風疹 油断は禁物

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トーマス・マックナイト「セントラルパークパノラマ」
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大学入試も終わり見事合格した新入生が書類を持って来院します。
大学の指示で麻疹(はしか)の検査をするようにということで抗体検査を
してもらうのが目的です。
薬学部などの実習がある学生は麻疹以外にも風疹、おたふく、水疱瘡
肝炎ウイルスの抗体検査がいる大学もあります。
きょうは麻疹ではなく、風疹をとりあげてみました。
女性の場合は婚約期間の間に最終的に風疹抗体検査をしておくことをお勧め
します。
妊娠してから調べても意味がありません。

妊婦感染、胎児に先天異常も 10代2割免疫なく予防接種必要に

4月から中学1年生と高校3年生を対象に、はしか・風しん混合ワクチン
(MRワクチン)の定期予防接種が始まる。
風しんは昨年若者の間で大流行したはしかの陰に隠れてあまり目立たないが、
妊婦がかかると胎児の先天異常につながることもあり、侮ることはできない。
はしかと同様、若い世代に免疫を持たない人が多く専門家はワクチン接種を
呼びかけている。

「今の10代の若者では風しんの免疫を持たない人が2割もいる。このまま
10年もたてば、妊婦の5人に1人が、風しんの免疫がないという怖い時代
がやってくるかもしれない」。
国立感染症研究所の多屋馨子室長はこう警鐘を鳴らす。

風しんはウイルス性の感染症で、春先から初夏にかけて流行期を迎える。
主な症状は発熱や発疹(ほっしん)、リンパ節の腫れなどだ。

高い発生頻度
はしかと比べると感染力は弱く、症状もそれほど重くならない。
ただ、妊娠初期の女性がかかると、胎児の先天異常につながることがあるから
要注意。
先天性風しん症候群」と呼び、代表的な先天異常としては心疾患、白内障
難聴の三つが知られる。

発生頻度は高い。
妊娠一カ月の女性が感染すると50%以上の確率で胎児に異常が起こると
される。
妊娠後の時間が経過するにつれ頻度は低下していくが、妊娠4カ月でも8%。
母親に症状が出なくても、ウイルスに感染するだけで胎児に異常が起こること
もあるという。
 
先天異常を防ぐため、1977年以降、中学生女子に風しんの定期予防接種
が続けられていた。
 
その後、89 - 93年は、はしか・風しん・おたふくかぜの三種混合ワク
チン(MMRワクチン)接種になったが、副作用を巡る訴訟で国が敗訴した
のを機に、1994年に予防接種法が改正された。

強制力を持っていた予防接種が、努力義務に「格下げ」になり、学校での
集団接種もなくなり、接種率が激減した。

10代の若者で、約1割が風しんへの免疫を持たないのはこのためだ。

4月から始まるMRワクチン定期予防接種は、はしか・風しんを予防する
目的のほかに、将来の胎児の先天異常を防ぐ狙いもある。

中高生の場合は4月から始まる定期接種をしっかりと受けることが肝心だが、
これから妊娠を考えている女性はどうしたらよいのだろうか

風しんは過去に一度でも感染したことがあれば普通は再びかかることはない。
ただ、症状はリンゴ病など別の病気と間違えやすい。「子供のころに
かかったことがある」と思いこんでいても、免疫を持っていないケースも
少なくない。

男性も配慮を
ワクチンも一回接種しただけでは数%の割合で免疫がつかないことがある。
多屋室長は「不確かなら自費でMRワクチンを受けたほうがよい」と勧める。

定期接種が中学生女子に限られていた時代に学齢期を過ごした30-40代の
男性は、4、5人に1人の割合で免疫を持っていない。
周囲の女性に感染を広げる可能性は今も残る。
多屋室長は「女性を守るために積極的にワクチンを受けてほしい」と呼びかけ
ている。

日経新聞・夕刊 2008.3.25
版権 日経新聞