コロナ治療薬の実用化急ぐ 米社製、来月にも治験結果 中国「アビガンに効果」
新型コロナウイルスの治療に既存の抗ウイルス薬が有望だとわかり、早期に使える可能性が出てきた。
インフルエンザ薬「アビガン」とエボラ出血熱薬「レムデシビル」が特に有望視されている。
レムデシビルは4月にも臨床試験(治験)の結果が出る見通しだ。
実用化できれば世界規模の死者増加を抑え、経済への打撃を緩和することにもつながる。
「治療の効果は明らかだ」。
17日、中国科学技術省の記者会見に世界が注目した。
富士フイルムのグループ会社、富士フイルム富山化学が開発したアビガンについて、新型コロナ治療の臨床研究で有効性を確認したと発表した。
患者200人に投与し、肺炎などの症状が改善したという。
今後、中国の医療現場で患者への使用が推奨される。
新型コロナに有効な治療薬はまだなく、他の病気の治療に使う薬の転用が注目を集める。
アビガンは国内では2014年3月にインフルエンザ薬として製造販売承認を取得し、16年に中国製薬会社の浙江海正薬業(浙江省)にライセンスを供与していた。
浙江海正薬業は2月に中国当局から生産認可を得ており、量産を本格化する。
日本でも医師の判断によって新型コロナの患者に投与されている。
政府はアビガンを200万人分備蓄しており、富士フイルム側は「政府から増産を検討するように要請を受けている」と説明する。
実際の増産には原材料の確保などの課題もありそうだ。
※コメント
私達のような開業医や医療関係者にはマスクやアルコールが手に入らない現状があります。
注射や採血に必須のアルコール綿も品不足状態です。
外科系の先生は、今にでもマスクも消毒薬などが入手出来ずに、手術もままならぬ状態になりそうです。
政府がマスクを放出する話が出ていますが、医療関係者への供出は考慮されているのでしょうか。
アビガンについても政府に備蓄されることにより、却って医療現場が混乱することが危惧されます。
スピード感(危機感)と「適材適所」の配布が強く求められます。
日本医師会も強く政府にアピールすべきです。
すでに医療現場では「医療崩壊」を肌身に感じています。
エボラ出血熱の治療用に開発されていた米ギリアド・サイエンシズのレムデシビルは各国で未承認だが、中国で新型コロナの患者に投与したところ効果が確認され、同社は日米中などでの治験を始めた。
1千人程度の患者で効果を見ている。
ギリアドは「まず中国で4月にも結果が出る」と説明。
厚生労働省が緊急措置として審査を急ぎ、条件付きの仮承認を出すなどすれば、日本でも数カ月のうちに医療現場で使えるようになる可能性がある。
商業生産されている薬ではないため、大量供給するには新たに製造体制を構築する必要がある。
米アッヴィの抗エイズウイルス(HIV)薬「カレトラ」も中国でコロナ治療に使われ、他の薬剤と組み合わせた治験が進む。
日本では2000年に承認されてエイズ治療に広く使われており、新型コロナで有効性が確認された場合、早期の大量供給も可能とみられる。
いずれの薬剤も副作用のリスクがあり、軽症患者の治療には向かない可能性が高い。
※コメント
軽症患者の治療に向かないということは、重症者への投与は「一か八か」とも言えます。
アビガンは動物実験で胎児への影響が確認され、妊婦への使用は厳禁だ。
重篤な肝障害などの副作用も報告されている。
カレトラは膵炎や肝障害が報告されている。
レムデシビルの副作用はまだ不明で、低血圧障害などの可能性が指摘される。
国内ではこのほか、ぜんそく薬「シクレソニド」で解熱などの効果が見られたとして症例研究が進んでいる。
東京大学は18日、急性膵炎の治療薬「ナファモスタット」を試験投与して効果を調べると発表した。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2020.3.19
<関連サイト>
既存薬を使う 新型コロナの治療
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/934