今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その7

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前回に引き続き家森幸男先生の本からの
紹介です。


「今110歳まで生きられる!  
脳と心で楽しむ食生活」
家森幸男 著  生活人新書  
日本放送出版協会 発行

興味を持たれた方は是非、本でお読みください。
素晴らしい本です。

魚が高血圧地域を救う

世界の研究が進むとともに、魚をとっている人たちには、肥満も、高血圧も、
高脂血症の割合も少ないことがわかってきました。
その理由は、私たちの脳卒中ラットを使った研究により理解できます。
まず血圧について。
脳卒中ラットはストレスによって血圧が上がりやすくなります。
しかし、このとき魚に含まれるタウリンを与えると血圧の上昇を抑えられます。
タウリンは交感神経のはたらきをおさえ、副腎や神経末端から出るアドレナリン、
ノルアドレナリンを少なくするため、血圧が下がるのです。
同じことが人間にもあてはまることを証明するため、交感神経に最も関連する
心臓の心拍数を調べてみました。
世界中の人で統計を取り直したところ、タウリンをとっている人の心拍数は低い
ことが確認されました。
また、アメリカの大規模な研究では、心拍数の低い人は存命が長いという結果
が出ています。
心臓はだいたい生涯でほぼ25億回動いて役目を終えるといわれますから、
心拍数が低くなればその回数に達するのが遅くなり、長生きができるという
わけです。
つまり、魚を食べて交感神経をなだめれば、心拍数がゆっくりとなり、その分
だけ寿命が延びることになる。
ひょっとすると、最近の子どもたちがキレやすくなった理由も、ここにある
のかもしれません。
あまり魚を食べなくなったため、交感神経のはたらきを抑えられなくなった
のではないでしょうか。

またタウリンには、コレステロールを抑える効果もあります。
コレステロールは肝臓で処理され、胆汁になって出てきます。
その胆汁をつくるスピードを上げ、コレステロールを素早く処理するために
重要なはたらきをするのが、7α水酸化酵素です。
私たちの研究で、タウリンを与えると、この7α水酸化酵素がよくはたらく
ことがわかってきました。
ですから、タウリンコレステロールを減らし、動脈硬化を防いで心臓死を
減らすことができるのです
そして、タウリン脳卒中の直接の引き金の一つとなる炎症も防ぎます。
栄養障害で血管がもろくなると、それを修復するために炎症という防御
反応が起きます。
しかし、炎症が過剰に起こると活性酸素が出過ぎ、かえって血管がもろく
なるおそれがあります。
これは、脳卒中にも心臓死にもつながると考えられています。
ところが、白血球の中にタウリンがたくさんたまっていれば、炎症で白血球
がはたらくときにタウリンが一緒に出て、活性酸素の害を防ぎ、炎症を適切
なところでとめてくれるはたらきがあるのです。
魚がもつ効用は、タウリンだけにあるのではありません。
動物の油は温度が下がると固まりますが、魚の油は温度が下がっても固まり
にくく、さらさらな状態を保つのです。
魚は冷たい水の中を泳いでいますから、そのくらいの温度で固まるような脂
では生きていけません。
動物性脂肪がなぜ悪いのか。
わかりやすく説明すると、脂が固まれば動脈硬化が起こりやすくなり、心臓
死になりやすいのです。
オリーブオイルなどの植物性の油にも、温度が下がっても固まらないという
性質があります。
実際、私たちの調査でも、主に動物から脂をとっている人たちより、魚や
植物からとっている人たちのほうが、心
臓死で亡くなる割合が低いことがわかりました。
このように、固まりにくいという点では同じように利点のある魚と植物です
が、血液さらさら効果という点では魚に軍配が上がります。
植物の油にはリノール酸という物質があります。
もともと、善玉コレステロールを増やすはたらきがある「よい油」と考え
られていたのですが、実は、血栓をつくりやすくし炎症を強める性質がある
のです。
血栓が多くなれば脳卒中心筋梗塞になりやすくなります。
このことについても、私たちの調査によって、主に植物から油をとっている
ところより、魚から油をとっているところのほうが、心筋梗塞で亡くなる
割合が低いことが確認できました。
こうしたさまざまな利点のある魚をチベットの人に食べてもらえれば、
きっと高血圧を抑えられ、短命から救うことができるはずです。
しかし、大きな問題がありました。
信仰深いチベットの人はそもそも魚を食べないのです。
近くに大きな湖があり、魚はたくさんいるのですが、つかまえて
食べようとはしません。
理由として考えられるのは、先祖を水葬にしていることです。
よく知られている鳥葬は、手間がかかりますから、実際には地位の高い人
だけのもので、一般の人たちは昔から湖に葬られるのが普通でした。
遺体は、魚が食べてきれいにしてくれます。
ですから、魚には魂が宿っていると考え、口にしないのです。

以下略

<コメント>
今回の章では、チベット自治区の紹介です。
富士山と同じくらいの高度に住んでいるため、食材も限られ短命地域
だそうです。
おいしい岩塩の産地でもあり、蛋白不足もあいまって高血圧の人が
多いとのことです。