タミフル最新事情 2007.12.28

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タミフル治療混乱も 厚労省調査会結論先送り

使用現場任せに
インフルエンザ治療薬タミフルと異常行動の関係を科学的に検証してきた厚生労働省
の調査会は25日、因果関係の有無の明確な結論を出せず、先送りした。
10代の患者に対するタミフル服用の原則禁止は継続されるが、例年になく早い
インフルエンザ流行を前に、本来必要な人がタミフルの治療を受けられないと懸念する
専門家もおり、医療現場では混乱が予想される。

調査会座長の松本和則・国際医療福祉大教授は、現状維持の結論について「現時点では
タミフルと因果関係を示す結果は得られていない。
解析が終わっていない調査があり、使用解禁の根拠がない」とした。

この日報告された同省研究班の調査では、タミフルの服用の有無にかかわらず17歳以下
のインフルエンザ患者での異常行動の発生率は、軽症例を含め約14%。飛び降りなど
危険性の高い異常行動は0・5%に上った。
10~17歳で見るとタミフルを服用しない患者の異常行動発生率は11%と、服用した
群の6%に比べ高かったが、大きな差(統計的有意差)はないとした。
同省が10代への使用中止を求めた3月21日以降も、'''30歳未満で35例の異常行動が
報告され、うち23例はタミフルを服用していなかった。'''

今回の現状維持の決定で医療現場での混乱は続きそうだ。
調査会座長の松本教授は「10歳未満は、医師と相談して決めてほしい」とするが、
インフルエンザの治療に詳しいけいゆう病院(横浜市)小児科部長の菅谷憲夫さんは、
タミフルを飲まなければ大丈夫』という認識は誤り。10歳未満の患者は
インフルエンザで肺炎を起こす可能性もあり、必要な患者には処方することも大事」
と指摘する。

東京小児科医会会長を務める松平小児科(東京都文京区)の松平隆光院長は、タミフル
異常行動の原因である可能性が残っている以上、原則タミフルを処方しない方針だ。
10歳未満の患者で「不安だから飲ませたくない」という親がいる一方、
「以前飲ませたら急に熱が下がった。できれば処方して」という親もいるという。
そうした親には、「水を十分飲ませ、寝かせてあげて」と説明している。

大阪大コミュニケーションデザイン・センターの小林傳司教授(科学技術論)は
厚労省と研究者は、調査結果の科学的な意味と限界を踏まえ、タミフルを使った場合と
使わない場合に考えられる危険性をもっと国民にわかりやすく説明すべきだ」と話している。
(2007年12月26日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071226-OYT8T00219.htm

タミフル「10代禁止」継続…厚労省調査会

異常行動 因果関係判断保留
インフルエンザ治療薬タミフルを服用した子どもに昨冬、飛び降りなど異常行動が相次いで
報告された問題で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は25日、
タミフルと異常行動の因果関係は現時点で判定できないとした上で、10代へのタミフル使用
を原則中止している措置を「妥当」とする見解をまとめた。
ただ、インフルエンザの発病で異常行動が起きる可能性もあることから、タミフルを服用
しなくても注意が必要とした。
今後も因果関係の調査を継続し、早期に結論を出したいとしている。

調査会はこの日、「飛び降り」「徘徊(はいかい)」など異常行動が起きたインフルエンザ
患者の症例とタミフルとの因果関係を調べた研究班の報告を中心に検討した。

昨冬にインフルエンザと診断された17歳以下の患者約1万人を対象に分析した大規模疫学調査
(研究班長・広田良夫大阪市大教授)で、おびえるなどの軽度の異常行動を含めた発生率を見ると、
タミフルを服用した患者の異常行動の発生率は10%と服用しない人の22%の半分だった。
10~17歳でも同様の傾向だった。
飛び降りなど生命にかかわる異常行動では発生率に大きな差がなかったが、
「まだ解析の余地があり、因果関係は判定できない」とした。

また全医療機関を対象に、異常行動を起こした137人の患者を追跡した調査(研究班長
岡部信彦国立感染症研究所感染症情報センター長)でも、6割がタミフルを服用していたが、
記憶などをもとにしたデータが中心で、信頼性が低いため因果関係は判断できなかった。

調査会は、タミフル以外のインフルエンザ治療薬である'''ザナミビル(商品名リレンザ)などに
ついても異常行動の報告があった'''ことから、これらの薬の添付文書に「異常行動の発現の
おそれがある」などの使用上の注意を新たに記載するよう求めた。

タミフルを巡っては、服用した子どもが建物から転落するなどして死傷する事例が続発し、
厚労省は3月、10代へのタミフル使用の原則中止を決めた。

調査会はインフルエンザ流行前の因果関係の解明を目指したが、今年は過去20年で最も早く
流行シーズンに入り、患者が急増。
12月10~16日の1週間に全国約5000か所の医療機関から報告された患者数は
約2万7000人に上っている。

タミフル
一般名はリン酸オセルタミビル。
インフルエンザウイルスが体内で増えるのを抑える働きがあり、発熱から2日以内に服用
すると、症状を軽くする効果が期待できる。今冬の供給量は約600万人分。
(2007年12月26日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071226-OYT8T00201.htm?from=goo



インフルエンザ治療薬のタミフルと異常行動との因果関係について、'''タミフルを飲まなかった
人よりも飲んだ人のほうが異常行動の出る割合が低い'''との調査結果を厚生労働省の研究班が
まとめました。
これを受け、厚労省の調査会は「さらに調査検討を進める必要がある」として10代への投与を
原則禁止した措置は当面、継続すべきだとの結論になりました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/biz/nms/days/071226/t6.htm

4割がタミフル服用せず 異常行動の137人調査
2007年12月17日 朝刊

飛び降りなど重度の異常行動を起こしたインフルエンザ患者は昨シーズンは137人いたが、
治療薬タミフルを服用していたのは60%で、38%は服用していなかったとする
厚生労働省研究班の調査結果が、16日の同省専門家作業部会に報告された。

タミフルを飲まなかった患者にも異常行動がみられることは、以前から指摘されている。
作業部会メンバーの内山真日本大教授は記者会見で「インフルエンザで異常行動が起こりうる
ことが分かった。
薬が直接何かを起こしているという可能性は小さいことを示唆するデータ」と述べた。

同省は別の疫学調査の結果なども踏まえ、25日の安全対策調査会でタミフルと異常行動の
因果関係を評価する方針。

岡部信彦国立感染症研究所感染症情報センター長を主任研究者とする研究班は、すべての
医療機関に対し、突然走りだしたり飛び降りたりなど重度の異常行動を起こしたインフルエンザ
患者の報告を求めた。
昨シーズンで該当した30歳以下の患者は137人で、平均10歳、74%が男性。
82人(60%)はタミフルを飲み、52人(38%)は飲まず、3人(2%)は不明。

研究班は、同省が3月にタミフルの10代への処方中止をした後も'''「異常行動は減ったとは
言えない」'''と分析。
一方で「過去にさかのぼっての調査のため、偏りが生じている可能性がある。
異常行動の発症率の推定、タミフル服用の有無別の比較は難しい」としている
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007121702072709.html

タミフル処方中止、「異常行動」に増減なし・厚労省研究班
 インフルエンザ治療薬タミフルの服用と異常行動の因果関係を調べている厚生労働省研究班
(主任研究者=岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長)は16日、インフルエンザ
患者の異常行動の発生頻度は、今年3月に厚労省が10代の患者へのタミフル投与を控えるよう
指示を出した前と後で、明確な増減がみられなかったとする調査結果を発表した。

厚労省が指示を出した3月20日以前は51例(うちタミフル服用は40例)、21日以後に18例
(同2例)の異常行動があった。
インフルエンザの流行状況を考慮すると発生頻度が減ったとは言えず、またリレンザなど
別の薬を服用した患者でも異常行動がみられたという。

研究班の内山真・日本大学教授は「タミフル服用の有無に関係なく、インフルエンザ患者で
異常行動が起こることがはっきりした。
今後は薬が異常行動を増幅しているかどうかが調査の焦点になる」と話す。(16日 21:01)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071217AT1G1601016122007.html



<コメント>
薬害肝炎の訴訟問題をかかえる厚労省としてはタミフルに関しても当然慎重にならざるを
得ません。
当然の対応と思われます。
しかし今回注目されるのは'''タミフルを飲まなかった人よりも飲んだ人のほうが異常行動の
出る割合が低い'''という厚生労働省の研究班の調査結果です。
逆に10代の患者に対するタミフル服用の原則禁止の措置が将来的に厚労省にとって
仇にならなければよいのですが。

今回、冗長な引用になったのはタミフルに関する2007.12時点での厚労省の考えを将来
に備えてドキュメントしておきたかったからでもあります。

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