トランス脂肪酸って

鈴木英人 シルク『きっとどこかに』
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t50546901?u=;artfolio11


10月30日の朝、診察室に向かう前にNHK生活ほっとモーニング」を見ました。
前から気になっていた「トランス脂肪酸」が取り上げられていました。

シリーズ 食品表示を考える(1) 
ご存じですか?トランス脂肪酸
http://www.nhk.or.jp/hot/onair_old/index2.html

みなさんもすでにご存知のことと思いますが「マーガリンが危ない」に代表されるように、
諸外国ではすでに規制されています。
しかし、日本では放置されているのが現状です。
さて、われわれはどうすればいいのでしょうか。

まずは「トランス脂肪酸」のアウトラインを把握していただくために
あるサイトからの紹介です。

ケーキ・クッキー・レトルト食品はだめ! 植物性の人工脂肪は健康の敵!
http://allabout.co.jp/health/familymedicine/closeup/CU20040518/


普段の食生活に深く浸透するトランス型脂肪酸

皆さんはトランス型脂肪酸という脂肪酸をご存知でしょうか?耳にしたことが無かった
としても、普段の生活で摂取されていると思います。
例えば、家庭でも天ぷらや豚カツを植物性油で揚げた時など、植物性油のような不飽和
脂肪酸を多く含む油を加熱処理した時に生成されます。

他に、マーガリン、ショートニング(無水マーガリン)などの食材にも含まれています。

実は、天然にはほとんど存在していない脂肪酸で、健康に及ぼす影響について少し考えて
いただきたいのです。

トランス型脂肪酸は花粉症やアトピー性皮膚炎にも関係します。

もともと脂肪酸は、生物学的には生体を構成する細胞膜の基本成分です。

私達の体を構成する細胞膜の脂肪酸は、免疫学的には炎症や免疫を促進(抑制)する
局所ホルモンであるプロスタグランジン系の元となります。
ところが、今回ご紹介したトランス型脂肪酸は生体内でプロスタグランジン系を作る
元として使うことができません。
そのためにトランス型脂肪酸を含む細胞膜は局所での炎症反応の調節に障害が
起きる可能性があります。
したがって、花粉症の症状にプロスタグランジン系が明らかに関係している人は、
トランス型脂肪酸の摂取は控えた方が懸命です。

もし、皮膚の細胞膜がトランス型脂肪酸を多く含むと、生体を構成する細胞膜が
不安定になるために、外部からの刺激に弱くなる可能性があります。
そのためにマーガリンの摂取量とアトピー性皮膚炎との関係も示唆されています。

米国でトランス型脂肪酸を規制するのは何故?

米国から輸入された加工食品を見ると、総脂肪量、飽和脂肪酸量、コレステロール
の表示があります。
これらが冠状動脈疾患(狭心症心筋梗塞)の危険因子となるからです。
そのために消費者に注意を促すために脂肪に関して表示が義務付けられています。
最近では、冠状動脈疾患の危険因子となるトランス型脂肪酸含有量も義務づけられる
事になりました。

ドイツでトランス型脂肪酸を規制した理由

腸の慢性炎症疾患でクローン病という難病があります。
ドイツではマーガリンの摂取とクローン病の因果関係が証明されました。

日本でトランス型脂肪酸の摂取を避けるには?

日本ではアメリカのように総脂肪量、飽和脂肪酸量、コレステロール量の表示を
義務化する動きはありません。
それより一歩進んだトランス型脂肪酸の表示の義務化も、当然ありません。
また、マーガリンの使用の制限もありません。

しかし成分表示があるのでマーガリンやショートニングの使用については
確認できます。

スーパーやコンビニで確認すれば、市販のペストリーや袋パン、ケーキ、
クッキー、レトルト食品はマーガリンやショートニングを使用してあることが
直ぐにわかるはずです。
ファーストフードやファミレスで加熱調理に使用している油もトランス型
脂肪酸を含んでいる可能性が指摘されています。

授乳中の方は特にトランス脂肪酸に気をつけましょう

母親がトランス型脂肪酸を摂取すれば母乳中に分泌されます。
急速に成長している乳児が取り込んだトランス型脂肪酸を自分の細胞膜に使うと
アレルギーやアトピー体質になりやすくなります。
授乳中の女性は特にトランス型脂肪酸に気をつけましょう。

まずば、自分の食べている油に関心を持ちましょう!

自分で食べている油について関心を持って生活することがトランス型脂肪酸摂取
を減らすことになります。
すぐにできることは、マーガリンを使用しない、加熱調理にはオリーブ油を使う、
マーガリンや植物油を使用した加工食品は買わないことです。

<コメント>
トランス脂肪酸の規制のない国内では自分で身を守らなければなりません。
特に家族に料理を作る主婦の方や授乳中の方は、健康被害が自分だけに
とどまりません。
日頃から食品を買う際には、成分にも注意を払って下さい。
気をつけるのは、世間をにぎわしている「賞味期限」だけではありません。
もっとも成分を偽(いつわ)れていては、それ以前の問題ですが。

今日は引用が多くなってすいませんでした。






トランス脂肪酸問題についてのQ&Aを改訂しました
http://www.jccu.coop/news/syoku/syo_050413_01.htm


天然に存在しないトランス型脂肪酸を多く含む
マーガリン・ショートニングは日本以外では禁止または制限されています
http://www.j-margarine.com/newslist/news8.html

マーガリンは身体に悪い? 米政府が規制に乗
り出す理由。
http://www.narinari.com/Nd/2005074739.html




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他にこんなブログがあります。
井蛙内科開業医/診療録  http://wellfrog.exblog.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/