長く続く咳 3週以上ならぜんそくかも

長引く咳

季節の変わり目は、が止まらず悩む人が増える。

風邪やアレルギー反応が原因とは限らない。

長く続くなら、喘息の可能性を疑ってみよう。

 

喘息の正体は、空気の通り道である気道の慢性的な炎症だ。

粘膜が常にむくみ、腫れあがって気道が狭くなるため、わずかな刺激にも過敏に反応して、咳や呼吸困難などの発作を引き起こす。

コメント:

この表現は、いかにも「喘息の人は慢性的に気道が腫れ上がって、その結果気道が狭くなっている」という誤解を生みます。

最近、喘息は「慢性炎症であり、その結果リモデリングが起こって気道が慢性的に狭くなっている」という考えが主流になっており、専門医の多くは患者さんにもそういった説明を行い、ステロイドと気管支拡張剤の配合剤の吸入を勧めています。

しかし、多くの喘息の患者さんは非発作時の肺機能は全く正常です。

気道が狭くなっていれば、この検査で異常が出るはずであり、慢性閉塞性肺疾患COPD)になってしまうはずです。

吸入とはいえ、ステロイドの使用は最小限とすべきであり、小児で成長が止まってしまった症例さえあります。

これはもちろん当院での使用経験ではなく、たまたま他の「呼吸器専門医」にかかっていた双生児のうちの一人のケースです。

また気管支拡張剤(β刺激剤)は漫然と使用すべきものではなく、慢性投与は喘息発作時の使用効果が低下してしまう可能性があります。

慢性炎症を抑える目的で、どうしてもステロイド吸入を使用するという場合には吸入の内容を「ステロイド単独」と、「ステロイド+β刺激剤」を慎重に使い分けるべきです。

 

子どもに多い病気という印象が強いが、年齢を問わず発症の可能性がある。

高齢者を中心に大人が喘息になることも多く、喘息患者のうち、約6割を占める」ともいわれている。

喘息には気道のアレルギー反応で発症するケースと、風邪などのウイルス感染が引き金になるケースがある。

コメント;

詳しくは、気道のアレルギー反応で発症するアトピー型」と、感染が引き金になる「感染型」と両者が混在する「混合型」の3つに分類されます。

一般的に「アトピー型」は治療の面においても、重症例が多く要注意です。

 

小児で発症する喘息の約9割はアレルギーが原因。

ダニやカビ、ペットの毛やフケなどがアレルゲンになりやすい。

 

大人になってから発症する喘息のきっかけで、多いのは風邪だ。

風邪による炎症が気道に及ぶことで咳だけが長期間続く「咳喘息」を発症する。

放置すると炎症が悪化し3~4割が「気管支喘息」に進行するという。

気管支喘息は咳に加えて、息を吐くたびに喘鳴(ぜんめい)と呼ばれるゼーゼーヒューヒュー音がしたり、呼吸困難になったりするのが特徴だ。

2、3週間ほど咳が続くなら、医療機関を受診する方が良い。

風邪など感染症が原因の咳は、大半が3週間未満で自然に治る。

一方で喘息による咳は長く続くうえ、何もしないでいると悪化する。

喘息につながる咳を見分けるための手掛かりになる。

 

咳や息苦しさなど喘息の発作は、特に深夜から明け方の就寝中に悪化しやすい。

横たわっているより、座る姿勢の方が呼吸が楽になり、咳も治まりやすい。

喘息が重症化すると、歩行や階段の昇降といった日常的な動作をきっかけに咳や呼吸困難が起きる。

治療は気道の炎症を抑えて発作を防ぐ「吸入ステロイド薬」と、呼吸を楽にする「気管支拡張薬(β刺激薬)」で症状をコントロールするのが基本。

現在は2つの薬の配合剤が主流だ。

 

効果が高く副作用が非常に少ないので、安心して長く続けられる。

口から微細な薬を吸うため、内服ステロイド薬の約100分の1の成分量にとどまる。

吸入ステロイド薬の登場以来、喘息の死亡率は激減したという。

コメント;

こういった考えは吸入ステロイドの専門医のごく一般的な認識です。

内服ステロイド薬の約100分の1の成分量にとどまるから安心して長く続けられる」というのも製薬メーカーが言っていることそのものです。

吸入ステロイド薬の登場以来、喘息の死亡率は激減した」という言葉の中には副作用については述べられていません。

小児への使用は特に注意すべきであることに変わりはありません。

最近、特発性血小板減少症のお孫さんが「ステロイドの長期使用で背が伸びない」という悩みを聞きました。

こういったケースはステロイドの使用が不可欠であり、悩ましいところです。

 

数日から2、3週間の吸入で咳などの発作は収まる。

ただ気道の炎症は残っているので「自己判断で薬を中断せず、医師の処方にしたがって吸入を続けることが改善への近道」と専門家はいう

コメント;

専門家は必ずこう言います。

 

一時的に発作が治まっても、環境の変化や刺激を受けることで繰り返し発症しがちだ。

再び起きた発作が炎症を悪化させ、さらに気道が敏感になるという悪循環を招くので注意したい。

 

寒暖差が大きい季節の変わり目や台風などによる気圧の急変、エアコンなどの冷気、タバコや線香の煙、香水、風邪などが引き金になりやすい。

自分の発作のきっかけを記録することで見極めて、予防につなげよう。

特に喫煙や副鼻腔炎、肥満などは喘息悪化の要因になる

コメント;

喘息と副鼻腔炎との関係は以前から問題となっており、両者は大いに関係があると言われています。

「One airway,one disease」といわれる所以です。

 

大人の喘息は、完治することがほとんどない。

高血圧や糖尿病のように、良好な状態にコントロールすることが大切

 

参考・引用 一部改変

日経新聞・朝刊 2017.10.14

 

<関連サイト>

この症状があれば、喘息を疑おう

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/576