新型コロナに抗原検査も活用

新型コロナウイルス 抗原検査承認へ PCRと併用で検査数増加

新型コロナウイルスに感染しているかどうかを短時間で調べられる「抗原検査」について、厚労省は確定診断に使う方針を固めた。

PCR検査と併用する考えで、検査件数の増加につながる可能性がある。(2020年5月)13日にも、検査キットが薬事承認される見通し。

 

抗原検査は、ウイルスを形づくるたんぱく質を直接検出する方法で、インフルエンザウイルスの検査などに広く使われている。

鼻やのどの奥をぬぐってその場で検査し、10~30分程度で結果が出る。

 

現在、診断に使われているPCR検査は、ウイルスの遺伝物質を増やし、検出する。

専用の機器が必要で結果が出るまでに数時間以上かかる。

抗原検査は短時間で簡単にできるものの、PCR検査と比べると精度が低く、ウイルスを検出できない可能性がある。

 

抗原検査で感染が確認できなかった場合でも補完的にPCR検査をして見落としを防ぐ方針だ。

重症な患者は抗原検査で感染の有無を確認しやすいといい、早期の対応につながる。

 

現在、PCR検査ができるのは、保健所や地方衛生研究所、検疫所、一部の医療機関、民間企業などに限られている。

検査キットの供給量が増え、一般の医療機関で抗原検査ができる態勢が整えば、検査件数の大幅な増加も見込める。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2020.5.10

 

 

新型コロナ 短時間で調べられる「抗原検査」13日承認へ 厚労省

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200512/k10012426211000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002

(2020年5月12日)

・当面は、感染者が多い地域の専門外来などを中心に使われる見通し。

 

・検査の際に感染リスクがあることから、すでにPCR検査を行っていて十分な感染防止対策がとられている医療機関で実施する見通しで、インフルエンザの検査のように一般の診療所で広く受けられるわけではない。

(コメント;普及への壁になります)

 

厚生労働省の関係者によりますと、当面は東京、神奈川、大阪、北海道など感染の多い地域の「帰国者・接触者外来」などを中心に使用される。

(コメント;当地域のように保健所を通してしかPCR検査を依頼、しかもほとんどが断れるような地域では抗原検査でさえも依頼出来そうにありません)

・また、PCR検査に比べて精度が低く、感染している人でも陽性とならない場合もある。

このため、抗原検査で陽性となった人はその時点で検査結果を確定できるが、陰性となった人は再度PCR検査を行うことになる。

 

厚労省は、検査の方法や対象者などについてガイドラインを13日にも示すことにしている。

 

・検査キットを製造する「富士レビオ」によると、1週間で20万個のキットを供給できるという。

(コメント;検査普及のためのシステム構築やマンパワーについて、政府や業者はどこまで把握しているのか疑問です)

 

・今回、承認される抗原検査のキットでPCR検査で陽性となった、国内の検体24例を調べたところ、陽性となったのは16例だったということで、ウイルスの量が多い検体ほど、精度が高くなる傾向がみられたという。

 

PCR検査の現状

厚労省によると、新型コロナウイルスPCR検査について1日に実施できる件数は、2020年5月9日の時点で1万7614件となっている。

 

内訳は

国立感染症研究所が800件、

▽検疫所が2300件、

▽保健所などが5146件、

▽民間の検査会社が6703件、

▽大学などが1639件、

医療機関が1026件となっています。

(コメント;あくまでも「1日に実施できる件数」であって実施されている件数ではありません。現時点で保健所経由でしか依頼出来ない開業医は5146件中で実施されている実数も把握したいものです。医師が検査をお願いして医師でもない保健所職員が要否を判断するシステムは大いに疑問です。民間の検査会社もどれだけ実際は活用されているのでしょうか)

 

・ただ、これはPCR検査を実施できる能力を示す数で、実際に検査した件数とは異なります。

 

・実際に行った検査の件数は最大でも1日当たり9300件余りと、これまで1万件を超えた日はなく、速報値がまとまっている中で最も新しい5月6日では4281件にとどまっています。

 

抗原検査の精度

厚労省によると、これまでの試験では、症状があるなど体内に一定以上のウイルス量がある患者の場合、PCR検査で陽性となる人の8割から9割が「抗原検査」でも陽性となったという。

 

厚生労働省は「PCR検査と比べて感度は低いものの、一定の症状があれば非常に早く感染者を見つけることができ、検査体制の効率化につながる」としている。

 

・今回の検査キットの承認にあたっては、感染者でも陰性となってしまう可能性があると添付文書に記すことや、陰性になった人にはPCR検査の実施を検討することが条件となっている。

 

検査費用は公費負担で調整

厚生労働省は「抗原検査」を受ける際の費用負担についても調整を進めている。

「抗原検査」は13日に承認された後、中医協中央社会保険医療協議会の審議を経て、保険適用となる見通しだ。

 

・感染の疑いがあり検査の必要があると医師が判断して「抗原検査」を行った場合は、PCR検査と同じく公費負担となり、患者の自己負担は生じない見通しだ。