中高年 筋トレ 足腰から

加齢とともに起こる筋力の低下はしばしば実感するところです。
実は筋肉量も低下しているのですが、それはお風呂に入って裸になった時に手足や
臀部の筋肉の萎(な)えで気づきます。
私も運動不足を自覚していますが、なかなかトレーニングジムに通う時間的余裕が
ありません。
室内で暇な時に出来る運動が一番現実的です。
あの激しい運動のブートキャンプも、あっというまにブームは過ぎてしまいました。

階段上り・屈伸・・・

涼しくさわやかなこれからの季節。
日ごろの運動不足解消へ、足腰を中心に鍛える簡単な筋肉トレ-ニングを始めて
みてはどうか。
筋肉の衰えの回復やダイエット効果が期待できる。
最近の研究からは、筋肉を動かしたときに分泌
される物質が代謝機能を高めたり、脳の神経に良い作用及ぼしたりして全身の健康を
保つ効果もわかってきた。


筋肉7割維持可能
筋肉は年齢の影響を受けやすく、30代以降は1年間に体積で1%ずつ減少、80歳
までにほぼ半減するといわれている。
筋肉減少の7割は運動不足によるが、言い換えれば「正しくトレーニングをすれば高齢
になっても(30代以降に失う分の)7割の筋肉を維持できる。
50~60代から始めても十分間に合う」と東京大学の石井直方教授(筋生理学)は
強調する。
 
運動不足が気になる中高年は、足腰の筋肉や腹筋を鍛える筋トレから始めるのが効果的。
年をとると、大腿四頭筋と呼ぶももの筋肉と、大臀(だいでん)筋と呼ぶおしりの筋肉
が最も衰えやすいからだ
 
普段、全く運動をしていない人は、準備段階としてエスカレーターの使用をやめて階段
を上り下りしたり、上りで一段飛ばしをしたりするとよい。
それだけで大腿四頭筋大臀筋を鍛えられる。
これらの筋肉を意識しながら体を動かすのがポイントだ。
 
慣れてきたら筋トレを試してみよう。
通常よりゆっくりする「スロースクワット」5回を3セットと、立っている状態から片足
ずつ踏み出す「ランジー」を片足10回ずつ3セット、ともに週に2~3回実施する。
また、座ったまま足を引く「ニートゥチェスト」は10回を目標に実施。
腹筋を効率よく鍛えられる。

代謝機能アップ  認知症予防に期待

筋トレの効果で最近注目されているのが、動いている筋肉からのみ分泌される物質の働きだ。
運動中に脂肪や神経細胞、血管など全身の様々な細胞や組織に働きかけて、体を健康な状態
に保っているという。
石井教授らの研究で、これらの物質は筋細胞や周囲の細胞から出て、脂肪の分解を促したり
脳の神経細胞の減少を抑えたりすることもわかり、「認知症の予防になる可能性もある」
という。
 
物質は「マイオカイン」と呼ばれるグループに属し、微量で免疫作用などを発揮する
生理活性物質「サイトカイン」の仲間だ。
3年ほど前から世界中で研究が進み、動脈の炎症を抑えて動脈硬化を防ぐたんぱく質など、
約30種類あると考えられている。
負荷が重い筋肉トレーニングでは10分間ほどで、自転車などの有酸素運動では時間ほどで
筋肉からの分泌が始まる。
 
筋トレで筋肉量を増やすと、ダイエット効果というおまけもつく。
基礎代謝が上がり、何もしていないときでも効率よくエネルギーを消費できる体になる
からだ。
またトレーニング中は、筋肉が脂肪に含まれるエネルギーを取り込んで効率よく燃焼する。
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血圧の上昇に注意
ただ、トレーニングによる血圧の上昇には注意が必要だ。
筋トレ時の血圧は健康な人でも、250mmHg以上と極めて高い水準にまで上がること
がある。
特に高血圧の人は気をつけたい。
「中高年や高齢者には血圧が上がりにくいゆっくりした動きのトレーニングがお薦め」と
石井教授は助言する。

鹿屋体育大学福永哲夫学長は、日常的にできる簡単なトレーニングで筋肉をためておく
「貯筋運動」を提案し、普及に努めている。
普段から筋肉を鍛え、ある程度の余裕をもたせておく方法だ。
若いうちから始めておけばなおよい。
筋肉の「蓄え」があれば年をとり、けがや病気で筋肉を使う機会が減っても寝たきりに
なりにくいという。
 
同学長が考えた貯筋運動の標準的なメニューによると、体力に自信のない人はいすに座った
まま、ひざを伸ばしたりももを上げたりする。
多少、自信のある人は、いすにつかまるなどして体を安定させながら、屈伸したりももを
あげたりする。
これだけで足腰を中心に鍛えられ、筋肉を蓄える効果が期待できる。
 
東京都・新宿の風間達子さん(72)は、1年前から都内のデイケアセンターで高齢者を
対象にした貯筋連動の講座に夫婦で参加している。
股関節やひざが徐々に動きにくくなり不安を感じたため「さらに悪化しないように
(運動を)始めた」。
その後、「症状は進んでいない」と実感しているという。
「続けることが重要。必ず効果が期待できる」と福永学長は強調している。 
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出典 日経新聞・朝刊 2008.9.7
版権 日経新聞
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<コメント>
あの高齢でご活躍の日野原重明先生は日常生活で、「階段上りの一段飛ばし」をしたり、
いろりろな室内運動を筋力保持のためにとりいれてみえます。

読んでいただいて有難うございます。
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