メタボと判定されたら その1(1/2)

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4月から、健康診断が大きく変わります。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の予防・解消に重点を置いた特定健康診査・
特定保健指導になります。
きっと、「当てはまるに違いない」と心配している人はたくさんいるでしょう。
もし、健診でメタボの「該当者」と判定されると、どうなるのか。
医師や保健師、管理栄養士らから、個別に健康状態、ライフスタイルについて指導を受ける
ことになるのです。

保健師と面接、数値目標決める

メタボリヅクシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積によリ、ホルモンのバランスが崩れ、
高血圧、高脂質、高血糖などの異常が起きている状態を言います。

一つひとつの数値の異常に加え、これが複数重なると、生活習慣病と言われる動脈硬化
糖尿病、心筋梗塞脳卒中などにつながる心配があります。

特定健診の結果、保健指導の対象となる人は、図のようなステップを経て決まります。
身長、体重、そして腹囲、血圧、脂質、血糖など自分の数値を当てはめてみましょう。

そして、あなたが「保健指導の対象」にされたら。
自治体や企業の健診や指導を広く行ってきた保健教育センター(東京都港区)の資料など
を参考に、どんな指導を受けるのか、シミュレーションしてみました。

 ■

170cm80キロ。腹囲90センチ。

ステップ2でリスクが二つ該当した「積極的支援」にあたる50歳男性会社員の場合。

通称へビメタ。

健診を受けた1~3カ月後、保健指導の案内が、会社の健保組合から届きます。
初回の面接は、20分以上の個別支援カ、80分以上の8人以下のグループ面接だ。

訪ねると、保健師が説明を始めた。

「血圧、脂質、血糖の異常は、ともに内臓脂肪を減らすことで改善されます。
今までの生活習慣を見直して、この内臓脂肪を減らしましょう」

男性の適正体重は64キロ。
「16キロオーバーです。でも、メタボ改善には、こんな減量は必要ありません。
今の体重の5~10%、つまり4~8キロ減らせれば、メタボ度は改善します」

保健師「今後6カ月で、何キロ減らせそうですか。数値目標を決めてください」

男性「5キロ減らします」

目標は決まった。
次は減量のための具体的行動だ。
保健師の助言を参考に、週6日飲んでいたビールや焼酎を、週3日に。毎朝最寄り駅
まで徒歩5分だったが、一駅遠くまで行き、20分歩くことにした。

一方、ちょいメタと言われる「動機づけ支援」の人は、原則この面接で終わり。
6カ月後に体重や生活習慣がどのように変わったか面談や電話で評価を受けるだけだ。

電話やメールで経過報告

積極的支援の人への指導は、電話やメール、ファクスなどで続く。

2週間後、保健師から電話があった。
「どうですか。毎朝歩いていますか。お酒を飲む回数は減っていますか。続
ければきっと減量できます」
と言われた。

1カ月後に、再び電話とメール。
2カ月後の個別面談で、体重が1キロ減ったことを話すと、「順調ですね。続けることで、
もっと体重は減り、あなたの健康寿命が延びますと説明を受けた。
3カ月過ぎ、計画の実施状況を聞くメールがあり、返信した。
6カ月後に最終評価を受ける。

積極的支援はポイント制だ。
電話での励まし5分で、10ポイント、面談形式での中間評価20分で80ポイント、
励ましのメールを受けて返信すると5ポイントなど。
内容や時間によって点数が決まっており、合計180ポイン以上の支援を受けなければ
ならない。

診断基準に異論も

メタボに善目して、生活習臓病のリスクを見分ける今回の診断基準には、「本当にリスク
のある人を見分けられない」とする異論も多い。

その代表が腹囲だ。
日本の
基準は男性85センチ、女性90センチ。
コンピューター断層撮影(CT)のデータをもとに、おなかの内臓脂肪の面積が100
平方センチに相当する値としてはじき出した。

ただ、女性の基準を男性より大きくしているところは世界的に例が無い。
国際糖尿病連合は日本人について「男性90センチ、女性85センチとした方が正しく
見分けられる」としている。
国内の研究者からも数値への異論が相次ぎ、厚生労働省研究班は2年後をめどに、より
正確な基準をつくるための研究を始めた。

当面、今の基準での実施だが、リスクのある人の取りこぼしを少なくするため、腹囲とは
別に「BMI25以上」という基準を加えた。

喫煙者については、腹囲の基準などに達していなければ、特別な指導はない。
ただ、たばこが動脈硬化などの危険を高めるのは確実視されており、専門家らは「禁煙指導
をもっと強めるべきだ」と批判している。


特定健診・特定保健指導
高齢化が進み、膨らむ国の医療費適正化計画の一つとして行われる。
40~74歳全員が対象で、健康保険組合国民健康保険などすべての保険者に年1回の
実施が義務化された。
これまでもれがちだった自営業者や専業主婦も対象となる。
国は、2012年度までの目標を「健診受診率70%」「メタボと診断された人の指導
実施率45%」などによって、保険者が支払う75歳以上の後期高齢者の医療費への支援金
が、最大で10%加算されたり、減ったりする。
強制力はないものの、健診の成果が、保険者の財政にも影響することになる。

朝日新聞・朝刊 2008.3.26
版権 朝日新聞社

<コメント>
特定健診・特定保健指導については見切り発車の感があります。
われわれ医療側にも十分な説明がなく医師会も困っているのが現状です。
実際に稼動するのは6月といううわさがありますが正式な通知はありません。
行政が行政の仕事が出来ない一例といえます。

それにしても国が国民の健康を管理する。
日本は社会主義国家であると揶揄する向きがあります。
確かにいろいろ管理下に置かれて息苦しくなってきました。

文中にポイント制の話がありました。
4月1日から診察は5分かけてするようにというお達しがありました。
砂時計を買いましたがどうもその砂時計の調子がよくありません。
時計をみながらの診療。
何かおかしくありませんか?
官僚政治きわめり。
日本の医療がどんどん崩れていきます。


<番外編>ちょっといい話
ある日の日経新聞夕刊に載ったリレーエッセイ(「あすへの話題」)から五百旗頭 真氏
のエッセイからです。

学生時代、『竜馬がゆく』を貸本屋に通って読み、司馬遼太郎にはまった。

明治百年の記念講演会の企画が京大生の間で持ち上がった。
錚々(そうそう)たる教授たちが明治維新論の講師候補にあがった。
私は司馬を提案した。
ツテがあるわけではない。
が、
ダメモトでと、優先交渉権を認められた。

番号を調べて、東大阪の司馬さん宅へ電話を入れた。
お手伝いさんが取りついでくれて、司馬さん本人が出た。
「まあ、おいで」と明るい口調で数日後を指定された。

伺うと、応接間の書棚からあふれた本が、横積みで壁をせり上がっていた。意外にも
講師を快諾された。
新しい自著「義経」をサイン入りで下さった。
一時間余の懇談のあと、外へ出ると軽い目まいを覚えた。
京都に戻ると、謝礼の話をしなかったことを問われた。
聞けば、司馬さんの相場はわれわれの予算と桁(けた)が違うという。
夢にまでうなされた。

当日、時計台下の法経第一教室を埋めた満員の聴衆は司馬さんの話に揺れた。
操縦中でも時間がくれば床に拝礼するイスラム教徒のパイロットがいる、近代化の本質
はそれと対照的な世俗性にある、等々。

充実の講演会の後、私には地獄の務めがあった。
楽屋裏で「すみません」と薄謝を差し出した。
「何やそれ、変なことやめとき。それよりな、先斗町に室とってあるから皆でおいで」。
司馬さんは料亭に多田道太郎や橋本峰雄ら関西の文化人をあつめていて、われわれと引き
合わせ、もてなして下さった。
世の中にこんな講演料があるものだろうか。

いつも味のある文明論を軽みをもって語り、惜しみなく与えることを止めなかった司馬さん。
今も時折会いたくなる。

<コメント>
私は数年前から、医学生数人にプライマリケアの実習をボランティアでやっています。
実習終了の際、1日だけ食事を外で共にするのを慣わしとしていますが、司馬さんのスケール
(人間の大きさ)にはただただ圧倒されます。
料亭でどんな談論風発の議論が展開されたんでしょうか。
興味深くこのエッセイを読んだ次第です。