帯状疱疹

帯状疱疹は飲み薬できれいに治せる

急な痛み、赤いブツブツ・・・「発疹が出て3日以内に受診」が決め手
痛い! 赤い発疹も出てきた…。
疲労やストレスで免疫力が低下した体を容赦なく襲う病気、それが「帯状疱疹」だ。
女性に多く、3人に1人がかかるといわれている。
つらい痛みから解放され、跡を残さず治すには、素早い治療が鉄則だ。

【免疫力の低下が引き金】 眠っていた水ぼうそうウイルスが突如、暴れ出す
胸やお腹の片側が急にピリピリと激しく痛みだし、4、5日するとそこに赤い発疹がポツポツ・・・。
こんな症状があれば、「帯状疱疹」の可能性が大だ。
80歳までに3人に1人がかかるといわれる身近な病気で、女性に多い。

7、8割の人は最初に痛みが出て、後で発疹が現れる。
ただし、50代未満の人では痛みよりも先に発疹が出て、虫刺されと勘違いすることもある。
 
症状は基本的に体の片側だけに出る。
起こりやすい部位は、胸部や腹部を筆頭に顔、首、腰と続く。
ちなみに四谷怪談の“お岩さん”の顔は、帯状疱疹によるものといわれる。
 
原因は子供のころに感染した水ぼうそうウイルス(ヘルペスウイルス)。
疲労やストレスなどで免疫力が低下すると、それまで体の奥で眠っていたウイルスが突如暴れ出す。
どの年代でも発症するが、特に免疫力が下がる50歳以降に急増する。

こんな症状があれば帯状疱疹かも
代表的な症状は、体の片側だけに生じる痛みと赤い発疹。
まず痛みが生じ、数日後に発疹が出ることが多い。
痛みと発疹はほぼ同じ場所に出現する。
発疹が出て初めて、この病気と気づく人が多い。

帯状疱疹は50歳以降に急増する
帯状疱疹帯状疱疹後神経痛の場合、50代以降に患者数が急増する。
それは高齢になるにつれて免疫力が低下するのが理由。

子育て世代は子どもを通して水ぼうそうウイルスにさらされるので、ウイルスを抑え込む免疫力が鍛えられ、帯状疱疹になりにくい。
50代以降は、この抑え込む力も、体全体の抵抗力も低下するため、発症しやすくなる。
糖尿病、花粉症や喘息などのアレルギー、がんなどの持病がある人もなりやすい。
 
痛みは数日から1週間ほど続く。
痛みが強いほど神経のダメージが強く、重症化しやすい。

こんな人がなりやすい
女性
高齢者(50歳以上になると急増)
過労(盆休みや連休後、決算期、年末などに発症が多い)
精神的ストレスが続いている
妊娠している
糖尿病やがん、膠原病、アレルギーなどの持病がある
ステロイド薬や抗がん剤などの使用で免疫力が落ちている

50歳以上の女性で心身ともに疲れている・・・。
こんな人は帯状疱疹になりやすい典型例。
ウイルスを抑え込む免疫力が低下し、発症しやすい。
糖尿病や花粉症、喘息などの持病がある人も要注意だ。

Q:1回なったら、再発しないの?
A:いいえ。再発する人もいます
帯状疱疹にかかるのは一生に一度だけ」などと聞くが、そんなことはない。
一度かかると水ぼうそうウイルスに対する免疫ができるが、効くのは10年程度。
再び免疫力が低下すると再発する可能性がある。

Q:帯状疱疹はうつるの?
A:うつりません。
でも水ぼうそうになる可能性はあります
帯状疱疹自体はうつらない。
ただし、まだ水ぼうそうになっていない人は、水ぼうそうになる可能性がある。
水ぶくれに触ったり、近くに何時間もいたりするとうつる危険があるので、水ぼうそうの未経験者は注意が必要。

【発疹が出たら即、皮膚科へ】 3日以内に抗ウイルス薬を開始、7日間服用すればきれいに治る
帯状疱疹はとにかく痛い。
痛みだけでは何の病気か分かりにくいが、数日すると発疹が出てくる。
見つけたら、すぐに受診を。
発疹が出て3日以内に抗ウイルス薬を飲めば、多くは跡形もなくきれいに治る。
抗ウイルス薬は痛みが消えてもやめず、1週間飲み続ける。
薬を飲まなければ自然に治るまでに約3週間かかるが、飲むと1週間~10日程度で治る。
早く飲めば発疹が水ぶくれになってただれたり、潰瘍になったりして跡が残るのを防げる。
また重症化を食い止め、「帯状疱疹後神経痛」の予防にもつながる。

痛みに対しては鎮痛薬なども処方される。
解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンが適している。
痛みを感じる脳に直接働き、胃腸障害などの副作用も少ない。
抗うつ薬にも鎮痛効果がある。
 
休養も大切だ。
そもそも発症の引き金は疲労や寝不足、ストレスなどによる免疫力の低下。
痛みや発疹は『休みなさい』という警告だ。
特に初期から痛みが強い、発疹が広範囲に出ている、糖尿病などの持病がある人は、重症化しやすいので要注意だ。
 
なお、女性では排卵後から月経が始まるまでの黄体期は免疫力が低下しがちな時期。
体のリズムを知って無理をしないことも重要だ。

帯状疱疹を悪化させないための5カ条
・ 発疹を見つけたらすぐに皮膚科や内科を受診
・ 発疹が出て3日以内に抗ウイルス薬を飲み始める
・ 症状が治まっても、薬は7日間飲み続ける
・ 発疹が出ていなくても、痛みが激しいなら内科やペインクリニックへ
・ しっかり休養する(できれば仕事は休む)

重症化すると脳炎や顔面麻痺、視力低下(顔の場合)などの合併症が起こったり、神経痛などの後遺症が残ったりする。
できるだけ早く抗ウイルス薬を飲んで休養することが肝心だ。

免疫力が落ちると症状が出てくる
子どものころに感染した水ぼうそうウイルスは長年、脊髄の神経節にじっと潜伏しているが、免疫力が低下すると再活性化。
増殖しながら神経に沿って皮膚表面へと移動する。
このときに神経が傷つけられ、痛みが生じる。
ウイルスは1週間ほどで皮膚表面下に侵入し、赤い発疹や水ぶくれを引き起こす。
神経に沿って帯のように発疹が現れるので、“帯状”疱疹と呼ばれる。

帯状疱疹の主な薬
先発医薬品は「ファムビル錠」(一般名はファムシクロビル)、「バルトレックス錠」(一般名はバラシクロビル)の2種。
最近は、ジェネリック後発医薬品)も登場している。
ウイルスの増殖を抑えるので、できるだけ早く飲み始めたい。

帯状疱疹後神経痛に注意!】 痛みが残る人は早めに神経ブロックを
皮膚の症状は治ったのに、痛みが消えない ― 。
そんな症状が3カ月以上続くのが、帯状疱疹後神経痛だ。
うずくような痛みや焼けつくような痛みが残り、日常生活にも支障が出る。
年単位で続くことも珍しくない。
 
発症初期から痛みがひどかった人や免疫力の低下した高齢者などでは、神経のダメージが大きく、後遺症として神経痛が残りやすい。
 
50代以下ではまず大丈夫だが、それでも皮膚症状が治った後に「関連痛」を引きずるケースがある。
この段階で神経ブロック療法などの治療を始めると、激痛を減らすことができる。
痛みの緩和によって睡眠や食欲なども改善し、回復が促される。
 
神経ブロックは、痛みを感じる場所に局所麻酔薬を注射して、神経の興奮を一時的に遮断する治療法だ。
痛みがあると交感神経が興奮して血流が悪くなり、痛み物質が滞ってますます痛みがひどくなる。
痛みへの不安感も悪化要因になる。
神経ブロックで一時的に痛みを取ると、この悪循環に歯止めがかかる。

体を動かした方が血流がよくなり痛み物質も早く流される。
 
薬自体の作用時間は1時間程度だが、悪循環が絶たれることで数日~数週間効果が続く。
このほか、鎮痛薬や抗うつ薬、漢方の桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)なども痛みの緩和に効果がある。
 
痛みが多少残っていても、極力体を動かすことも大事だ。
血流がよくなり、痛み物質も早く流される。
自然治癒力が働いて神経も修復され、痛みが治まってくる。

50代からは予防のためにワクチンも有効
帯状疱疹は年齢が上がるほどかかりやすく、また重症化しやすい。
そこで期待されるのが、ワクチンによる予防効果。
水ぼうそう予防のワクチンで、帯状疱疹も予防が可能。
たとえ発症したとしても、軽くてすむ。
50歳以上の人、アレルギー疾患がある人、ハードな仕事をしている人、いずれ妊娠を希望している人・・・。
そういう人はワクチンを打っておくと安心。
またがんや膠原病などの持病がある人は担当医に相談するといい。
費用は医療機関によって異なるが、1万円程度が目安だ。



関連サイト
帯状疱疹 ワクチンで予防
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43064585.html