になる原因の多くは食事。
食事に気をつけることで味覚障害の予防につながる。
本来食事からとるべき亜鉛の量は成人の場合1日に7~30ミリグラムとされている。
だが、日本人の一般的な献立の1日亜鉛摂取量は平均8~9ミリグラムと少ない。
 
食品添加物亜鉛と結びついて体内に亜鉛が吸収されるのを妨げているとも言われる。
添加物の少ない食事を心がけ、亜鉛を多く含む食材をとるよう心がけることが大切だという。
亜鉛を多く含む食材は、魚介類のカキ、赤身の肉やほうれん草など。
亜鉛の吸収を助けるたんぱく質もしっかりとるようにする。     

朝日新聞・朝刊 2019.1.25