老後、わが心と身は・・・

元気な長寿目指す

日本人の三大死因はがん、心臓病、脳卒中だ。
これらの疾患の予防・治療の研究は急速に進み、日本は世界一の長寿国になった。
しかし、長生きするようになれば、アルツハイマー病やパーキンソン病
骨粗しょう症など高齢者特有の疾患が増えていく。
 
こうした病気は直接死に結びつくわけではないが、治療が難しく長期にわたって
ゆっくりと進行し、人格を崩壊させたり寝たきりにさせたりする。
精神的・肉体的に本人を、また周囲の人々を苦しめる。
食べ物を飲み込むこともできなくなって管から栄養をとり、肺炎や心不全
出血をくり返しながら死を迎えることも多い。
末期には意思の疎通すらもできなくなり自ら尊厳死を選ぶことも不可能だ。
 
死を迎える時は人生にとって最も大切な瞬間だろう。
苦しむことなく人生を振り返り「ああ、いい人生だったな」と思いながら
死んでいきたい。
日本各地にはぽっくり寺信仰がある。
心臓病だとあまり苦しまずに死ぬことができるが、家族や友人との別れもできず、
やり残したことがあるのは嫌と思う人も多い。
治らないがんだとあと何ヵ月の命だという宣告がされる。
つらいが自分の死期がわかれば人生の締めくくりができる。

ぼけたり寝たきりになる前に心臓病やがんで死のうと思うなら、おいしいものを
たらふく食べたばこを吸い、酒をいっぱい飲んで、好き放題に人生を楽しむことだ。
老後の心配などもせずに済む。
 
長生きしようと思ってしていることが不幸な人生を作り出している。
一番大切なのは単に長く生きるのではなく、健康なまま長寿を目指すこと
なのだ。
貝原益軒の『養生訓』にも「老後、(中略)わが心と身を養なふエ夫を専らに
すべし」とある。
 
老後を人間らしく過ごすためには、運動や栄養に気をつけて体力をつけ、目や耳
を大切にして、心身の老化の進行をできるだけ遅らせ毎日を元
気に送れるよう努力していくことが重要だと思う。
骨や筋肉を鍛えて、ぼけずに、目も耳も歯も丈夫で何でもおいしく食べて、ちゃん
と排せつをする。
これを守っていくことが必要なのだ。
(国立長寿医療センター疫学研究部長  下方浩史)

日経新聞・朝刊 2005.3.6
版権 日経新聞



<番外編・ニュースから>
■中国の震災地へ自衛隊派遣
雨降って地固まる
嵐の後には凪がくる
After a storm comes a calm.

ことわざには大概逆の意味もあります。
世の中の出来事は「縄をあざなうごとし」です。
そこにことわざの深さがあります。

凪の後には嵐がくる
After a calm comes a storm.

新宿コマ劇場船場吉兆の廃業。
終わり方はそれぞれ違います。

終わりよければすべてよし
All is wel thatennds well.
Everyrhing has a end.

最初に勝つと、最後に負ける
始めの勝ちは糞勝ち
Wins at first and lose at last.

仕上げが仕事に王冠を与える
細工は流々仕上げを見よ
最後がすべてを飾る
仕上げが肝心
The end crowns the work.

<コメント>
きょうは人生を含めものごとの終わりをとりあげてみました。


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