「栄養」よりも「営養」を

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最近の新聞に出ていた家森先生のリレーエッセイからの紹介です。
家森先生の書かれた書物やエッセイは、今までもこのブログで紹介させて
いただいて来ました。
食育を通じた健康・長寿を研究してみえますが、もともとは高血圧の研究で
有名な医師です。

「栄養」よりも「営養」を

予防栄養学研究者 家森幸男
「食はいのち」といわれるように、自分の生命を守り、人の健康を大切にするために、
何を食べ、何を食べていただくかは栄養の原点。
この栄養教育、食育が知育、徳育、体育と並び重要だと最初に言ったのは、福井県出身
の医師、石塚左玄(さげん)(1851~1909)。
実は、食育は明治の造語、漢字の国、中国にはない。

食と健康の世界調査のため中国を最初に訪れたのは1985年。最先端の日本の医療を
役立てようと日中友好病院が創設されたところ。
この病院にも「営養科」があり、漢方も生かされていたのはさすが医食同源の国と感心した。
でも「栄養」ではなく
「営養」で、解放後に漢字を簡略化した際に日本と異なる字になったのかと思った。

日本で「栄養」という言葉が一般化した明治のころには、「営養」とも書いていた。
法律用語でも「栄養」に統一されたのは旧国立栄養研究所が創設された大正時代。
実は、中国語の原典は「営食養生」で、”食を営めば生命が養われる”との意味。
時は富国強兵の時代。食を栄えさせ栄養をとれば国民の体位は向上するとの考えから
「栄養」となったのか。

今や食を営む「営食」の本家中国では、日本に冷凍食品を大量輸出する食品工場が栄え、
豚肉に代わり牛肉が大人気。
「栄食」一辺倒では「養生」が危ない。
日中ともに「営養」の原典に立ち返るべきだ。

人類の健康の祭典、北京オリンピックまで半年を切った。
この体育の祭典は医食同源の食文化を共有する日中が、世界の人々に「営食養生」の食育
の原典を発信すべきときだ。
欧米の食習慣が世界を席巻し、肥満や生活習慣病が蔓延する地球を救う第一歩になれば
と願う。
日経新聞・夕刊 2008.2.16

~食育のルーツは健康長寿ふくいから~
http://info.pref.fukui.jp/hanbai/shokuikuou/ishizuka.html
名前から想像するにちょんまげを結った人と思ったのですが、このサイトの写真でみる
かぎりそんなに昔の人でもなさそうです。
地方に先祖代々伝わってきた伝統的食生活にはそれぞれ意味があり、その土地に行ったら
その土地の食生活に学ぶべきであるという「身土不二(しんどふじ)」の原理を発表する
とともに、食の栄養、安全、選び方、組み合わせ方の知識とそれに基づく食生活が心身とも
に健全な人間をつくるという教育、すなわち『食育』の大事さを説いています。

ふくいの健康長寿の謎解き
http://info.pref.fukui.jp/kenkou/choujuhoukoku.html
平成12年の福井県の平均寿命は男女とも全国2位であり、日本を代表する健康長寿な県です。
県では平成16年度、福井県の健康長寿の要因を探るため、さまざまな統計調査、文献等を
もとに検討を行い、また、県民の栄養や健康面等の調査も行いました。
食育
http://ja.wikipedia.org/wiki/食育
石塚左玄
http://ja.wikipedia.org/wiki/石塚左玄

あるサイトでは「明治陸軍三奇人の一人と言われた」という記載もありました。