日本初承認ワクチン生みの親「2年ごと接種で効果持続」

日本初承認ワクチン生みの親「2年ごと接種で効果持続」

独ビオンテックCEO、コロナ脱却「75~80%接種で」

 14日に日本で初めて承認された新型コロナウイルスワクチンを米製薬大手ファイザーと共同開発した独バイオ製薬ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)が、日本経済新聞のインタビューに応じた。

サヒン氏は効果の持続性について「2年ごとに接種が有効」と述べ、多くとも1年ごとで十分との見方を示した。

 

ワクチンはウイルスの遺伝子情報から作るメッセンジャーRNA(mRNA)とよばれる同社のバイオ技術を基にしている。

ファイザーの世界的な臨床試験(治験)などでのネットワークを活用して安全性や有効性を検証し実用化にこぎ着けたが、サヒン氏が事実上の「生みの親」だ。

 

サヒン氏はワクチンが通常は2年ごとの接種で効果が持続し、変異ウイルスの状況によっては1年ごとの接種が必要になるとの見方を示した。

コロナ禍からの脱却のメドについては「75~80%の接種率で通常の生活に戻れる」と強調した。

 

日本政府はファイザーと2021年中に1億4400万回分の供給契約を結んでいる。

日本からの追加注文があった場合について「他の国・地域との契約を調べないといけないが、今のところ日本がより多く受け取ることはできると考えている」と述べた。

 

日本へはベルギーにあるファイザーの工場と、このほど稼働した独マールブルクのビオンテックの工場から供給する。

米国からの出荷も検討する。

「欧米から十分な量を供給できる」とし、日本での現地生産は考えていないという。

欧州連合EU)が1月に導入したワクチンの域外輸出に事前許可の取得を義務づける制限措置については問題にならないとした。

 

ワクチンは20年12月に世界に先駆けて英国で承認された後、すでに約50カ国・地域で接種が始まっている。

両社は21年内に20億回分を生産する予定。

21年末までにベルギーとマールブルクの拠点だけで少なくとも年産17億5千万回分に広げる。

 

今回のワクチンはセ氏マイナス75度前後で保管するため、専用の輸送設備が必要だ。

サヒン氏は「ほかのタイプのmRNAワクチンの準備も進める。1つは凍結乾燥タイプで、21年後半の承認を目指している。もう一つはマイナス20度で長期保管でき、2~8度でも今より長く保存できる液体タイプだ。こちらはもっと早くできるかもしれない」とした。

凍結乾燥タイプは2~8度で保管が可能になるとされ取り扱いが格段に簡単になる。

 

ビオンテックはファイザーとワクチンの販売による利益と開発費用を折半する。

このほかファイザーからは前払い金で20年4月に1億8500万ドル(約195億円)を受け取っており、さらに成功報酬として最大5億6300万ドルを得ることになっている。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2021.2.16