夏の胃腸

弱ったときが危ない食中毒

暑い日が続き、汗をかく機会が増えると、「スタミナをつけよう」と脂っこい料理を食べたり、水分を必要以上に取ったりしがちだ。
だが、そこには、胃腸の調子を崩し、夏バテなどを引き起こす「落とし穴」があるという。

食べ物は食道から胃に入り、十二指腸へと送られる。
消化されるまでかかるのは通常約2~5時間。
水分だけなら数十分だが、脂っこい天ぷらやラーメンなどでは8時間ほどかかることもある。
私的コメント;
水分は消化というより吸収という言葉が相応しいのではないかと思いました。

夏バテと感じるのは、暑さで脱水気味になって疲れているだけ。
エネルギーを使った結果ではない。

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人間の基礎代謝のうち、最もエネルギーを消費するのは「体温維持」だ。
気温の低い冬場に比べ、夏場は気温と体温の差が少ないため、意外とエネルギーは使っていないという。
にもかかわらず、高カロリーの食事を取った上で運動量が減ると、胃がもたれて体調が悪くなるという悪循環に陥る。

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夏バテを感じたら、水分の取り方も大事だ。
激しい運動をしていないのにスポーツドリンクなどイオン飲料で水分補給をすると、塩分や糖分を多く取り入れることになるので注意が必要となる。

だが、本当に警戒すべきは胃腸に深刻な影響を与える細菌性食中毒。
夏バテなどで体力の低下も加わるとリスクはより高まる。

厚生労働省によると、昨年の食中毒の発生件数は976件。
このうち、細菌によるものは440件あり、7~9月が173件と約4割を占める。
その中でも多いのが、カンピロバクターサルモネラ球菌とブドウ球菌だ。
私的コメント
以前にもコメントしましたがこの統計は出鱈目です。
カンピロバクターによる食中毒は当院だけでも年間数10例あります。
医療機関が保健所に届けないだけです。
厚労省はこの数字を鵜呑みにしているのでしょうか。
こういったことは医療現場の最前線でしか分からないのかも知れません。
もっとも届けないわけですから大きな声ではいえません。
ここだけの話です。

細菌は、高温多湿な環境に長期間放置された食べ物などに増殖する。
私的コメント
鶏肉の生食による場合には、この話は該当しません。

それを食べることで、発熱や下痢の症状や吐き気などを引き起こす。
鶏肉など肉類から検出されやすいカンピロバクターは、潜伏期間が2~5日とやや長い。
一方、おにぎりや弁当などから検出されることの多い黄色ブドウ球菌は潜伏期間が1~3時間と短い。

潜伏期間が短いと胃の中に食べ物が残っていることから嘔吐を起こし、長くなると下痢が始まるケースが多い。
私的コメント
こういった考えは初めて知りました。
本当かどうかも不明です。

カンピロバクターは腹痛の症状が比較的強く出ることなどから、問診時の参考になるが、訴える症状だけで菌を特定するのは難しい。
重要なのは適切に菌をなくす治療をすること。
私的コメント
抗菌剤の使用の有無については意外と意見が分かれています。

市販の薬などで下痢を止めることは逆効果。
ただ下痢が続くと、水分に加え塩分なども排出されて体液が薄まるため、その際は水でなくイオン飲料で補給をするとよい。


夏の胃腸を守るには・・・まとめ
① ⬜︎ 脂っこいものを食べすぎない
② ⬜︎ 本分を取りすぎない
③ ⬜︎ 規則正しい食事と睡眠を心がける
④ ⬜︎ 古い飲食物は取らない
⑤ ⬜︎ 下痢や嘔吐があったら、水分補給はイオン飲料で

①~⑤は夏パテ、④、⑤ は食中毒に関すること。
① 胃の停滞時間が長く、胃もたれの原因になります。
②の脱水症予防は重要ですが、心臓、腎臓の悪い方が取り過ぎると危険です。
また、取り過ぎると、下痢を起こしますし、体液が希釈されて、だるさ、夏パテ症状の原因にもなります。
③ 寝る時間、起きる時間をなるべく一定にし、特に朝と夜の食事は同じ時間帯にとることがコツです。
④は細菌の発生を防ぐことがポイントです。
食中毒菌の発生や増殖に注意が必要です。
⑤発熱を伴う下痢、嘔吐は医療機関を受診して下さい。
特に下痢を止めてはいけません。
目安として、一日に5回以上の下痢や嘔吐がある時には、イオン飲料や経口補水滴で水分補給をして下さい。


<参考サイト>
家庭での食中毒予防の六つのポイント(厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/point0709.pdf


出典
朝日新聞・朝刊2015.7.13