初の実用化、RNAワクチン
新型コロナウイルスのワクチンは、ウイルスの遺伝情報を使った「RNAワクチン」という新しいタイプだ。どんなワクチン で、どんなしくみで効くのか。
ワクチンは、ウイルスなどの病原体に対抗する免疫のしくみをあらかじめ刺激することで、「本当の感染」に備える医薬品だ。
従来のタイプは、病原体を弱毒化したり増えなくしたりしたうえで接種し、感染に備えていた。
一方、今回のワクチンには新型コロナウイルスの遺伝情報の一部が含まれている。
接種すると、その情報をもとに体内でウイルスのたんぱく質がつくられる。これによって免疫細胞を活性化させ、感染に備える。
本物のウイルスは必要なく、ウイルスの遺伝子の配列さえわかれば短期間で開発を進められる。
ワクチンが効きにくくなった場合でもつくり替えることが比較的やさしい。
RNAはとても不安定な物質のため、こわれないように「脂質の膜」で包んだ状態で接種する。
さらにファイザーのワクチンでは零下75度前後での保管が必要になるなど、従来のワクチンよりも取り扱いが難しい。
逆に、体内では短期間で分解されるため、安全性は比較的高いとされる。
RNAワクチンが実用化されるのは初めて。
使われ始めてからまだ数カ月で、長期的な有効性や安全性については、今後も検証していくことになる。
参考・引用一部改変
朝日新聞・夕刊 2021.2.15