退職後の体力づくりに運動を

イメージ 1

(画像をクリックすると大きくなります)

患者さんを長く診ていると、停年を迎える人も多くなってきます。
定年後の日々の過ごし方はさまざまです。
きょうは老後に備えた体力づくりについての新聞記事をご紹介します。

まず、健康状態を知る

「退職後の健康作りに運動を。そう思っても、すぐに始めないこと。体力は40代後
半から急降下する。まず、今の健康状態を知ってから」と専門家は口をそろえる。

あいち健康の森健康科学総合センター(愛知県東浦町)では、健康作りを目指す
人を対象に「健康度評価」をし、その人にあった運動メニューを提案している。

  ■ □ ■

評価は検査の内容に応じて4種類。
最も詳しい総合コースは血圧、血液検査、安静・負荷心電図、骨密度、肺機能・・・。
様々な医学的な検査に加え、持久力や敏捷性といった体力、食事などの生活習慣も聞く。

このコースなど詳しい評価を受けた人は2005年度、男1902人、女1510人。
高血圧や糖尿病といった内科系の病気がともに約4割。
割合は年齢とともに高まった。

病気の人の割合が高いのは、職場健診で注意された人などが多いから。

「注意しなければいけないのは、心拍数と血圧です」と、生活習慣病予防班長の村
本あき子医師。
心臓に過大な負担がかかったり、急に血圧が上がったりすると突然死や脳卒中などを
招く恐れがある。

受診者に自転車をこぐ機械を使ってもらいながら心電図記とり、1分ごとに血圧を
測る。
不整脈や急な血圧の上昇がないか、村本さんらが目の前でチェックする。

健康増進班の和田昌樹チームリーダーは「高血圧で降圧剤を飲んでいる場合、運動
で本来上がるはずの心拍数が、それほど上がらないこともある」
という。

こうしたチェックやアドバイスを通じて自分のペースをつかんでもらうど、「どんな
運動をどれだけすればいいのか理解してもらいやすい」と村本さんは話す。
 
運動を始める前に体の状態のチェックが必要なのは、健康な人も変わらない。
 体力の衰えは、階段や坂道で実感する。
 「高齢者で運動をしないでいると、筋力は若いころの20~40%が失われるという
報告もあります」と東京逓信病院の沖永修二整形外科部長。
運動を続ければそれを食い止め、筋力アップが可能だいう。
高齢になっても運動次第で筋肉がつくというのだ。
「ただ急に週何度も、というのは避けて」。
運動で傷ついた筋肉は回復過程で増強されるが、年とともに回復が遅くなる。

ジョギングをするにも注意がいる。
ひざを痛めて受診する人も少なくない。
ただでさえ関節がすり減ってくる中高年。
走るとひざに大きな負担がかかる。

  ■ □ ■

運動は種類によって、持久力、筋力、柔軟性など、どれに効果的なのか、違う。

国立スポーツ科学センター(東京都北区)の守田誠トレーニング指導員は「目的を
はっきりさせることが重要です。トップアスリートも市民も変わりません」。

例えば、寝たきりの原因になる転倒。
ちよっとしたものにつまずく場合が多い。
防ぐには、歩く際に足をきちんと上げることも必要だ。
立った状態で足を引きあげ、骨盤と識大腿骨をつなぐ腸腰筋やお尻の大臀筋
鍛えると効果的だという。
「日常生活に困らない動きができる体作りは、休息をうまくとりながら、続けて下さい」

出典 朝日新聞・朝刊 2007.4.22
版権 朝日新聞社


<追加>
適度な運動は認知症の予防にもなります。

認知症予防に「運動・栄養・昼寝」…厚労省研究班データ
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060527ik04.htm
よく運動し、栄養に気をつけて、昼寝した方が認知症の発症率が下がることが、厚生
労働省の研究班(主任研究者=朝田隆・筑波大教授)の研究でわかった。
生活習慣の改善による認知症予防の成果が確認されたのは初めてで、注目される。
<コメント>
これは国内のデータですが以下のような外国の報告もあります。

定期的な運動が認知症の発症を遅らせる可能性
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/AlzUndou060120.shtml
定期的な運動が認知症の発症を遅らせる可能性があるという前向きコホート試験の
結果が『Annals of Internal Medicine』1月17日号に報告されている。
論説委員は、これは観察的研究から知ることができる限界であるとしている。
ランダム化試験を待ちながらも、論説委員はこの知見が身体的に活動的であることを
刺激する可能性を指摘している。

簡単な運動を習慣に手足の運動は脳の活性化に良い
http://www.ninchisho.jp/prevention/05.html
<コメント>
グーとパーの手だけの運動や片足とびのスキップだけでも脳の活性化に良いようです。

認知症に対する運動療法 【運動機能の改善、心肺機能の改善、精神活動を賦活する】
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000271.htm


読んでいただいて有難うございます。
コメントお待ちしています。
医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです。)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)
があります。