今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その20

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家森幸男先生の本からの紹介です。

「今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活」

家森幸男 著  生活人新書   
日本放送出版協会 発行

興味を持たれた方は是非、本でお読みください。
素晴らしい本です。

きょうは今までの話の総集編的な内容です。
いよいよ次回が最終回となります。

長寿の青い鳥は日本にいた!


長寿をめぐる私たちの冒険は、20年間で25ヵ国61地域に及びました。
そのなかで、脳卒中ラットの研究でつかんでいた長寿の秘訣が証明されたばかりでなく、
思いもしなかったような数々の発見がありました。

蛋白画を十分にとることは血管を強くすること。
ナトリウムとコレステロールなど動物性の脂の過剰摂取を控えて、これらの害を打ち消す
カリウムや食物繊維の多い野菜・果物を積極的にとれば、高血圧や高脂血症が防げること。
魚介類からタウリンやDHAなどの油をとれば血圧も下がり、血液をさらさらにするのを
助けること。
イソフラボンなどのポリフェノールが女性ホルモンの代わりをして血管の健康を保って
くれること。
さらに、それらを過不足なくとることで相乗効果が生まれることもわかりました。

世界各地の長寿で知られる地域の食生活は、それらの要素を、それぞれの気候や環境に
合った形でとり入れていました。
肉はゆでこぼして食塩や脂を落とす食べ方。
食塩をとらずにすむための香辛料の利用。
蛋白質をとって免疫力も高めるヨーグルトの力。
食塩などを加えず乾燥させて果物や野菜を保存させる知恵。
ポリフェノールを含む皮ごと、種ごとブドウを食べる習慣。
イソフラボンを含む大豆を使ったざまざまな加工食品などなど。
それらのなかには、地球の裏側ほど遠く離れたところでも同じように行われているものが
あることに驚かされました。

また、エクアドルのビルカバンバ、トルファンやホータンのウイグル族タンザニアのマサイ族
のように、都市化が進んで食生活が崩れれば、これまでの長寿であった地域でも瞬く間に健康
状態が悪くなり、短命への坂を転げ落ちる危険性があることには心を痛めました。
逆にネパールなどでは、これまでの食生活に少し変化をつけることで、短命から長寿へと
転換する一筋の光も見えてきました。

こうした世界中のデータを比較するなかで浮かび上がってきたのが、日本食の素晴らしさです。
大豆や魚を日常的にとり、米を味つけせずに食べるという食生活は、いずれも長寿の秘訣に
かなったものです。
もちろん、日本の伝統的な食事がすべてよいというわけではありません。
食塩のとりすぎは脳卒中の増加につながりますし、寝たきりや認知症の原因ともなります。
蛋白も野菜も足りないという時代もありました。
しかし、それらの欠点を改善すれば、日本食は、究極の長寿食にもなりうると思います。
「青い鳥」の寓話のように、日本を飛び出して探し求めた長寿の秘訣は、実は日本にあった
のです。

そして、日本食のよさを世界に発信することで、世界中の人々に役立たせることもできると
確信しました。
こちらの食文化を押しつけるのではありません。
大豆をうまく入れたパンをつくったり、ジュースに入れたり、長寿食の栄養源をうまく相手
の食文化にとり入れてもらえばよいのです。
もちろん、世界には日本にはないよさをもった素晴らしい食文化もたくぎんありますから、
お互いにそれをとり入れ合えば、「究極の長寿食」がいくつも生まれることでしょう。


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