日本女性の健康

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敬愛する家森先生のエッセイの紹介です。

桃の節句に思う

予防栄養学研究者  家森幸男

明後日は桃の節句
女児の健やかな成長を願う機会である。
よく女の方が男より強く健康だといわれるが、私どもの世界61地域の調査でも、女性の方が
50歳代前半での生活習慣病のリスクが少なく、平均寿命が長かった。
生物学的に種(しゅ)を保つために、女性はホルモンによって護(まも)られているからでは
ないだろうか。

中でも日本の女性は健康に恵まれていて、平均寿命は世界一の86歳だ。
曰本の女性は更年期になっても高血圧、高コレステロール血症、肥満が西欧に比べて少なく、
更年期障害の症状も軽い。
おそらく大豆の摂取量が多く、大豆から毎日容易に摂れるイソフラボンの恩恵によるものと
考えられる。
この女性ホルモンに似た弱い作用が末梢の血液循環をよくし、日本女性の健康や世界に誇れる
肌の若さを支えていると思う。

しかし、これからも日本女性は長寿であり続けるだろうか。

厚労省の研究班の成果では、毎日大豆を食べる更年期の女性は週に2度以下しか食べない人
に比べ心臓や脳の梗塞が大幅に抑えられていたが、男性では大豆の効果は明らかでなかった。
男性は一般的に喫煙や飲酒などの影響を受けるからである。
昨今の女性の社会進出に伴い、女性も男性同様に
酒やたばこをたしなめば、大豆の効果も薄れかねない。
このままでは、女性の平均寿命が短縮されるおそれもある。

女子大生の血液検査を実施した結果、ほぼ半数が健康とされる基準に満たなかった。
食生活に加え、喫煙、飲酒などの生活習慣を見直す必要性を感じる。
歓迎すべき女性の社会進出が世界一位の平均寿命を脅かすことになってはならない。


朝日新聞・夕刊 2008.3.1
版権 朝日新聞社

<コメント>
男性の飲酒の有無、喫煙の有無ないしは両者の有無の寿命に関する疫学的研究には
あまりお目にかかったことがありません。
簡単に出来そうな気がしますが。
喫煙はともかくとして、適量の飲酒が「百薬の長」かどうかは愛飲家(?)の私としては
是非知りたいところです。

<自遊時間>
中国でメタミドホス積んだトラックが横転 地元紙報道
2008年03月02日00時45分
中国湖北省の高速道路で2月24日早朝、有機リン系農薬成分メタミドホス約5トンを
載せたトラックが横転した。
積んでいた300個余りの箱の約半数が破れて路上に流出、有毒ガスが発生した。地元紙
武漢晩報が2月26日付で伝えた。
ガスは強い風で広がり、数キロ先でも鼻を突くにおいが感じられたという。周辺住民や
環境などへの被害は出なかったが、高速道路は約7時間にわたって閉鎖された。
冷凍ギョーザ中毒事件で問題となったメタミドホスは中国で生産、販売、運搬が禁じられ
ているが、同紙はトラックがメタミドホスを運んでいた理由には触れていない。
asahi.com.
http://www.asahi.com/international/update/0302/TKY200803010306.html
(何でもありの中国。どんだけって感じですね)


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