新型コロナ PCR検査

新型コロナ?  受診急ぐ前に 地域医療、「感染可能性前提で予防策」

熱や咳といった症状が出た時に医療機関を受診する際の注意点や、感染を確認するPCR検査の意味は?

■ 地域医療「感染可能性前提で予防策」

茨城県の某診療所。

発熱して新型コロナウイルスの感染を心配する人から相談電話が頻繁にかかってきたり、同じ患者が不安にかられて午前と午後に来院したりする患者がいる。

気管支炎を起こし、感染が疑われたケースもあった。

保健所に連絡してPCR検査をしたところ、結果は陰性だった。

 

感染初期の症状では、風邪か新型コロナウイルスによるものかは見分けられない。

地域医療の最前線にあるのがクリニックや診療所。

感染を広げないためにも新型コロナウイルス感染の可能性があるとの前提で感染予防策を取って来た。

 

2月中旬から入り口に消毒薬を置き、すべての患者に手と指の消毒を呼びかけ、風邪症状や腹痛、下痢などの症状がある人は、他の患者と一緒にならないように別室に案内している。

診察前には、医師、患者ともに改めて消毒している。

 

PCR検査は公的医療機関でできるようになったが、インフルエンザの検査のようにどの医療機関でもできるわけではない。

定められた「帰国者・接触者外来」を受診し、医師が必要と認めた場合に限られる。

 

「検査を限定しているので隠れた患者がいるのではないか」との声がある。

 

感染が広がり、隠れた患者がいれば、各地の病院で原因不明の肺炎が増えているはずだが、そのような話はない。

しかしすべての患者を把握できていないかもしれないが、その数は多くはなく、重症者や死亡者としては出ていない可能性がある。

 

PCR検査、重症者優先に / 病院へ早く行く利点ない  

検査を望む人が増えているが、感染のあるなしを正確に判定できると誤解がある。

PCR検査は感染しているのに陰性となる「偽陰性」や感染していないのに陽性と判定される「偽陽性」が出ることが避けられ ない。

100人の感染者のうち最大でも約70人しか検査では陽性にならないとみられている。

本当は感染しているのに、検査結果が陰性だったら感染を広げる可能性がある。

本当は感染していないのに陽性になれば、隔離のため入院することになり、病床不足につながりかねない。

 

幅広い人に検査が受けられるようにした方がいいという意見もある。

どれくらいの人が感染しているかを調べることに意義がないとは思いません。現在も集団感染がおきた場所では症状によらず接触者を検査しています。ただ、全国的な調査をやる時期ではないと思います。今検査を行う最大の目的は、重症者を治療につなげ、死なせないことです。そこに医療資源を費やすべきです。軽症者を洗い出す検査を増やすことで、重症者への対応が遅れてはなりません。

 

早期発見、早期治療とよく言われている。

新型コロナウイルスの場合、風邪のような症状が1週間ぐらい続き、そのまま治ってしまう人が約8割、約2割が重症化すると言われている。

ただ、早く見つけても重症化を防げるわけではなく、早く病院へ行くメリットはない。

コメント;

この点に関しては今後の治療法が進歩すれば変わってくるかも知れません。

例えば、ある種の吸入タイプの喘息治療薬が中等症までの新型コロナウイルス肺炎に有効だったという報告が、最近になって国内で出されました。

こういった治療経験が早急に公開されることが望まれます。

しかし、新型コロナウイルスの患者を「どこの医療機関でどのような治療を行っているのか」ということの公表がされておりません。

春は学会の時期でもあるのに、多くの学会は中止や延期となっています。

診断法や治療法の進歩や改善には臨床体験の共有が欠かせません。

とりあえず既存の薬剤や治療法で人命救助が可能かも知れません。

そういった意味では、神奈川県立足柄上病院が喘息吸入薬の有用性をいち早く論文化したことには拍手を送りたいと思います。

 

病院へ行って院内感染を起こすリスクの方が大きい。

病院には重症化しやすい高齢者や、循環器系や呼吸器系の慢性疾患の人が集まっている。

こうした点から、不確実性が高いPCR検査を受けるために病院へ行く意味は非常に薄いと言わざるを得ない。

 

海外ではより多くの検査をしているようだが通常、接触歴が追えて封じこめが望める状況では無症状者を含めて多くの検査をするが、国内に接触歴がわからない患者が増えてくると、重症者を中心に検査する方向に徐々にシフトしていく。

PCR検査はインフルエンザの迅速検査とは違い、検体を検査機関に運び特殊な技術を使って遺伝子を抽出して、特別な機器で増幅させる。

専門的な訓練が必要で、病院の検査技師なら誰でもできるわけではない。

 

つらくなければ自宅で療養したほうがよい。

高熱が続く場合や息苦しさが出れば、帰国者・接触者相談センターに電話をした上で医療機関を受診する。

「非感染の証明書」をもらいに病院へ行くのはデメリットしかない。

 

PCR検査> 

ウイルスに含まれる特定の遺伝子を増やして調べる検査方法。

患者の鼻やのどの粘液やたんから採ったウイルスから遺伝子を取り出し、試薬とともに検査装置に入れる。

遺伝子を増幅させて測定することで、調べたいウイルスの有無を判定する。