米ハーバード大、急性腎不全の発症の仕組みを解明

ハーバード大学の根来秀行客員教授らは死亡率の高い急性腎不全の発症の仕組みの一端を解明した。
腎臓の尿細管にある細胞のたんぱく質が過剰に働いていた。
このたんぱく質を抑える薬ができれば新たな治療に道を開く。

急性腎不全では、尿細管の上皮細胞上にある「Gたんぱく質」の働きが盛んだった。
たんぱく質は細胞同士の接着や細胞死にかかわるが、健康な大人ではほとんど作用しない。

動物細胞を使った実験では、急性腎不全の際に体内の過酸化水素が同たんぱく質の働きを強めてしまい、尿細管の上皮細胞がバラバラになって腎臓の機能が落ちた。
たんぱく質を作れなくしたマウスは、急性腎不全にならなかった。

急性腎不全の死亡率は5割と高いにもかかわらず、これまで人工透析などの対症療法しかなかった。

出典  日経新聞・夕刊  2012.4.28
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