新型コロナウイルス Q&A ① 1/4

新型コロナウイルス Q&A ① 1/4

コロナウイルスとは かぜなどの原因になる。7種類目が「新型」

 コロナウイルスとはどんなウイルスか。

 コロナウイルスは、動物や人に感染するウイルスで、表面の突起が太陽のコロナに似ていることから名付けられた。

人に感染するものとしては、これまで6種類が知られている。

うち4種類は、一般的なかぜの原因となるもので、感染しても軽症ですむことが多い。

 

昨年12月以降、中国で感染が広がったウイルスが、これまでとは異なる7番目のコロナウイルスとわかり、「新型」と呼ばれている。

新型コロナウイルスによる肺炎などの感染症は、「COVID-19」と名付けられた。

 

 新型は、どのくらい恐ろしいのか。

 同じコロナウイルスでは、中国で2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群SARS)や、2012年以降に中東や韓国で流行した中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすウイルスがある。

重い肺炎になって重症化しやすいといわれているが、新型コロナウイルスSARSウイルスなどに比べれば、感染した人の健康を害する能力は低いと考えられている。

 

SARSはコウモリ、MERSはヒトコブラクダに感染していたウイルスが、人にうつったと考えられている。

新型コロナウイルスは、遺伝子配列がSARSに似ており、コウモリが感染源である可能性があるが、どのように人に感染したか詳しくは分かっていない。

 

 

どうやって感染する 主に「飛沫」と「接触」。  細かい粒子で感染も 

 新型コロナウイルスはどのように感染するか。

 主に二つの感染の仕方が考えられている。

一つは感染者のくしゃみ、せき、つばなどと一緒に出たウイルスを口や鼻から扱い込む「飛沫感染」。

屋内でお互いの距離が近い状態で一定時間を過ごすことで感染する。

 

もう一つは「接触感染」だ。

ウイルスがついた電車のつり革やドアノブ、スイッチなどに触れ、手や指についたまま口、鼻、目に触れることで感染する。

 

はしかや結核のように空気中に漂ったウイルスを吸い込む「空気感染」はしないと考えられている。

 

ただ、風通しの悪い密閉空間では、飛沫より細かい粒子が漂って感染が起きている可能性も指摘されている。

 

 感染力はどのくらいあるのか。

 世界保健機関(WHO)によると、感染から症状が出るまでの潜伏期間は1~12.5日で、多くの場合5~6日かかるとされている。

1人の感染者から、平均2人程度に感染が広がるといわれている。

ただ、2月26日時点で国内で感染が確認された110例を専門家が分析したところ、75%にあたる83人は誰にも感染させておらず、残りの27人も半数以上は1人にしか感染させていなかった。

一方、換気が不十分なスポーツジムでは1人の感染者から9人、屋形船では12人に感染が広がった例もある。

 

感染したらどうなる 高齢者や持病ある人が重症化しやすい

 新型コロナウイルスに感染したらどうなるか。

 鼻や咽頭喉頭などの上気道、気管や肺などの下気道と呼ばれる部位にウイルスが感染し、上気道炎、気管支炎、肺炎になるとされている。

若い人では症状が出なかったり軽い症状だったりして、自分では感染したことに気づかないこともある。

 

 どんな症状から始まるか。

 発熱やせきから始まることが多く、かぜやインフルエンザと見わけるのが難しい。

そのまま回復する人も多くいる。

一方、重い肺炎になるなど重症化する人は、かぜのような症状が4~5日続いた後に、強いだるさ(倦怠感)や呼吸困難を伴う息苦しさが出て、急に悪化する傾向がみられる。

 

 重症化しやすいのか。

 重症化しやすいのは高齢者や、糖尿病、心不全、呼吸器疾患などの持病がある人、人工透析を受けている人、免疫抑制剤抗がん剤を使う人などだ。

中国の約5万5千人の患者の分析によると、約8割は軽症ですんでいる。約14%が重症化しているが、その約半数は回復したと報告されている。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2020.3.12 別刷り