冷蔵庫の微生物

掃除と温度管理で撃退

「冷蔵庫に入れておけば、食品の細菌やかびの繁殖は抑えられる」と思っていませんか。
うちの冷蔵庫をよく見ると、牛乳のこぼれた跡や大根のひからびた葉っぱのかけら……。
掃除したのはいつだろう。
使い方次第で思わぬ落とし穴もあるようです。
    
   ■ □ ■
 
家庭の冷蔵庫で汚れやすいのはどこか、兵庫県立生活科学総合センターは昨夏から今年
初めにかけて、県内の6家庭の冷蔵庫(370~460リットル)について、冷蔵室の
ドアの取っ手、庫内の底や側面、ドアポケット、野菜室、チルド室、冷凍室など13ヵ
所を、それぞれ100平方センチずつふき取り、菌数などを調べた。
 
細菌汚染の目安になる生菌数が最も多かったのは野菜室。
野菜くずが残っていた2家庭では、くずのない庫内と比べ100~1000倍も菌の数
が多かった。
野菜が少ないと、ほとんど検出できなかった。
「野菜についた菌が持ち込まれたのでしょう。袋に入れて保管するといった工夫が大事
です」と調査研修部の松村益代さんはいう。
 
次に多かったのは冷蔵室のドアについているポケット。
飲料水の液だれなどの汚れがある部分から多く検出された。
各家庭が肉や魚などを二重包装し、庫内を汚さない
ようにしていたので冷蔵室での検出は少なかった。
さらに庫内温度の低いチルド室や冷凍室からはほとんど検出されなかった。
 
野菜室の掃除の効果をみるため、その前後で生菌数を比べた。
ふきんで水ふきすると、意外にも掃除前の30~700倍に増えた。
「野菜くずについた細菌を塗り広げた上に、水分が加わって細菌が繁殖しやすい状態に
なったと考えられる」と松村さん。
水ぶきの後に消毒用エタノールでひとふきすると、菌はまったく検出されなかった。
    
   ■ □ ■
 
冷蔵室の温度は一般に5度以下が望ましいとされる。
サルモネラ腸炎ビブリオなど食中毒細菌の多くは、5度以下で増殖が抑えられる」と
女子栄養大の上田成子教授(衛生学)。
低温保存は食品を腐敗させる微生物の繁殖を抑える 。
食品成分の化学変化を抑える効果もあるという。
 
ただ、食中毒細菌の中には、低温(0~5度)で増える菌もいる。
豚肉などから検出されることがあるエルシニア・エンテロコリチカなど。
「生鮮食品は消費期限内に食べきることを心がけましょう」と上田さん。
肉や魚などの汁が庫内につかないよう袋に入れ、汚れはこまめにふき取る。

細菌は冷蔵庫の中では休眠状態にあるだけで、死滅するわけではない。
ある実験で野菜室や冷蔵室でふき取った菌を20度で保したところ、7日間で約100万
倍に増えた。
「庫内の温度は、夏にドアを10秒開け放しただけで5度上がる。冷気の循環を妨げない
ように詰め具合を7割までにしたり、温かい料理は冷まして入れたり。菌の増殖を防ぐには
温度管理が肝心です」

冷蔵庫メーカーによると、ドアの開閉部のゴムパッキングが腐食すると庫内の冷気がもれ
やすくなる。
汚れを見つけたら、ぬるま湯でふき取る。
庫内の掃除も同様で、汚れがひどい場合は、薄めた食器用洗剤でふき取って水ぶき。
水分を減らすため、最後にからぶきを勧めている。

家庭でできる食中毒予防として、厚生労働省が6つのポイントをあげている 。
 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html
食品の購入は買い物の最後にし、寄り道せず、すぐに冷蔵庫などに入れる。
冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は零下15度以下を維持することが目安。
腸管出血性大腸菌O157は室温なら15~20分で倍増するため、調理前や後の食品は室温に長く
放置しない。
イメージ 1


出典 朝日新聞・朝刊 2008.8.3
版権 朝日新聞社

<復習と追加>
掃除好きの人でも一番掃除しない所は、家や職場での「蛇口」や「ドアノブ」です。
いろんな菌がついていて手につきます。
そしてお菓子なんかを素手で食べると、一緒にその
ばい菌まで手→口に入ります。

スーパーでの買い物の際のかごも汚染されている可能性もあります。

図に出ているように家庭用冷蔵庫の野菜室にくずが残っていると細菌が繁殖しやすくドア
ポケットも要注意です。

ふきんの水ぶきだけでは菌が増えることが、兵庫県立生活科学研究所のテストで分かって
います。

対策としては消毒用エタノールを使った掃除が効果的だそうです。
 
野菜室の野菜には農薬を使って 虫の被害を抑えてるとようですが、安心は禁物。
虫卵や、泥がついている場合が結構あります。

そのまま入れるよりも 新聞紙や広告紙包んだり、ビニールに入れると少しはいいかも
知れません。

しかしそのよにしても、どうしても野菜室には、野菜くずが落ちたりします。そして、
それらは腐敗したりもします。
ただの水ふきでは、細菌をひろげてしまい、その結果細菌を増やす可能性があります。

冷蔵庫の取って取っ手の部分も要注意のようです。
そしてあとはゴムのパッキンの部分です。
イメージ 2

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読んでいただいて有難うございます。
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