大腸がん予防にアスピリン
国立がん研究センターが昨年公表した2017年時点の短期予測は、がんの罹患者が年間101万4千人にのぼる。臓器別では大腸がんが14万9500人で3年連続の1位だったが、14年以前は胃がんが長い間トップの座を占めていた。
胃がんは原因の98%程度がピロリ菌の感染とされる感染型がんの代表だ。
一方、大腸がんは肉中心の食事や肥満、運動不足といったメタボに直結する生活習慣が大きな原因で、これまで欧米に多いといわれていた。
それが、日本の罹患数トップになったということは、まぎれもなく日本人のがんの欧米化を意味している。
ところで大腸がんの予防効果があるとされる薬がある。
「バファリン」などの大衆薬で有名で、値段も安いアスピリン(アセチルサリチル酸)だ。
ヤナギの木からとったサリチル酸をもとに作られた。
ヤナギの鎮痛作用は古代ギリシャの頃から知られていた。
「医学の父」と呼ばれるギリシャのヒポクラテスがヤナギの樹皮を痛み止めとして使ったと伝えられている。
日本でもヤナギは歯痛に効果があるとされ、つまようじの材料に使われてきた。
19世紀にヤナギからサリチル酸が分離され、副作用の少ないアスピリンが世界初の人工合成薬として開発されました。
アスピリンは鎮痛効果が出ないわずかな用量でも、血液をサラサラにすることで心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ。
私的コメント;
「わずかな用量『でも』」というよりは、鎮痛目的などで使うような通常用量では却って不都合なことが起きるのです。
これを「アスピリンジレンマ」(高用量を長期飲用し続けると血小板の凝集能がかえって増加する)といいます。
「わずかな用量『でも』」というよりは、鎮痛目的などで使うような通常用量では却って不都合なことが起きるのです。
これを「アスピリンジレンマ」(高用量を長期飲用し続けると血小板の凝集能がかえって増加する)といいます。
関連サイト
アスピリンジレンマの理由(メカニズム)~バイアスピリンの作用機序から考えてみた
https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/cardiology/1901/
アスピリンの科学
http://sekatsu-kagaku.sub.jp/aspirin-science.htm
アスピリンジレンマの理由(メカニズム)~バイアスピリンの作用機序から考えてみた
https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/cardiology/1901/
アスピリンの科学
http://sekatsu-kagaku.sub.jp/aspirin-science.htm
この服用方法が消化管がんの予防にもなることも明らかになってきた。
13万人以上の米国人を32年間も追跡した最近の大規模調査でも、アスピリンの定期的な服用は消化管がんのリスクを15%、大腸がんに限れば19%も低下させることが分かっている。
一方、乳がんや前立腺がん、肺がんなどではリスクの低下は見られなかった。
13万人以上の米国人を32年間も追跡した最近の大規模調査でも、アスピリンの定期的な服用は消化管がんのリスクを15%、大腸がんに限れば19%も低下させることが分かっている。
一方、乳がんや前立腺がん、肺がんなどではリスクの低下は見られなかった。
私的コメント;
Geneitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2016)での発表で、アスピリンの投与を行うと前立腺癌による死亡のリスクが減少できる可能性が明らかにされました。
また前立腺癌と診断された後に日常的にアスピリン投与を受けると死亡のリスクが減少する可能性も分かりました。
しかしアスピリンを日常的に投与されても、前立腺癌の全体の発生率、高グレード前立腺癌の発生率、進行前立腺癌の発生率とは関係はなかったとのことです。
要するに、前立腺癌の発生は防げなかったがかかった場合の予後を改善できるということです。
転移を防ぐという発表もあります。
米国の予防医療サービス対策委員会も大腸がんを予防する目的で低用量のアスピリンを服用することを推奨している。
日本での研究でも、大腸がんになる前の病変である腺腫の再発リスクを約40%も減らすことが分かった。
安価で安全性も高いアスピリンでがんを「化学予防」できれば、医療費の抑制にも貢献することができる。
Geneitourinary Cancers Symposium(ASCO GU2016)での発表で、アスピリンの投与を行うと前立腺癌による死亡のリスクが減少できる可能性が明らかにされました。
また前立腺癌と診断された後に日常的にアスピリン投与を受けると死亡のリスクが減少する可能性も分かりました。
しかしアスピリンを日常的に投与されても、前立腺癌の全体の発生率、高グレード前立腺癌の発生率、進行前立腺癌の発生率とは関係はなかったとのことです。
要するに、前立腺癌の発生は防げなかったがかかった場合の予後を改善できるということです。
転移を防ぐという発表もあります。
米国の予防医療サービス対策委員会も大腸がんを予防する目的で低用量のアスピリンを服用することを推奨している。
日本での研究でも、大腸がんになる前の病変である腺腫の再発リスクを約40%も減らすことが分かった。
安価で安全性も高いアスピリンでがんを「化学予防」できれば、医療費の抑制にも貢献することができる。
アスピリンに大腸がんの予防効果があった!
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56195・がんの予防薬として最近、特に注目されているのがアスピリンです。1988年、オーストラリアの疫学者クーネは、アスピリンを服用している人の大腸がんの罹患率は、服用していない人より約40%も低いことを発表しました。
・2010年、オックスフォード大学のピーター・ロスウェルらの研究チームによる発表では、アスピリンを5年以上服用した人は、服用しない人に比べ、大腸がんによる死亡率が半分近く減ったことが報告されています。
・代表的な4つの試験を統合したメタ解析では、アスピリンの投与によって新たな大腸ポリープ(大腸がんの前がん病変)の発生は17%有意に抑制されたという結論が出ています。
・欧米では、アスピリンを3~4年服用すれば、大腸がんのリスクは20%程度減らせるという期待が高まっています。そして、2016年4月には、米国予防医学専門委員会(USPSTF)が、50~60代の人に大腸がんの予防のために低用量アスピリンを毎日内服することを推奨する勧告を発表しました。
・大腸がんは日本人に多いがんのひとつです。2015年の統計によると、日本人のがんの部位別による死亡数は、男性は肺がん、胃がんに次いで大腸がんが3番目に多く、女性はいちばん多くなっています。また、男女とも40歳以上から大腸などの消化器系のがんによる死亡の割合が高くなります。
・007年から国立がん研究センターや京都府立医科大学など国内19施設が参加した臨床試験「J-CAPP」が実施されました。
大腸がんに進行する可能性の高い大腸ポリープを内視鏡で摘出した患者311人に対して、低用量アスピリン腸溶錠(100mg/日)またはプラセボ(偽薬)を2年間投与しました。
そして、2~3年後の大腸ポリープの再発を観察すると、アスピリンを投与したグループはプラセボを投与したグループにくらべて、新たな大腸ポリープの発生が約40%減少しました。つまり、日本人においても、アスピリンが大腸がんの再発予防に有効であることが示唆されたのです。
大腸がんに進行する可能性の高い大腸ポリープを内視鏡で摘出した患者311人に対して、低用量アスピリン腸溶錠(100mg/日)またはプラセボ(偽薬)を2年間投与しました。
そして、2~3年後の大腸ポリープの再発を観察すると、アスピリンを投与したグループはプラセボを投与したグループにくらべて、新たな大腸ポリープの発生が約40%減少しました。つまり、日本人においても、アスピリンが大腸がんの再発予防に有効であることが示唆されたのです。
・J-CAPPの結果で興味深かったのは、非喫煙者では新たな大腸ポリープの発生リスクが63%と大幅に減少したのに対し、喫煙者では逆にポリープの再発率が3.45倍も高くなったことです。
・喫煙だけでなく飲酒についても、週3回以上お酒を飲む人はアスピリンの予防効果が減弱していました。つまり、アスピリンで大腸がんの再発リスクを軽減できる人がいる一方で、生活習慣などの背景によってアスピリンの投与が逆にがんのリスクを高めてしまう可能性があるということです。
・喫煙だけでなく飲酒についても、週3回以上お酒を飲む人はアスピリンの予防効果が減弱していました。つまり、アスピリンで大腸がんの再発リスクを軽減できる人がいる一方で、生活習慣などの背景によってアスピリンの投与が逆にがんのリスクを高めてしまう可能性があるということです。
大腸癌の二次化学予防に低用量アスピリン
予防効果はNSAIDsが優れるが、有害事象も多い
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201701/549560.html
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予防効果はNSAIDsが優れるが、有害事象も多い
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201701/549560.html
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