検査を短期化 研究開発進む
新型コロナウイルス感染の有無を知るためのウイルス検査は主に2種類ある。PCR検査と抗体検査だ。
遺伝子やウイルスに関連したたんぱく質が働く仕組みを活用する。
検査結果は診断や治療の方針を決めるための大切な手掛かりになる。
ただ精度などには限界があり、万能ではない。
遺伝子情報を読みウイルスの有無を決めるPCR検査は、ウイルスの遺伝子の違いを直接調べる。
ウイルスの有無が高い精度でわかる。
ただ配列を読む前に、様々な作業を専用装置で実施する必要がある。
抗体はウイルスが体内に入ってきた際に、体をウイルスから守る免疫の仕組みが働いてできるたんぱく質だ。
ウイルスが入った証拠になると考えられている。
例えばイムノクロマト法は抗体にくっつくたんぱく質をあらかじめキットに染み込ませておき、血液などをたらす。
この中に抗体が含まれていれば、たんぱく質とくっついて、ウイルスに感染したことがわかる。
PCR検査より精度は劣るものの、専用装置などが不要でキット化も可能だ。
新型コロナウイルスで停滞する経済活動の再開に向け、各国は出口戦略を探っている。
感染から回復しウイルスの免疫を持つ人を把握するために、抗体検査を使おうという動きも出始めた。
抗体検査の導入が始まった米欧では、検査結果も報告されている。
米ニューヨーク州では、実際の感染者が公表値の約10倍いる可能性が示された。
他の国々の抗体検査でも同様に、公表値を大きく上回る感染を示す結果が出ている。
こうした抗体検査は検体が少なく試行段階のものが多いが、従来の想定以上の感染の広がりを裏付けている可能性がある。
ただ抗体検査の本格利用には、科学的な知見の蓄積や検査精度の向上などの課題もまだ残っている。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2020.5.5