五十肩

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きょうは五十肩をとりあげてみました。
私事になりますが5年前に坐骨神経痛、そして昨年は五十肩をやりました。
それまではこの2つの整形外科領域の病気についての患者さんの苦しみを
十分理解出来ていたわけではありませんでした。
しかし、自分が体験してからはこのような患者さんに自然と「それは大変ですね」
という言葉が口をつくようになりました。
去年の夏、行楽先のプールで平泳ぎは難なく泳げるのにクロールをやろうとして
最初に腕をあげた途端激痛が走りました。

このように肩の動かし方によっていい時悪い時があるのが特徴です。

腕が上がらない、これって五十肩?

診断技術が向上
症状に合う治療を
重症なら内視鏡手術も

腕を上げようとすると肩に激痛が走る。
五十肩、四十肩の痛みは、診断技術の向上で似た症状を示す
ようになってきた。
五十肩の治療は症状の段階に合わせた投薬やリハビリが基本。
重症の場合は内視鏡手術で治す試みも始まっている。


都内在住の主婦Mさん(51)は、洗濯物を干したり、食器を片づけたり
するとき、肩に痛みが残ることに気づいた。
しばらくすると、夜中寝ていても肩に走る激痛で目が覚めてしまうことが多く
なった。
整形外科で診てもらったところ、五十肩と言われた。
念のためレントゲンを撮ってもらったが、特に異常は見つからなかった。

症状は3段階

四十肩、五十肩は四十代から六十代の中高年に見られる原因不明の肩の
痛み。
大半は放っておいても数カ月から数年たつと自然に治っていく。

江戸時代から五十肩という言葉が使われていたほど古い病気だが、正式
名称は「肩関節周囲炎」。

「原因を完全に突き止められない肩の痛みを総称として五十肩という」と
慶応大学病院スポーツクリニックの小川清久講師は解説する。

五十肩の症状は発症から治るまで3段階に分けられる。
「各段階の症状に合わせた治療やリハビリが大切」(小川講師)で、適切な処置を
怠れば、治りが遅くなることもある。

発症時の急性期(フリ-ジング期)は痛みが増大する時期で、抗炎症剤の投与が
中心になる。
腕を激しく動かしたり、物を持ち上げたりしないように日常生活では肩を安静に
しなければならない。

約3カ月で急性期から亜急性期(フローズン期)に移行する。
こうなると不思議と痛みは和らいでくる。

代わりに関節が硬くなり肩を動かせる範囲が狭まっていく。
リハビリが必要になる。
いすや机に片手を付きながら、もう一方の手を円を描くように回す「振り子運動」
など自宅で毎日訓練するとよい。
回復期は痛みもほとんどなくなり適切なリハビリをしていれば対日常生活に支障は
出なくなる。
水泳やゴルフなどで肩を動かせる範囲を五十肩にかかる以前と同じように
する。

約半年間リハビリを続けても治らない重症患者を中心に手術する試みも
始まった。
東京女子医科大学の神戸克明准教授は約5年前から70例以上の内視鏡
手術を実施した。
全身麻酔をして、肩に直径1センチメートル程度の小さな穴を4カ所開けて内視鏡
を挿入し治療する。
筋肉と骨をつなぐけん板の傷んでいる部分を補強したり、けん板に当たって炎症を
起こしやすい骨の一部を削ったりする。

3日の入院と手術後1カ月程度のリハビリで回復するという。

一度精密検査を

五十肩と似た症状を示す疾患がある。
筋萎縮症や長胸神経まひ、結核性肩関節炎などだ。
五十肩と誤診されたり、本人が思いこんだりして放って
おくと取り返しがつかなくなることもある。
単なる肩の痛みとすませずに、一度は磁気共鳴画像装置(MRI)
コンピューター断層撮影装置(CT)で検査してもらうようにしよう。

日経新聞・夕刊 2008.4.1
版権 日経新聞

<コメント>
最初に自分が五十肩をわずらったお話をしました。
医者も人間です。
自分が体験した病気については特に関心が強く、またそんな患者さんに
はとりわけ親切に接します。
そして病気するたびに医療に謙虚にそして真摯に取り組むようになります。
病気がちな医者ほど名医といわれる由縁です。
そういう意味では私自身、だんだん名医(迷医?迷惑な医者)に近づいて
いるわけです。

<参考サイト>
ドクターQ&A四十肩・五十肩を克服しよう
http://www.selfdoctor.net/q_and_a/2003_10/kata/kata.html
肩こり・五十肩
http://www.banyu.co.jp/content/patients/check/stiffshoulders/index.html

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