タミフル耐性インフルエンザ

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3月に入り何となく春の気配を感じるようになりました。
今季のインフルエンザ流行はすでにピークを過ぎており、流行終息宣言
も出されました。
そんな中、タミフル耐性インフルエンザによる集団感染例がニュース
になりました。
この耐性ウイルスが広がれば、感染力が強く致死性が高い新型インフル
エンザが発生した際に、最初から耐性を備えて流行する恐れが高まる
ことになります。
そしてタミフル一辺倒の新型インフルエンザ対策の地方自治体の備蓄も
無駄になるかも知れません。
ああもったいない。

タミフル耐性インフル検出 横浜で、患者5人から

治療薬のタミフルが効かない耐性インフルエンザウイルス(Aソ連型)が、
横浜市で計5人の患者から検出されたことが、同市衛生研究所の調査で
28日分かった。
少なくとも3人は集団感染とみられる。
別の治療薬リレンザは有効。

同研究所は、検出は一時的なものとみているが「Aソ連型の治療では薬の
選択に注意が必要」と指摘している。

5人は横浜市の同一区内で1月28日に受診した8-13歳の男女。
うち3人は同じ小学校の児童で、残りの2人は同じ医療機関を受診した。
いずれも、タミフル服用前の検査で耐性ウイルスが見つかった。

耐性ウイルスはその後検出されていないため、同研究所は「局地的な流行
だった」とみている。
ただ「タミフル耐性の拡大を防ぐためには、症状が改善しても、5日間の
タミフル服用期間中は会社や学校を休む必要がある」と呼び掛けている。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008022801000633.html
2008年2月28日
<コメント>
当院では今年はタミフルはほとんど処方せずリレンザを主として用いています。
これらの抗ウイルス剤は劇的に効くケースばかりではなく、また症状が比較的
軽い場合には著効したように思ってしまう場合もあるかも知れません。
この医療機関がどうして耐性インフルエンザウイルスを疑って衛生研究所に
連絡したのか。
その経緯を是非詳しく知りたいものです。
耐性ウイルスによる集団感染事例の確認は、今回が国内では初めてということ
世界保健機関(WHO)に報告されたとのことです。。
このことは耐性ウイルスのヒトからヒトへの感染例ということになります。
過去に国内でみつかった耐性ウイルスは、タミフル服用後に患者の体内で変異
を起こして耐性を持ったか、その患者と密接に触れ合う家族が感染した事例に
限られていました。


インフルエンザ、欧州でタミフル「耐性」急増・日本流入の恐れも

今シーズンのインフルエンザで、スイスのロシュ社が製造する治療薬「タミフル
の効かない耐性ウイルスが欧州で急増している。
ノルウェーなど北欧を中心に、高頻度で耐性が検出された。
日本に入ってきた場合、最も一般的な治療薬であるタミフルを投与しても効果が
期待できないため、専門家は危機感を強めている。

今年は日本を含め、世界的にAソ連型(H1N1型)のインフルエンザが流行
している。
欧州の国際的な感染症の動向監視ネットワーク「ユーロサーベイランス」によると、
ノルウェーではAソ連型ウイルスの70%に耐性が確認。
ほかにもポルトガル(33%)、フィンランド(29%)、フランス(17%)など幅広い
国々で、耐性ウイルスが高頻度で検出された。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080203AT1G0201L02022008.html
2008年2月3日
<コメント>
欧州では通常のインフルエンザにタミフルをほとんど使わないため、自然の突然変異
で出来たとみられています。
<コメント>
「日本の場合、ラムズフェルド元国防長官が関与するギリアド社と厚労省天下りの利権がらみで、大量のタミフルを備蓄し、副作用の少ないリエンザの備蓄は極端に少ない」という記事を読みました。
事実とすると国会で大きく取り上げるべき問題です。
新型インフルエンザの脅威に晒されている国民の命がかかっているのですから。
と、このぐらいにしておきます。


 
<番外編>

“お酒で憂さは晴れません”…「嫌な記憶強化」東大確認

憂さ晴らしに、酒の力を借りるのは無駄かも――。
東京大学松木則夫教授(薬品作用学)らが28日、そんな研究結果を発表した。
ラットを使った実験で、薄れかけた恐怖の記憶をアルコールが鮮明にする役割を示した
という。
成果は米国の専門誌に掲載された。

松木教授らは、ラットをふだんの飼育環境と違う箱に移し、電気ショックを与えた
いったん通常の飼育環境に戻し、翌日、恐怖を与えた箱に戻した。
ラットが箱の中でじっと動かない時間の長さから、「恐怖記憶」の度合いを測った

再び箱に入れて恐怖記憶を呼び覚ましたラットを2グループに分け、片方に'''アルコール
を飲ませた'''。
すると、酔ったラットは、しらふのグループより、箱の中でじっとしている時間が長く
なった。
思い出した恐怖記憶が、アルコールによって強められたと考えられるという。

松木教授は「記憶はいったん不安定になり、徐々に固定していくとされる。嫌なことを
忘れる奥の手は、おぼろげなうちに、楽しい記憶で上書きしてしまうこと」と酒に頼ら
ない忘れ方を勧めている。
(2008年2月29日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080229-OYT8T00267.htm

過労になると脳下垂体細胞が次々と死滅 大阪市大実験
極度の過労によって、脳の中心部にある内分泌器官、脳下垂体の細胞が次々と死滅して
いることを、大阪市立大の研究チームがラットによる実験でつかんだ。
これまでは過労は生体の機能が落ちるだけとみられていたが、実際は生命維持の中心器官
の一つが破壊されていることを初めて立証した。
熊本市で15日から始まった日本疲労学会で報告した。

厚生労働省によると06年度の脳・心疾患で死亡した「過労死者」は147人。
研究チームは過労を早く見つける「過労マーカー」の開発に役立つと期待している。

大阪市立大の木山博資(ひろし)教授(解剖学)らは、'''ラットの飼育箱の底に1センチ強
の深さに水を張り、5日間観察した'''。
'''ラットは体が水にぬれるのをとても嫌う性質があり、立ったまま数分うとうとする程度
しか眠れなくなる'''。
徹夜で働く人間と、ほぼ同じ状態だ。

このような状態のラットの脳下垂体を調べると、5日目に細胞が死滅し始め、下垂体の中葉
と呼ばれる部分がスポンジ状になっていた。

下垂体中葉には、脳の神経核A14という部分から神経伝達物質ドーパミンが供給されている。
疲労がつのるにつれて、A14のドーパミン生産能力が減り、下垂体の死滅細胞が増えていた。

実験後、飼育箱から水を抜くと、ラットはすぐに睡眠をとり、半日後には活動を再開した。
しかし、下垂体が元の状態に戻るには数日間かかった。早めの休養が重要であることを示して
いる。
朝日新聞 2008年02月15日)
http://www.asahi.com/science/update/0215/TKY200802150139.html

<コメント>
私自身、大学での研究で動物実験を行っていたので偉そうなことはいえませんが、これって
動物虐待ではないんですか。
動物愛護協会さん。


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