コロナウイルス 感染力や病原性に謎多く
新型コロナウイルスの感染者が世界各地で広がり、国内でもすでに1千人を超えた。
コロナウイルスとは、一体どんなウイルスなのだろうか。
電子顕微鏡でコロナウイルスを見ると、膜に覆われた表面に突起のようなものが出ているのが見える。
この突起が王冠(ギリシャ語でコロナ)や太陽の光冠(コロナ)のように見えることから、「コロナウイルス」という名前が付いた。
現在、知られているコロナウイルスは約40種ある。
1930年代に鳥、40年代にマウスと豚からコロナウイルスが分離された。
それ以降、犬、牛、猫、キリン、ラクダなど様々な動物でコロナウイルスの感染が確認されている。
動物の生死に関わるる危険なタイプもいくつか報告されている。
例えば、豚流行性下痢は哺乳期の子豚がかかると重い脱水症状となり、死亡率は100%になることもある。
農林水産省の統計によると、2013年10月~14年8月に38道県の約820農場で感染が確認された。
ほかにも致死的な猫伝染性腹膜炎を起こすタイプのコロナウイルスもある。種を越えて感染することはほとんどなく、猫に感染するタイプは猫にしか感染しない。
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コロナウイルスがヒトから分離されたのは1960年代だ。
今回の新型コロナウイルス が出現するまで、ヒトに感染するコロナウイルスは6種類が報告されていた。
そのうちの4種類は通常の風邪を引き起こすウイルスだ。
残りの2種類は、2002年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こしたウイルスと、12年に出現して致死率30%のMERS(中東呼吸器症候群 )を引き起こしたウイルスだ。
SARSは02年11月~03年7月に世界で8千人以上の患者が報告された。
ただ、なぜ1年で終息したのかは不明だ。
SARSやMERSの高い病原性については、世界で様々な報告があるが、いまだによくわかっていないことが多いようだ。
また、風邪を引き起こす4種類のコロナウイルスは主に子どもが感染しますが、SARSやMERS、新型コロナウイルスは大人の感染が多いことも謎だ。免疫が成熟した大人では感染によって過剰な免疫反応が起き、重症化している可能性が考えられている。
ただ、重症化する子どもが少ないため、感染者の実態が把握できていない可能性もある。
大人での重症化の仕組みが解明されれば、子どもで本当に罹患や重症化が少ないのかはっきりするのではないだろうか。
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コロナウイルスは風邪のウイルスということもあって、SARSが発生するまで特に注目されず、研究者も少ないため、まだ感染力や病原性などがよくわかっていない。
インフルエンザウイルスやエイズウイルス(HIV)と比べると、まだまだ謎のウイルスだ。
新型コロナウイルスにはまだ、治療薬やワクチンがない。
世界中の研究機関が有効な治療薬を探している。
また、ワクチンや感染を早く判定する簡易検査キットの開発なども進んでいる。
感染予防には、手洗いやせきエチケットの基本動作が大切だ。
また、アルコールはウイルス表面の膜を壊すので、アルコール消毒も効果的だ。
■これから
新型コロナウイルスは分類上はSARSと同じ種だが、SARSと同じように約1年で終息するかはわからない。
新型コロナウイルスの感染力や病原性なども、今後、動物を使った実験で明らかになってくる。
人混みを避ける、手洗いを徹底するなど、感染症対策の基本を忘れないようにしたい。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.3.21
<関連サイト>
コロナウイルスとは
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/956