せきぜんそく潜む危険

長引く空ぜき、夜眠れない…せきぜんそく潜む危険 放置すると重症化も


夜になるとせき込んで眠れない日が続き不安になる人が増えている。
ひょっとすると「せきぜんそく」と呼ぶ聞き慣れない病気かもしれない。
治療を受けないと、本格的なぜんそくに進む可能性があるので、早めに専門医を受診し、治療を受けることが大切となる。
花粉症などアレルギー患者が増えていることも、せきぜんそくの増加につながっているらしい。

□  □

日本呼吸器学会では、小児ぜんそくの既往歴がある人はせきぜんそくと診断しないことにしているが、せきぜんそくの人には、小児ぜんそくだった人も少なくないという。
<私的コメント>
ちょっとわかりにくいですね。

小児ぜんそくの約4~7割はよくなるが、2~3割程度がぜんそくを再発するとされている。
 
せきぜんそくにかかるのは平均すると40~50歳代が多いが、70歳以上の高齢者を含めすべての年齢層で発症する。
ただ、乳幼児には、多くないとされている。
成人では4対6くらいの割合で、女性に多い。

通常のぜんそくは空気の通り道である気道に炎症が起きて狭くなり、呼吸をするときにヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる音が出たり、呼吸困難になったりする。
 
せきぜんそくのせきも、気道に炎症が生じて起きる。
夜間から明け方に悪化することが多い。
喘鳴や呼吸困難になったりすることはないが、就寝後にせき込んで、しばしば目を覚ますなどぜんそくとの共通点もある。
 
夜間にせきがひどくなるのは、昼間に活発に働いている交感神経の活動が、夜になると弱まり、逆に副交感神経の働きが強くなって、気道を締め付けるからだ。
気道表面の細胞にあるせきの“探知機”である受容体が、刺激を受けてせきが出やすくなるという。枕など寝具についたダニなどのアレルゲンがせきを誘発することもあるとみられる。
 
せきぜんそくの疑いがあるのは、風邪が治ったと思ったのに、せきだけ続くときだ。
春や梅雨どき、秋になると決まって空ぜきが続く人も要注意だ。
花粉や黄砂、ハウスダストなどによるアレルギー反応で気道に炎症が起き、せきがでやすくなっているからだ。

□  □

せきは1~2カ月以上続くことが珍しくない。
空ぜきの場合が多いが、たんが出るときもあるという。
しばしば風邪や気管支炎などと見過ごされる。胸部X線写真を撮っても、異常はみつからない。気管支拡張薬を服用して、せきが治まることが診断の決め手になる。
 
事前の検査としては吐く息に含まれる一酸化窒素の量を測る方法がある。
患者が装置を両手でもって、マウスピースをくわえて一定の速さで息をはき出す。
一酸化窒素の値が高いと気道に炎症が起きていて、せきぜんそくの疑いが濃いという。
 
かつては大学病院や専門病院など大きな医療機関でないと検査ができなかったが、2年前に小型の装置が保険適用になった。
このため、最近では一般の医療機関でも検査できるところが増えているという。
 
気道に炎症が起きているときは、たんを検査してみると白血球の一種である「好酸球」が増えていることも多い。
 
治療には主に炎症を抑える吸入ステロイド薬を使う。
これだけでせきが止まる人もいるが、効果が不十分な場合などは、ステロイド吸入薬と気管支拡張薬(ベータ刺激薬)の配合剤を使う。
慢性的な気道の炎症を改善する薬「ロイコトリエン受容体拮抗薬」も有効でよく使われている。
 
薬剤にもよるが、1~2週間で症状が改善することが多いという。
 
自然によくなることもあるが、治療しないと悪化して3割くらいは本格的なぜんそくに移行する。
また最近は食事の西洋化などで胃食道逆流症の人が増えており、それに伴い空ぜきに悩む人も多い。
 
胃食道逆流症の人は昼間、特に食後にせきが出やすくなる。
せきぜんそくと胃食道逆流症を併発している人もおり、両方の治療が必要なケースも少なくない。

出典
日経新聞・朝刊 2015.7.12




咳喘息(せきぜんそく)油断しないで
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/39032033.html




<呼気一酸化炭素測定・関連サイト>
ぜんそく診断の新兵器導入
http://www.top-page.jp/site/page/okasora/NEWS/kokiNO/

ぜんそく診断に新方法 呼気のNO濃度で炎症程度を評価
http://qq.kumanichi.com/medical/2010/10/post-1644.php