健康診断の上手な受け方

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健康診断 上手に受けよう

運動や睡眠 数値に影響
基準内でも 変化に注意
結果は「証拠」 必ず保管を
病気の予防・早期発見に役立つ健康診断。
4月からはメタボリック(内臓脂肪)症候群に着目した新たな健診制度も始まる。
主婦や自営業者ら、これまで受けることが比較的少なかった人も対象だ。
生活を見直すチヤンス。
せっかくなら、正しい方法で受診したい。
「数値が異常です」。
東京都の会社員、Aさん(53)は突然の電話に驚いた。
前日に受けた健診で、肝機能をみるGOT、GPTなどの数値が最大で前年の4倍ほどに悪化していたからだ。
何らかの病気の疑いがある数値だが、体に異状はない。
実は、受診の2日前に行ったフィットネスジムに原因があった。

その曰のメニューは、初めてやったハードな筋力トレーニング。
激しい筋肉痛が治らないまま健康診断を受けた。
破壊された筋肉細胞の中の成分が血液中に流れ出て、異常値と判定されたのだ。
三井記念病院総合健診センター所長の山門実さんは「前日にサッカーをしたり、ジョギングしたりして数値が上がる人はけっこういる」と指摘する。

水分補給にもコツ

ほかにも気をつけたいのは食事。
検査を受ける10時間前から食事を取ってはいけな
い。
中性脂肪や血糖値が普段より高く判定されてしまうか
らだ。
豚骨ラーメンのような脂っこいものやアルコールはもってのほか。
前日に飲み食いして受診すると、中性脂肪などの数値が普段の倍に増えることもある。

睡眠不足だと交感神経が緊張して、血圧が上昇してしまう可能性もある。
朝に水分を取るのはいいが、コーヒー牛乳など甘いものは避けたい。
コーヒー、お茶も飲み過ぎるとカフェインの影響で心拍数や血圧が上がることもある。
健診会場まで行くときもご用心。
走って行ったりすると血圧、心拍数が上がる。

ただ、”好記録”を出そうと節制しすぎるのも良くない。
山門さんは「健診の前に2週間、飲酒を控える人もいるが、一時的に数値を下げても意味がない。普段通りに受けてほしい」と強調する。

4月から始まるのは、生活習慣病予防のための「特定健康診査」だ。
40~74歳の人は原則的に全員が対象になる。
これまで会社などで受けていた人にもメタボリック判定のためのメニューが新たに加わる。

健診で生活習慣病を発症するリスクが高いと判定されると、医師との面談など、生活を見直すための「特定保健指導」が行われる。
指導の目安は、腹囲が男性は85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに血糖値、血圧などの条件にも引っかかる場合だ。

一方、結果表にズラリと並ぶ数値の見方にもコツがある。
「基準値に収まっているか」だけに目が行きがちだが、さらに大切なのは、以前からどう変化したか。
東京慈恵会医科大学附属病院新橋健診センター所長の和田高士さんは「例え基準値以内でも、ある数値が倍になっていたら体の中で何かが起こっていると考えた方がいい」と話す。

年齢や性別で違い

年齢や性別によって注目すべき数値というものもある。
30~40歳代の女性は貧血になりやすいため、赤血球数やヘモグロビンが下がり過ぎないように気をつけたい。
50歳代からは閉経して女性ホルモンの分泌が減り、動脈硬化になりやすい。
コレステロールに注意が必要だ。

男性は30歳ごろから太り出すケースが多い。
脂肪肝予防のためGOTやGPTをチェックし、糖尿病を防ぐため血糖値にも目を光らせよう。

過去の数値と比べるためにも健診の結果は保存しておいた方がいい。
和田さんは「5年分は病院に保管義務があるが、それ以前のものは手に入らなくなる可能性がある」と注意喚起する。
体に異状が生じた時期を示す証拠にもなり、障害年金を受ける際などの資料にもなる。

もっとも、あまり結果を気にしすぎるのも考えもの。
特定非営利活動法人「ささえあい医療人権センターCOML」事務局長の山口育子さんは「何でもない結果を過剰に心配するのは逆効果。あくまで自分の生活を改善するための一つの指標として使ってほしい」と話している。

日経新聞・朝刊 2008.3.22
版権 日経新聞

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