乳がん用の抗がん剤ハーセプチン

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「がん」の話は自分や身内に降りかかって来て初めて他人事でなくなります。
その時に備えて最善の治療は何かを知っておくことは大切なことと思います。
「知識もくすり」。
知識さえあれば、そんな際に最善の治療を受けることが出来ます。
そして命が救えるかも知れないのです。
きょうは学会でスタンディングオベーションがあった発表を含めた乳がん治療の紹介です。

再発予防にも効果 リスク低下確認 高額費用が課題


乳がんが再発した際に使う抗がん剤ハーセプチン(一般名トラスツマブ)」を、手術後の
再発予防にも使えるようにしてほしいとの声が医者や患者の間で高まっている。
日本も参加した国際臨床試験(治験)でリスクが半減することがわかった。


愛知県春日井市のOさん(63)が乳がんと診断されたのは5年前。
3cmと大きかったが、幸いリンパ節への転移は無かった。

2002年5月、乳房を残す温存方式による手術を受けた。
術後3カ月間抗がん剤を投与しているころ、担当医の愛知県がんセンター中央病院乳腺科部、
岩田広治部長からハーセプチンを再発予防に使う国際治験を紹介され、二つ返事で参加を決めた。

ハーセプチンは抗体医薬と呼ぶタイプの抗がん剤。日本では2001年、乳がん再発時の治療用
で承認された。
進行性の高いがん患者で多くみられる遺伝子「HER2」の増殖を抑える。
乳がん患者の約3割が「HER2」型で、小川さんもその一人だった。

3週間ごとに通院し、体重1Kgあたり6mgを点滴で投与する治療を1年間、計17回受けた。
4年近く経過したが、再発は見つかっていない。
月に約10日、8Kmのウオーキングをするほどまで元気になった。

それまでの抗がん剤治療では、吐き気や倦怠感、脱毛など副作用で先んでしまうのではないか」
と思えた。
ハーセプチンは心臓に影響がでる例もあるというが、Oさんの場合、副作用はなかった。
「何かの役に立てばと思って治験に参加したが、逆に命を助けてもらえた」と振り返る。

乳がんの再発予防への効果を検証するため、国際治験は2002年秋にまった。
日本人患者約140人を含む5090人が参加した。
「HER2」を発現し転移の可能性がある患者が対象。抗がん剤治療などをして補助的に
ハーセプチンを使う。

ハーセプチンの1年間使用、2年間使用、偽薬(プラセボ)の3グループに無作為に分けて
3週間ごとに投与し、再発なしの生存率を比べた。
 
治験の結果、投与すると1年後の再発の危険性は46%低下した。
再発を防ぐ術後補助療法で重要な無再発での生存率は2年後で85.8%。非投与の77.4%
から改善した。

2005年5月、米国オーランドであった米国臨床腫瘍(しゅよう)学会で代表者が報告、
3000人を超すがん治療医らはスタンディングオベーションでたたえたという。
今では欧米では術後1年間利用するところもある。

岩田部長は「再発治療で効果があるのはわかっていた。必ず患者のメリットになる」と断言する。

ハーセプチンの課題は高額な治療費だ。1回の
投与で自己負担分だけで約10万円。
1年だと170万円にもなる。
再発治療でも、経済的な理由で治療を断念する患者も出ている。
「高額医療費補助などの制度もある。病院などに相談してほしい」(岩田部長)

国内では中外製薬が2006年11月、厚生労働省に術後補助療法の申請をした。
患者団体ソレイユなどは「来春にも認められるのではないか」と期待している。

待ち切れない患者は多い。
医療機関に相談し、再発したことにしてもらって投与する例もあるといわれる。
日本乳癌学会理事長の園尾博司・川崎医科大学教授は「不正をしないように指導している。
一部の人だけ受けられるのでは患者が納得しない。早く承認してほしい」と訴える。

がん治療最前線 日経新聞・夕刊 2007.12.11
版権 日経新聞




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