子どものぜんそく

子どものぜんそく きちんと薬を使って発作予防

6~7歳児の約14%は、ぜんそくを患っていると言われる。
学校での生活を楽しむためには、薬をきちんと使って発作の予防と体調の管理をはかることが重要だ。

ぜんそくは、気管支が慢性的に炎症を起こしている状態で、刺激を受けるとせきが出たり、「ヒューヒュー」と音をたてたりして、呼吸が苦しくなることを繰り返す。
刺激となるのは、ほこりやダニのほか、たばこの煙、気圧の変化、急な運動、冷たい空気もある。
 
小児ぜんそくは、6歳までに診断を受ける場合が多い。
子どものぜんそくの9割がアレルギーがかかわるアトピーぜんそくで、特にダニのアレルギーを持つ人が多い。
 
治療薬は2種類に大別される。
一つはふだんから発作を起こさないようにする「長期管理薬」、もう一つは発作が起きた時に緊急的に使う「発作治療薬」だ。
 
長期管理薬の「吸入ステロイド薬」を使い続けていると、身長の伸びがわずかに抑えられる可能性があるとする論文が、近年、海外で相次いで発表された。
 
ぜんそくの重症度を見極めて、医師と治療方針を定期的に検討していれば、過度に心配する必要はない。
自己判断で薬をやめないようにしたい。
<私的コメント>
最近は「吸入ステロイド薬」と「気管支拡張剤」が配合された吸入薬の処方が一般的となっています。
十分な説明のないまま漫然と小児に「吸入ステロイド薬」が長期にわたり処方されている場合さえあります。

使い方が不十分だと、気道が狭いまま硬くなってしまい、ぜんそくが悪化したり、治りにくくなったりする恐れがある。
<私的コメント>
これを専門用語では「リモデリング」といいます。私の経験では、このことを過度に考えて不必要と思われる症例にも長期にわたり「吸入ステロイド薬」を投与する「専門医」もいます。「リモデリング」という言葉は患者さんに対して治療継続や、強いて悪い言葉でいえば「脅し」として利用されることさえあるのです。
 
学校生活の中で注意が必要な場合、主治医に相談して日本学校保健会作成の「学校生活管理指導表」に必要事項を記入して学校に提出するとよい。
<私的コメント>
普通、学校の保健の先生が通常の保健活動の中でこういった対応を行っています。

発作が起きた時の対応法をはじめ、運動する時や動物とふれあう時、宿泊学習などで注意してもらう点を教諭らに伝えることができる。
保健会のウェブサイトからダウンロードできる。

体育で持久走などをすると、発作が起きる可能性がある。
ただ、発作が起こるから運動をさせないのでなく、運動しても発作が起こらないように薬を使うことも大切だ。
<私的コメント>
食物アレルギーのある学童は給食後の体育の授業で喘息発作が強く出る可能性があるので要注意です。

子どもは日々のぜんそくの状態をきちんと説明するのが難しい。
日常的な体調管理には「ピークフローメーター」という器具を使うと便利だ。
「ふっ」と強く吐いた息の速度を測ることで気管支の状態が数値でわかる。
ふだんより値が低ければ、気道が狭くなっていて、発作が起こる可能性が高いことになる。
市販品の安いものは1500円程度で手に入る。

<関連サイト>
独立行政法人環境再生保全機構」のサイト
https://www.erca.go.jp/yobou/
ぜんそくの発作が起こる仕組みから、吸入器の正しい使い方や治療薬の種類などを詳しく紹介。

電話相談(0120・598・014 祝日を除く月~土曜の10~17時)にも無料で応じている。
 
出典
朝日新聞・朝刊 2016.3.14