子どもの感染、少ないわけは たんぱく質・免疫の働き、違い指摘も
一方、学校での子どもたちの集団感染のケースもときおり報じられている。子どもと新型コロナについてはまだわからないことも多いが、いまの段階でどんなことがいえそうなのか。
厚労省の統計によると、10代以下の感染者は11月25日現在10322人で、全
体の約8%だ。
子どもは大人に比べてどの程度、感染しにくいのか。
日本を含む世界の32件の研究をまとめて分析した報告によると、20歳以上を1とした場合の20歳未満の感染割合は0.56だった。
日本小児科学会が全国の小児科医の報告をもとにまとめたデータベースによれば、周囲に先に感染者がいて、だれから感染したかが推定できたケースのうち、8割近くが家族で、両親や祖父母がほとんどを占めた。
まずは大人が感染しないよう心がけること。
それが子どもを守ることにつながる。
なぜ、子どもは感染しにくいのか。
新型ウイルスは細胞の表面にあるACE2というたんぱく質に取りついて感染する。
このたんぱく質が、年齢層が低くなるほど少ないとする報告がある。
免疫の働き方が、子どもは大人と違うのかもしれない、とみる専門家もいる。
ただ、確実な理由はまだはっきりしていない。
注意もいる。
コロナへの感染割合の世界32件の研究の分析では、年齢を10~19歳に限ると、20歳以上と差はなかった。
この結果だけで厳密に年齢を区切ることはできないが、10歳を過ぎるくらいの子どもの場合、かかりやすさは大人とさほど変わらないと考えたほうがよさそうだ。
子どもが最初に発症した107家族を調べると、別の人に感染した例は1例だけだったとする報告がある。
いまのところ、子どもからの周囲への感染例は多くはないといえそうだ。
だが油断は禁物。
発症した5歳未満の幼児の鼻の奥からは、18歳以上の約10~100倍のウイルスが見つかったとの研究もある。
ウイルスが多いのになぜ感染をさほど広げていないのかはわかっていない。
感染はさらに広がる可能性があるが、子どもたちのため、学校での行事は対策をとったうえで、なるべく開いてほしい。
対策を尽くしても感染が起きる可能性をゼロにはできないが、「子どもや学校関係者を責めないで」と専門家は訴える。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.12.6
<関連サイト>
子どもの感染少ないわけは?
https://aobazuku.wordpress.com/2021/02/08/子どもの感染少ないわけは?/