皆さん、騙されていませんか?

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アレンバック  赤い花瓶の赤いブーケ  油彩画10号
http://page19.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x26728969


「先生、このブレスレットをはめるようになってから、体調がとてもいいんです。」
そんな患者さんが最近来院されました。
そんな中で、こんな新聞記事が目にとまりました。


『ブレスレットで血液さらさらに』 8000人被害二十数億稼ぐ

東京新聞 2007年11月6日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007110602062168.html

「身に着けるだけで体の血がさらさらになる」をうたい文句に、金属製のブレスレットを実際に効能があるように見せかけて高額で売りつけたとして、千葉県警は一両日中にも、詐欺容疑で、東京都豊島区の健康器具販売会社社長の男(60)ら同社関係者数人を逮捕する方針を固めた。
同社は数年前から全国で高齢者ら約八千人にブレスレットを販売。二十数億円の売り上げがあったとみられ、県警が全容解明を急ぐ。

調べでは、同社は全国各地を転々としながら、衣類や食料品などを格安で販売する「特設会場」を相次いで設置。
安売りに誘われた客を会場の奥に招き入れ、ブレスレットを売りつけていた。

会場では、ブレスレットを装着する前と後の二回、客に指先から血液を採取させ、顕微鏡で赤血球の様子を直接見させる“検査”を実施。
ブレスレットの装着後は、採血した容器を振ったり、顕微鏡で見るときに使うガラスのプレート上で血液を押しつぶしたりすることで赤血球の間隔が広がり、血液が「さらさら」になったかのように見せかけ、客をだまして購入させていた疑いが持たれている。

<コメント>
採血をすると医師法違反になるということで、当人に採血させていたという念の入れようです。
こんな商品は山ほどあるはずですが、どこまで許されてどこまでが問題か。
そこが問題です。
そしてHPやブログで医師でない人が健康や病気について論じること。
どこまでが問題ないのか。
これも問題だと思います。
私はこの方面のサイトを見るときはどのような肩書きの人が書いているかをチェックするようにしています。
もちろん医師が書いたものでも問題ないわけではありません。
批判的精神もお互いに忘れないようにしないといけませんよね。

薬剤師、鍼灸師、整体師、エステサロン、アイトレーニング。
白衣を着て先生と呼ばれている人は多くいます。
贋医者は論外としても、医師法違反スレスレの行為はまかり通っています。
全身麻酔に関連した歯科医師の医療事故も最近問題になりました。
救命救急士がどこまでやっていいのかという問題もくすぶっています。
要するにボーダーがはっきりしないのです。


さて健康グッズの次は食品です。

健康食品の落とし穴  錯覚を誘う広告の「行間」


健康食品のうたい文句の真偽を見分けるにはどうするか。
知っておきたいのが法律の規制だ。
病気の治療や予防の効果を示すのは薬事法違反。疲労回復、肌にうるおいといった健康効果について、健康増進法は著しく誤解させたり事実と異なったりするものを禁じている。

厚生労働省東北厚生局は「虚偽誇大広告にだまされない方法」として、注意すべき点を事例を挙げて紹介している。
医薬品を思わせるように病気の治療、治癒の効果が広告に書かれていたら、信じてはいけないなど、9点にわたって解説。
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/kawaraban200412.html

使い始めた後に湿疹など不快症状が出た場合について「体内の毒素が出ている」「体質改善の効果」などとしているものは注意が必要だと指摘する。
強い効果があると勘違いするし、実際に飲んでそんな症状が出たときに、医師に診てもらう機会を失う可能性があるからだ。

高橋久仁子・群馬大教授(食物学)は「宣伝トリックを見抜く目を養って」と話し、架空の健康飲料広告を示した。

【例文】
これはアンバランスな現代人の食生活を考えたカプサイシン入り飲料です。
カプサイシンは唐辛子に含まれる辛み成分。
体脂肪の燃焼を促進する作用があると言われます。
ちょっぴり辛いこの飲料を、ダイエットのおともに。

どこにトリックがあるのか。
カプサイシンに体脂肪の燃焼を促進する作用があることは認められているが、目に見える効果を得られるだけの量がこの飲料に入っているかは明確でない。
「ダイエットのおともに」して、何か効果があるかどうかも書かれていない。

「それなのに何となくわかった気になって、減量に役立つ飲料と早合点させられてしまう」。
錯覚を誘導するテクニックにつられるのだ。

食品のカロリー、栄養素について正しい数値を示した栄養成
分表示の欄こそ、確認する必要があると高橋教授健は言つ。
「広告やキャッチコピーの行間を読んではいけません」



<コメント>
この記事を読んだ後では、多くの健康食品の広告は問題ありという気持ちになります。
そして実際そうです。
有効性も無効性も証明できないところにもどかしさを感じます。
そしてそれらの食品や薬剤(?)は驚くべきほど高価です。
さて、実は医師の処方する薬剤についても、薬効についてはっきりしないものがあるのです。
代謝賦活剤、白内障の点眼薬、胃粘膜保護剤の一部が、新聞などでとりあげられた記事を読んだ覚えのある方もみえるのではないでしょうか。
医師も常に謙虚であるべきですよね。


医療専門のブログは別にあります。
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