禁煙治療 広がる選択肢 その2(2/2)

タバコを吸わない私には、禁煙の苦しみは本当にはわかりません。
禁煙するには喫煙の弊害をまず本当に理解しなければなりません。
順序を踏まずに禁煙の話をしても禁煙は失敗します。
しかし、医療提供側はメタボ健診よりはるかに重要と思われる禁煙指導には力(ちから)を
注ぎません。
私も同様です。

忠告は秘かに、賞賛は公(おおやけ)に (シルス)
Give advice secretly, and praise children openly.

心の隅(すみ)に、個人の「嗜好」という気持ちもあるためです。
諸外国と違って、一定の税金が入る国側も同様です。

ネットの発達した現在、禁煙の手助けとなるサイトは一杯あります。

馬を水場まで連れて行くことはできても、その馬に水を飲ますことはできない。
(イギリス)
A man may lead a horse to the water, but he cannnot make it drink.

薬剤師、無料で相談に

従来は医師の処方せんが必要だったが、今年5月、処方せんなしでも買える薬が売り出された。
これを機に禁煙相談に力を入れ始めたのが、島根県で薬局3店を運営するファーマシーやまだ
出雲市)。
8月、パッチの購入を検討している人を対象に無料の禁煙相談を始めた。
予約制で毎週1回、薬剤師が約30分にわたってアドバイスする。
 
同薬局の薬剤師は「体質的にパッチが合わない人もいる。適切な使用法の指導が欠かせない」
と話す。
心臓病などの既往症や生活状況なども確認して使用の可否を判断。
パッチ購入より医師の受診を勧めることもあるという。
使用法もきめ細かく伝え、矢敗を防いでいる。

購入者に対し、禁煙が続いているかを電話で確認する支援サービスも検討中。
禁煙成功に向け、薬剤師が夕イミング良くエールを送る仕組みだ。

公共の場で禁煙化

7月にはICカード「taspo(タスポ)」による自動販売機の成人識別が全国に広がった
ほか、「たばこ一箱1000円」との増税論も飛び出した。
こうした中、公共の場の全面禁煙化など、対策を強化する自治体も増えている。
 
たばこをやめられない子どを対象にニコチンパッチの無料配布を始めたのは沖縄県石垣市
今年6月から保健所など市内2カ所で就学児童・生徒を対象に禁煙相談をスタートさせた。
  
同市健康福祉センターの知念修所長は「子どもは依存症になりやすい半面、早期に治療を
始めれば効果も成人より大きい」と指摘する。
日本禁煙科学会副理事長で、インターネットを使った「禁煙マラソン」を主宰する奈良女子
大教授が「石垣島を禁煙モデル地区に」と提案しパッチを提供してもらえることで実現した
という。

神奈川県では4月、松沢成文知事が飲食店や宿泊施設、パチンコ店など、不特定多数が利用
する施設の禁煙化を義務付ける方針を表明。
より踏み込んだ受動喫煙防止策を打ち出した。

だが関係者の思惑は複雑だ。
たばこ業界は一律の禁煙化に反発し、施設ごとに「禁煙」「分煙」と明示するなどして利用者
が選択できるようにすべきだと主張。
飲食店の間には「換気装置などで分煙を徹底すれば十分」との意見が根強い一方で、完全禁煙
に前向きな店もある。
県民の反応も割れている。
 
同県は9月中にも、条例化への方向性を打ち出して議論のたたき台にする。
早ければ年度内に正式な条例案を県議会に提出したい考えだが、多様な意見をどう条文に
まとめあげるか、曲折も予想される。

保険適用の効果は?

3カ月指導後、72.3%成功 フォローの継続に課題も
禁煙治療は2006年4月の診療報酬の改定で健康保険が使えるようになり、多くの病院が
治療に取り組んでいる。
成果も上がりつつあるが、継続的な指導などフォローアップの仕方に課題も浮かんでいる。
 
厚生労働省によると、2007年7月時点で「医療機関の敷地内禁煙」「専任の看護職員の
配置」などの要件を満たし、禁煙治療を実施している病院や診療所は計約5000施設に
達する。

中央社会保険医療協議(中医会協)が2006年6~7月に治療を始めた約2500人を
追跡調査した結果、3カ月間に5回の禁煙指導を終えた時点で72.3%が禁煙に成功。
指導終了3カ月後で56.8%が、9カ月後でも45.7%が禁煙を継続していたという。

指導を途中で中止した人は成功率が低く、指導回数が多いほど9カ月後の禁煙継続率が高い
ことも分かった。
 
順天堂大の瀬山邦明准教授は「治療終了後のフォローを重ねるほど、禁煙成功率も高まる
はずだが、現在は3カ月間しか保険が使えない。
せっかく禁煙に成功した人が再び吸い始めないように、継続フォローできるようにすること
が課題だ」と指摘している。

ニコチン依存症

喫煙を続けると、ニコチンによる依存症になる。
たばこを吸わず、血液中のニコチン濃度が下がると、イライラや注意散漫、手の震え、眠気
などの禁断症状が起こる。
喫煙習慣そのものに対する精神的な依存もある。
 
禁煙外来などで健康保険の対象となるには、
①TDSと呼ばれる診断テストで5点以上
②1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
③直ちに禁煙を希望
・・・のすべての条件を満たす必要がある。

出典 日経新聞・朝刊 2008.9.7
版権 日経新聞

イメージ 1

町田 二郎 作品名: 麦畑
http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c179478922

読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(2)
(内科専門医向けのブログです)
http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)