正しく知ろう  市販の痛み止め

市販の痛み止め 成分とデメリット、正しく知ろう 

頭痛、歯痛、生理痛・・・。

体の様々な部位の痛みを抑えるため、市販の痛み止めの薬を使ったことがある人は多いはずだ。

薬局やドラッグストアでは、様々な痛み止め薬が売られている。

痛みを和らげる効果は確立しているが、思わぬ副作用がでることもあるので注意が必要だ。

大阪市に住む40歳の女性は、市販の痛み止め薬(解熱鎮痛薬)を持ち歩くのが習慣。

仕事中などに頭が痛くなったら慌てずに飲む。

ほどなく痛みが治まるという。

 

市販の解熱鎮痛薬を使う女性は多い。

エスエス製薬が16~59歳女性を対象に調査したところ、使う目的で一番多かったのが頭痛、次が生理痛だった。

それ以外にも解熱鎮痛薬は、歯や関節などの痛みを抑えるのにも使われている。

 

薬局などには様々な種類があり、何を選べばいいか迷う。

ロキソニンS」など、以前は医師が処方する薬にしか認められていなかった成分入りの薬もある。

薬剤師に症状や体質などを話せば、合う薬を勧めてくれるが、多くの人は、あまり気にせず買っているのではないだろうか。

 

実は、安易に飲み過ぎると、重大な病気を見逃しかねないうえ、副作用が出たり、依存性が生じたりしかねない。

 

使用する大前提は今ある痛みを和らげること。

数日間飲んで治まらなければ、医療機関を受診したい。

 

胃が荒れやすく

適切に使うため、まず、成分と特徴を知る必要がある。

解熱鎮痛薬として最も一般的なのが、非ステロイド性抗炎症薬という種類。

英語の頭文字を取ってエヌセイズ(NSAIDs)と呼ぶ。

成分はイブプロフェンロキソプロフェンナトリウム水和物、アスピリン(アセチルサリチル酸)、エテンザミドなどだ。

 

エヌセイズは、痛みのもとのプロスタグランジンという物質が作られるのを防ぎ、頭痛や歯痛、腰痛など痛みや熱、炎症を抑える。

ところが、プロスタグランジンには胃粘膜を守る働きもあるため、抑えると副作用として胃が荒れやすくなる。

 

エヌセイズ以外でよく使われるのがアセトアミノフェン

痛みを和らげる効果はエヌセイズより弱いが、胃腸障害を起こしにくい。

小児用の解熱鎮痛薬に含まれている。

 

薬の併用に注意

さらに、購入時にもいくつか注意が必要だ。

一つ目は、ブランド名が同じでも、含まれる成分が同じとは限らないこと。

例えば、ブランド名は「バファリン」(ライオン)でも、「バファリンA」の痛み止め成分はアスピリン、「バファリンEX」はロキソプロフェンナトリウム水和物、「バファリンプレミアム」はイブプロフェンアセトアミノフェンと、異なる。

いつも飲む薬を決めている人は、商品名を正確に覚えておこう。

 

二つ目は、エヌセイズの成分が含まれている薬は解熱鎮痛薬に限らないので、成分が重複し取り過ぎる可能性があることだ。

例えばイブプロフェンアセトアミノフェンは、市販のかぜ薬(総合感冒薬)にも含まれていることが多い。

重複を避けるため、薬にどんな成分が含まれているか、外箱や薬と一緒に入っている説明書(添付文書)で確認しておくとよい。

 

三つ目は、ロキソプロフェンナトリウム水和物が含まれる「ロキソニンS」などは、相対的にリスクの高い「第1類医薬品」に分類されているということ。

2016年3月下旬には小腸や大腸がすぼまって狭くなる副作用が報告された。

必ず薬剤師に相談し、説明を理解してから買おう。

 

エヌセイズの副作用は胃腸障害以外にもある。

使用後1時間以内に、鼻水・鼻づまり、息苦しさ、せきなどの症状が出た場合、アスピリンぜんそくが疑われる。

アスピリンぜんそくは、成人ぜんそくの1割と言われる。

アスピリンに限らず、エヌセイズ全般が原因となる。

アスピリンぜんそくと診断されている人は、エヌセイズの成分入りの薬は避けるべきだ。

 

エヌセイズの成分の一つケトプロフェンには、光刺激に過敏になる副作用があることが知られている。

筋肉痛を和らげる湿布剤などに含まれることが多く、日光で赤く腫れたり、かゆくなったりする。

濃い色の服やサポーターなどを着用して、少なくとも4週間は患部に日光が当たるのを避けたい。

 

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頭痛薬飲み過ぎで頭痛に

頭痛薬を飲み続けると、かえって頭痛がひどくなってしまうことがある。

薬物乱用頭痛という。薬を飲む習慣がついてしまったり、1回に飲む薬の量が増えたりすると、乱用につながりやすい。

市販の解熱鎮痛薬が比較的容易に購入できることも、薬物乱用頭痛の一因とされる。

原因となる頭痛薬は、市販の解熱鎮痛薬に限らず、医師が処方する薬でも起こる。

日本では片頭痛の人が陥りやすく、性別では女性が多い。

 

薬を飲んでいても頭痛が続くようなら、内科や神経内科脳神経外科などを受診する方がよいだろう。

病院によっては専門の「頭痛外来」を設けているところもある。

病院によっては専門の「頭痛外来」を設けているところもある。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2016.4.2

 

<関連サイト>

市販の鎮痛剤

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/566

 

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