せきぜんそく

せきぜんそく  3週間以上せき続けば専門医へ

かぜをひいた後、熱や鼻水などは治ったのに、せきがなかなかおさまらず、夜にひどくなる。最近増えている「せきぜんそく」という病気かもしれません。

せきはふつう、のどから肺につながる気道の中の異物や分泌物を外に追い出すための防御反応として出る。かぜなどの感染症であれば、大半は約3週間でよくなる。

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一方、「せきぜんそく」の場合は、気温や湿度の変化、たばこの煙、排ガス、アルコール、急な運動といった外からの刺激に、気管支を覆う筋肉が敏感に反応してせきが出る。
せきが8週間以上続く患者の約半数があてはまるという。
ここ20年ほどで増え、病名が知られるようになった。

かぜが原因で発症する割合が最も高い。
熱や鼻水、のどの痛み、たんなどはおさまったのに、せきが続く。せき止めの薬は効かない。
大半は夜から早朝にかけて悪くなる。
アレルギー性鼻炎アトピー性皮膚炎など、アレルギーがある人はなりやすい。

ぜんそくのように呼吸困難になったり、呼吸時にゼーゼーという音がしたりすることはないが、未明が最も調子が悪く、夕方はよくなるなど、ぜんそくとの共通点も多い。
大人では、治療しないと約3割がぜんそくに移行する。治療はぜんそくと同じ吸入ステロイド薬と気管支拡張薬が基本になる。

かぜをひき始めて3週間たってもせきに悩む場合は、専門医を受診した方がよい。
ひどいせきを放置すると、肋骨(が折れたり、横隔膜が筋肉痛になったりすることもある。

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せきが続く原因は様々だ。
まず、肺がんや結核が隠れていないかどうか、診ることが重要。
日本呼吸器学会のガイドラインも、せきが長引く患者には、胸のX線撮影を受けるよう勧めている。
ほかに、胃液が食道に逆流するためにせきが続く病気もある。

せきは、不安や緊張によっても悪くなる。
「人と話すとせきが出る」「電車に乗るとせきが出る」という不安によって、せきこむことがある」。
治療してもせきがとまらない患者に「命に関わる病気や人にうつる病気ではありません。うまくせきと
つきあいましょう」と医師から伝えられると、和らぐケースもある。
  
「せきぜんそく」を含めて、せきがひどくなるのを防ぐには、外出時にマスクをするのがよい。
鼻や口を覆うと、温度や湿度の変化を感じにくくなる。
疲れやストレスをためないようにするとともに、心配しすぎないことも大切だ。


まとめ  もしかして、せきぜんそく? (チェック用)
①⬜︎かぜをひいた後、せきが長引く

②⬜︎夜間から早朝に悪化し、眠れない

③ ⬜︎ 気温や湿度差があると悪化する

④ ⬜︎ 低気圧や台風など悪天候時に悪化する

⑤ ⬜︎ たばこの煙や排ガスを吸うとせきこむ

⑥ ⬜︎ アルコールを飲むとせきこむ

⑦ ⬜︎ 緊張して話すとせきこむ

⑧ ⬜︎ せき止めの薬がきかない

⑨ ⬜︎ アレルギーの病気がある

解説
①せきぜんそくの最もよくある要因はかぜです。
②この時間帯に最も悪化しやすいです。
③~⑥気温や湿度、気圧の変化、ガス、アルコールなどがせきを招く刺激になります。
⑦精神的な要因でも悪くなります。
⑧はせきぜんそくの特徴です。
⑨の場合、せきぜんそくになるリスクが高まります
      
出典
朝日新聞・朝刊 2015.2.9




呼吸器Q&A
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=46
(日本呼吸器学会の市民向けサイト)

長引く咳の原因と主な治療法
http://www.kubix.co.jp/cough/c_general.html
長引く咳の原因と主な治療法
痰が出る咳
1 副鼻腔気管支症候群(去痰薬、マクロライド
2 後鼻漏(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド、抗菌薬の局所投与)
3 慢性気管支炎(禁煙)
4 限局性気管支拡張症(抗菌薬、切除)
5 気管支喘息による気管支漏(ステロイド
6 非喘息性好酸球性気管支炎(ステロイド
7 肺癌、とくに肺胞上皮癌(?)
8 気管支食道瘻、気管支胆管瘻(瘻孔の閉鎖)
痰が出ない咳
1 アトピー咳嗽(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド
2 咳喘息(気管支拡張薬、ステロイド
3 アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽(薬剤の中止)
4 胃食道逆流(H2-拮抗薬、プロトンポンプ・インヒビター)
5 喉頭アレルギー(ヒスタミンH1-拮抗薬、ステロイド
6 間質性肺炎、肺線維症(?)
7 心因性心療内科的治療)
8 気管支結核(抗結核薬)
9 肺癌、とくに中心型肺癌(癌に対する治療)