コロナ禍と尿管結石 運動不足や過食が誘発も
水分は1日2リットル以上 / カルシウムも適度に
体内の水分が不足して尿が濃くなると発症しやすいのが尿路結石｡
新型コロナウイルス禍での在宅勤務による運動不足や食生活の変化が誘発する可能性もある
という｡
激しい痛みを伴うだけに､気を付けたい。
「最近は外出を控えるようになり、体を動かさなくなった」「在宅勤務のストレスでつい間食してしまう」。
コロナ禍をきっかけに、適度な運動やバランスのとれた食生活が続けられなくなった人もい
るだろう。
こうした変化は生活習慣病の原因にもなりかねない。
さらに生活習慣病と眼路結石には相関関係がある。
尿路結石の発症リスクが高まる可能性もあるという。
尿路結石は男性の7人に1人、女性は15人に1人が発症するとのデータもある身近な病気だ。
コメント；
実感としては男性に、はるかに多い印象です。
腎臓や尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道（尿路）で、尿中のシュウ酸やカルシウムといった成分が固まって結石ができる。
腰から脇腹や背中にかけて突然の激痛や血尿が起こることがある。
結石で尿管が詰まって尿の流れを塞ぐと、圧力の上昇や尿管のけいれんによって激しい痛みが起こる。
結石が尿管下部や尿道にあると、頻尿や残尿感、排尿痛といった症状もみられる。
一方で結石が腎臓や膀胱にあって尿の流れを塞がない場合には多くが無症状だという。
発症のリスクが高いのは肥満、尿酸値が高い、糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病を抱える人だ。
コロナ禍での生活習慣の変化を踏まえ、運動不足や過食による肥満には特に注意が必要だ。
コメント；
高尿酸血症やその結果としての痛風は、生活習慣病が潜んでいる、ないしは合併しているということは以前からよく知られていることです。
しかし、尿路結石自体が生活習慣病と相関関係にあるというのは余り知られていないことです。
尿路結石の成分が尿酸塩という患者さんはそれほど多くなく、圧倒的にシュウ酸カルシウムが圧倒的に多いのです。
「尿路結石と生活習慣病」より「高尿酸血症と生活習慣病」の方が関連がはるかに強いはずですし、ここでは「尿路結石と生活習慣病」の関連のメカニズムも説明されていません。
一般的に男性よりも女性の患者の方が少ないが、閉経後の女性も要注意だ。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少が発症に関わることが明らかになっている。
予防には生活習慣の改善が欠かせない。
まず水分摂取。
1日に2リットル以上を心がけたい。
水や麦茶がいいようだ。
夏に発症しやすいのは体内の水分が不足して尿の濃度が高くなり、結石が生じやすくなるからだ。普段以上に水分摂取を意識する必要がある。
コーヒーや紅茶、高級な緑茶、ホウレンソウといった食品には結石の原因となるシュウ酸が多く含まれる。
取り過ぎは控えよう。
カルシウムは結石の成分でもあり、かつては摂取制限の動きがあったが、今では適度に取るよう推奨されている。
コメント；
尿路結石のうちカルシウム結石（リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム）は75%を占めています。
（尿酸塩結石は全体の7%）
カルシウムが腸内でシュウ酸と結合し、便として排出されるため、尿中のシュウ酸が増えにくいとされる。
例えばコーヒーを飲むときには牛乳を入れるのがおすすめだという。
アルコールも要注意。
ビールに多いプリン体が尿酸値を高め、結石を誘発しかねない。
もちろんカロリーの高い食生活や運動不足での肥満にも気を付けたい。
治療については結石が小さかったり、無症状だったりした場合、運動や水分摂取で自然に排出されるのを待つことが多い。
痛みがある場合は鎮痛薬や結石の排出を促す薬を使って出るのを待つ。
ただ結石が比較的大きくて自然排出を期待できない場合は体外から衝撃波を与えて砕いたり、尿道から内視鏡を入れてレーザーで砕いたりして摘出する。
背中から腎臓に穴を開けて内視鏡を入れて砕く手術法もあるが、体への負担は大きい。
尿路結石は再発率も高いという。
尿路結石のできる場所は
① 腎結石
② 尿管結石
③ 膀胱結石
④ 尿道結石
摂り過ぎは避けたい食品
・シュウ酸を多く含む食品＝結石のもととなる
コーヒー、紅茶、高級緑茶、チョコレート、ピーナッツ、ホウレンソウ、タケノコ、ブロッコリー
・動物性たんぱく質やアルコール＝尿酸値が高まる
・動物性脂肪＝腸内のシュウ酸が増える
肉、魚、卵、ビール、日本酒
積極的に摂りたい主な食品
・カルシウムを豊富に含む食品＝腸内でシュウ酸と結びつき、便として排出
牛乳、チーズ、無糖ヨーグルト、ちりめんじゃこ
予防には
・水分摂取 1日2リットル以上
水や麦茶がおすすめ
・運動の習慣 結石がある場合は縄跳びや階段昇降を
・食生活の改善
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2021.5.22
