ウイルスの底知れぬ怖さ

ウイルスの底知れぬ怖さ 驚異の生存戦略に迫れ

新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころ、専門家は「したたかで賢く、やっかいだ」とたびたび口にした。

感染しても多くは軽症か無症状とされる。

感染した人の死はウイルスの死を意味する。

発症せずに人知れず感染を広げるような戦略に専門家ですら底知れぬ怖さを感じたのだ。

地球上には、おびただしい数のウイルスがいる。

繁栄の陰には巧妙な生存戦略がある。

小さな体のどこから「賢さ」が生まれるのか。ウイルスとは何か。

コメント

「ウイルスの死」「生存戦略」・・・そもそもウイルスは生物とか生命体と呼ぶこと自体に問題

があります。

 

参考

ウイルスは生きているのか Are Viruses Alive?

http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0503/virus.html

・今日では生物と無生物の境界領域に存在するものと考えられている。

ウイルスは単独では自己複製できないが,生きている細胞の中では複製でき,宿主となった生物の行動にも大きな影響をおよぼす。

 

生物と非生物の境界、ウイルスとは何か

https://synodos.jp/science/20043

 

生物じゃない? 意外と知らない『ウイルスの正体』

https://newswitch.jp/p/21810

・ウイルスは生物ではない 寄生する遺伝子の殻

 

ウイルスとは?-生き物との違いとコロナウイルスの増殖機構-

https://modia.chitose-bio.com/articles/virus_01/

 

生物の体を乗っ取り、自在に操る・・・。

ホラー映画の主役のようなウイルスがいる。

チョウやガの幼虫に感染する「バキュロウイルス」だ。

 

感染した幼虫は高い所を目指す衝動にかられ、木の枝の先で力尽きる。

死骸は溶けるか、鳥が食べる。全てはウイルスをまき散らすため。

ウイルスが描くシナリオ通りに事が運ぶ。

 

こんな恐ろしいことがなぜできるのか。

幼虫の異常行動は100年以上前から謎だった。

一端が解明されたのはここ10年ほどだ。

東京大学の勝間進准教授はカイコで謎解きに挑んだ。

理化学研究所や米カリフォルニア大学と組み、ウイルスが「PTP」というたんぱく質を使い、幼虫を操っていることを突き止めた。

ウイルスの遺伝子は100~150個のうち1~2割はカイコとそっくり。

PTPを作る遺伝子も含む。

「進化の過程で、ウイルスは感染した昆虫の遺伝子を手に入れた」と勝間准教授は考える。

昆虫から入手した遺伝子は独自に改変し、ついには脳や神経を侵して幼虫を生かさず殺さずに操れるようになった。

一連の研究が2018年までに論文にまとまった。

 

巧妙な戦略には驚くが、実はウイルスは「賢さ」とは無縁の存在だ。

体は5000分の1ミリメートル以下。

遺伝物質のDNAやRNA(リボ核酸)をたんぱく質の殻で包んだだけ。

核や小器官を持つ細胞よりも、はるかに単純だ。

感染した細胞が無ければ、自力で増殖もできない。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2020.5.23

 

<関連サイト>

ウイルスは不思議な存在

http:// https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/1108