神経障害性の痛み

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黒田 幹太郎 「平和日記2007 思い出 A」 F4号
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s86942371?u=edelcoltd

病気・けが、回復後もヒリヒリ

痛みを主に持続する時間によって分類したのが「急性痛」「慢性痛」だとすると、
原因別の種類は「侵害性」「神経障塞性」「心因性」になる。
駿河台日本大学病院の小川節郎院長(麻酔科)は「神経障害性の痛みは慢性化
させないことが大切」と言う。

痛みの種類はいくつもありますね。
「侵害性の痛み、神経障害性の痛み、心因性の痛み
に分けられ、それぞれに急性痛、慢性痛があるといってよいでしょう。侵害性の
痛みは体の組織が壊された時に生じます。
擦り傷、切り傷をはじめ打撲、骨折、歯痛など最も多いもので、組織にある受容器
が痛みを感じ取ります」

心因性の痛みは文字通り心から来る痛みです。原因疾患などが無いにもかかわらず
患者は痛みを感じる。以前は医師などからなかなか取り上げてもらえなかったのですが、
今は重要視されています。原因が見つからないから痛みがないのではなく、本人が痛み
を感じる場合は医療関係者は真剣に対処する努力が大切です。痛みの治療にあたっては
心理面、精神面からのアプローチが必要になってくるのです」

病気やけがなどが治った後も痛みに襲われる神経障害性のものは……。
「よく言うヒリヒリする痛み、ピリピリする痛みがそうです。神経障害性の痛みは神経
細胞が変性したり、神経を電線に例えるといわゆる混線状態になるために起きます。
また、神経が過敏になり普通は触れても痛くないもの、例えば下着などもこれが触った
だけでも痛いこともあります」

「へルペスウイルス後の神経痛や顔にある三叉(さんさ)神経痛、脊髄(せきずい)
損傷後の痛み、脳梗塞(こうそく)後の痛みなどがあります。手術後の痛みやがんに
よる痛みの一部もこれに含まれるでしょう」

「最も多いのが帯状庖疹後の痛みで、へルペスウスルズが感染したことによっておき
ますが、帯状庖疹がよくなったにもかかわらず痛みがなかなか改善しないのはこの
タイプです。神経の変性が起きているためですが、高齢になるほど帯状疱疹後神経痛
になる人が増えます」

どのような治療薬を使うことが多いのですか。
「根本的な治療薬をないといってよいでしょう。心因性の痛みもそうですが、神経
障害性の痛みは、よく使われている鎮痛薬があまり効きません。混線状態になった
神経が勝手な信号を出している(異所性発火)と考えられるのですが、それを抑える
ために抗けいれん薬や抗不整脈薬、抗うつ薬オピオイド(麻薬系)鎮痛薬、局所
麻酔薬などを使うことがあります。症状などでどのような薬を使うかを考えることが
大切です」

神経障害性の痛みは時間がたつほど治りにくいといわれます。
「痛みを取り除くためにはまず、原因になっている病気やけがを治さなければなり
ません。ただ、神経障害性の場合は痛みが長く続くと神経細胞の変性が進みますし、
痛みの信号を受けとる細胞・組織の神経が過敏になります。さらに痛みをもたらす
部分の周りの筋肉が硬直し、痛みが長引きます。早期に対応策をとることが肝要
なのです」

麻薬系の鎮痛薬   代表はモルヒネ

痛みの治療に用いられる薬にはさまざまなものがあるが、オピオイド(麻薬系)
鎮痛薬と非オピオイド鎮痛薬とに大別できる。
オイド鎮痛薬の代表がモルヒネコデインである。
オピオイド鎮痛薬は、ステロイド系消炎鎮痛薬と非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)
とに分類される。
特にNSAIDsは炎症作用に関係するプロスタグランディン類の合成を抑える作用があり、
現在日本では60種類以上が販売されている。

日経新聞・夕刊 2008.3.18
版権 日経新聞

<コメント>
日本の医療は疼痛に関心が低いと以前から言われてきました。
要するに病気を治そうということに集中するあまり疼痛緩和などの患者ケアに気が
まわらなかったともいえます。
従来からいわれているcure(治療)とcare(看護、介護、処置)の両方があって医療が
成り立っているという意識が希薄だったわけです。
最近になって末期がんの方などに対する疼痛緩和処置が真剣に取り組まれるように
なりました。
患者さんの苦痛をまずはとってあげること。
そのことこそ医療の原点ですよね。


<番外編>
食品に アサヒビール
アサヒビールは、大豆から取り出した「腹持ち」のいいたんぱく質を「満腹たんぱく」
と名付け、ダイエット食品の材料に採り入れることを決めた。
ラットを使った実験で、他の食品用たんぱく質に比べ、食事の量を減らす効果が高かった
という。

同社によると、食品用たんぱく素材17種類をラットに食べさせ、その後のエサを食べる
量を調べた。
すると、同社が「Sプロテイン」と名付けた素材を食べた場合に、その後に食べる量が
最も少なかった。

動物性たんぱくの「カゼイン」と比較すると15%以上食べる量が少なく、
「消化がゆっくりになることが満腹感の持続と関係するとみられる」(同社・健康おいしさ
研究所)という。

15人の女性で調べたところ、ヒトでも満腹感が続く傾向が見られたという。
実験結果は同研究所が近く日本農芸化学会で発表する予定。
まず、自社のダイエット食品「スリムアップスリム」に配合する。
http://www.asahi.com/life/update/0324/TKY200803240375.html
2008年03月25日12時07分
版権 asahi.com

<コメント>
ごく最近の新聞に、キリンビールがビールを作る過程で出来た廃棄物をバイオ燃料にする
という記事が出ていました。
ビール会社も生き残りをかけていろいろ模索中です。

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