むずむず脚症候群

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深部の強い不快感で不眠に 薬物治療で9割改善
脚にじっとしていられない不快感があり、眠れない「むずむず脚症候群」。
日本人の2~3%がこの病気と推定され、どこを受診したらよいか悩んでいる人
も多い。
神経研究所付属代々木睡眠クリニック(東京・代々木)の井上雄一院長は「皮膚科
や整形外科ではなく睡眠専門医を受診してほしい。中・軽症なら9割以上は薬物治療
で症状が改善する」と話す。

 ―――  一般に知られるようになったのはここ数年のことですね。
「欧米では『レストレスレッグス症候群』と呼ばれ、1940年代から存在が知られ
ていました。日本でも3年ほど前からようやく知識が広がり、当院でも年間の新規
受診者約300万人のうち1割強を占めます」
 
「私たちの調査では日本人の有病率は2~3%、単純計算では患者数約300万人と
推定され、身近な病気といえます。軽症を除く約100万人は治療が必要なはずですが、
まだ知らない人も多く、95%は未治療と考えられる。放置すると少しずつ進行し、
不眠から日中に強い眠気を覚え、うつや自殺にもつながりやすい。脚の不快感から
眠れない、日中にじっとしていられないなどの症状があれば早めの治療を勧めます」
 
 ―――  特徴的な症状は。
「主に太ももやふくらはぎに不快感があり、患者さんによって痛い、かゆい、しびれる、
など表現は様々です。共通するのは皮膚の表面ではなく、奥深いところに不快感がある
こと。『脚の中をアリがはい回るようだ』『筋肉に手を突っ込んでかき回したい』など
と苦痛を訴える人もいます。女性が男性より1.5倍ほど多く、年齢別では中高年に
目立ちます」

「夜、寝ているときに脚の筋肉に周期的なピクつき(収縮)が起きるのも特徴です。
周期性四肢運動と呼ばれ、1回0.5~10秒の収縮がおおむね20~40秒間隔で
繰り返す。むずむず脚症候群患者の6~8割で表れます。睡眠中に脳波や筋電位などを
測る睡眠ポリグラフィー検査でこれが見つかれば、診断の根拠になります」

 ―――  発症の原因は分かったのですか。
「仮説がいくつか提唱されています。一つは『脳内の神経伝達物質ドーパミンの機能
異常によるという説。鉄分の不足や遺伝的素因も関係しているようです。妊婦や慢性
腎不全で透析を受けている人は発症率が高い傾向にあります」
 
 ―――  薬による治療が一般的ですね。
パーキンソン病治療薬として認可されたドーパミン作動薬がよく効きます。少なく
とも1年程度は服用する必要がありますが、中・軽症なら9割の人で症状が改善します。
重症になると改善まで時間がかかることがあります。最近、抗けれん薬のギャバペン
ティンという薬の治験(臨床試験)が進み、重症患者の症状改善が期待されます」

 ―――  注意点は?
「この症候群はうつ病を合併することが多く、抗うつ薬を使いがちです。しかし、
ドーパミン作動薬と併用すると症状が悪化するので、抗うつ薬は避けた万がよい。
睡眠薬もむずむず感を強めることがあり、勧められません。カフェインやニコチン、
アルコールも避けた方がよい。筋肉疲労があると悪化するため、寝る前のマッサージや
ストレッチも効果的です」
 
「脚の病気と考えて整形外科や皮膚科を受診する患者さんもいますが、この症候群は中枢
神経の病気なので、睡眠専門医を訪ねるのがよい。近くに専門医が見つからないときは
神経内科や精神科を勧めます」

出典 日経新聞・夕刊 2008.7.15
版権 日経新聞

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