今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その21

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トーマス・マックナイト 「シカゴイブニング」 版画
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家森先生の書かれた本の紹介もいよいよ最終章を迎えました。
私はこの本から実に多くのことを学びました。
それは食生活という日々の営みから得られた実証だからです。

「今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活」
 家森幸男 著  生活人新書   
 日本放送出版協会 発行

日本女性が長寿である理由 その1(1/2)

以上、世界25カ国61地域を回ってわかった長寿の秘訣を見てきましたが、
最後に「なぜ日本の女性は世界一の長寿になりえたのか」ということについて
まとめてみたいと思います。

私が各地域を訪れて実感したのは、日本の女性は世界で最も美しく、最も健康的
な生き方を実践されているということでした。
本文でも触れたように、私たちが調査対象とした50歳代前半という年齢は、
女性が更年期を迎える時期にあたります。
閉経後は女性の美しさと健康を保つ働きをもたらしていた女性ホルモンが確実に
減りますから、血圧が高くなるのはもちろん、コレステロールも上がり、
肥満も増えてきます。

ところが日本と中国の女性だけは、女性ホルモンの代用的な働きをするイソフラボン
をふだんの大豆食からとり入れていることで、肌の潤いを保っていました。
肌が若いということは当然、皮膚の循環がよいことを示し、ひいては脳や心臓や腎臓
の循環もよいということにつながります。
さらには日本人の場合、魚をたくさん食べますから、魚介類にたっぷりと含まれた
タウリンを摂取することで、血圧もコレステロールも低くなります。
事実、日本の女性は心臓死やがんによる死亡率が世界一少ないことで知られていますが、
それが全体の死亡率を下げているのです。

このように、伝統的な食事の栄養という面から日本の女性は健康を手に入れたわけ
ですが、そこには最近わかってきた「脳と心」というものも関係していると思います。
まず「脳」で見ていくと、東北大学教授の川島隆大先生の研究で「脳機能イメージング
というのがあります。
これによれば、料理のメニューを考えているときや実際に調理しているとき、脳の
前頭前野が大いに活性化していることがわかりました。

考えてみれば日本の女性は、家族のために毎日毎日の食事をつくってくれる存在
でした。
少なくとも現在長寿を保っているお年寄りたちは、料理に関しての知識をすべて
待っていたと言えます。
そして、ここがもう一つの「心」という要素に関わってくる大事な部分ですが、
その知識を自分の趣味=楽しみとしてだけ使うのではなく、家族みんなのために
役立ててきた。
つまり、献立から調理、盛り付けして人前に出すまで、絶えず相手のことを考えて生きて
こられたわけです。

そこに私は、孔子が「論語」に残した「知者楽、仁者寿(知者は楽しみ、仁者は命長し)」
の言葉を思い出ざずにはいられません。
最初に紹介した「人生」と「暮らし」の ”life” にも通じる思想といえますが、日本の
女性が長寿世界一を獲得した理由には、このような側面も関係していたと思うのです。

<コメント>
いよいよ家森先生の本の紹介も明日で最終回です。
きょうの話の中で「女性と料理」について触れられています。
私も以前から、料理は頭を使う作業であると考えていました。
頭の良い女性は呑み込み(理解)が良いのは勿論ですが、手際もよく料理も上手だという
のが私の持論でした。
そうでない女性はレシピをみて料理を作っても結局応用が効かず、大した料理もできない。
これは私の独断と偏見です。
いずれにしろ冷蔵庫などにあるものを頭に描きながら料理を考え、また補充の買い物をする。
大変頭を使う作業で段取りも要ります。
レシピをただの設計士が描いた設計図とすると料理はまさに現場監督です。
どの順で何をどのように調理していくか。
頭を使わないわけがありません。
そして手も使う。
画家や演奏家が長生きするのは細かい手の動きがあるからだという話を聞いたことも
あります。
さて、当院へ通院中の男性患者さんで定年を契機に2年間の調理専門学校に入られた方
がみえます。
出し巻きや大根のかつらむの試験があって難しくて何回も追試験を受けた話などを診察の度に
聞くことができます。
まことに微笑ましい話で、次の話(失敗談?)は何だろうと私も楽しみにしています。
この方にはしっかり長生きしていただいて、男の調理も長生きにつながるということを実証
していただきたいものです。
えっ?コックさんや板前さんはみんな長生きするかって?
仕事がらみはストレスが多いからきっと・・・・。



< 新聞切り抜き帖 >
*政治家が政策で評価されるのではなく、まるで芸能人(ピープル)であるかのようにその生活スタイルが人々の関心を集める現象をフランスではピポリザシオン(ピープル化、芸能人化)と呼ぶ。
  朝日新聞/朝刊 2008.1.5
(どっかの国にもそんな首相いましたね)

*人類はサルから進化した。進化の過程で毛が薄くなった。”ハゲ”は最も進化した人類である。
朝日新聞/朝刊 2008.1.5
  (確かにサルは毛がフサフサしています)

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